パッチギ

パッチギ! (特別価格版) [DVD]

パッチギ! (特別価格版) [DVD]

いつもテレビのロードショーを見逃してしまって、結局レンタルで借りて見ました。
個人的なことを言わせてもらえば、あまり得意なタイプのストーリーではありませんでしたが、時折感動する場面はあるし(朝鮮人グループの宴会に混ざって歌を歌う場面が泣ける)、ラストはきちんと映画としてのカタルシスを感じることが出来ました。
好き嫌いを超えて何が良かったかと言えば、在日朝鮮人と日本人の関わりが、大変わかりやすく描かれていたことでしょう。
「日本の若者は何も知らん!」とたしなめられる場面がありますが、まったくその通り。私たちは何にも知らないのです。こう言われてしまっては、返す言葉もありません。
それは今まで誰も教えてくれなかったことですし、戦争やら何やらで日本が犯した罪について、臭いものにフタをしてきた政府や年輩者たちの怠慢でもあるからです(敗戦国なのに戦後アメリカのゆるい支配の中で先進国の仲間入りを果たした思いこんで反省する気運すら失った勘違い野郎だったってことだ、我々は!)。
当然のことながら、私たちも自分自身で勉強しなければいけないことでもあったのですがね。教育だけを当てにしては本当に知りたいことなど分からない。自分で学ぶ姿勢を持ち、自分なりの意見を持ち、自分なりの答えを見出すことこそが必要なのですから。
これは、そうしたきっかけを提供した映画であると思います。とは言え実際勉強するのは大変なわけですが、しかしこうした問題が根底に流れていることを意識できるか否かで、アジアの一員としてどうあるべきか、私たちひとりひとりの考えを見直すきっかけとなることが重要かと思われます。
監督はそれらをことさら深刻に表現することなく、若者達が繰り広げる爽快なる青春群像の中で、単純明快な言葉によって示して見せたのではないでしょうか。
忘れないように語り継ぐ。それは別に小難しい専門用語を使わなくても、普段使ってる言葉もできるじゃないか!と言うわけですね。
実は井筒監督の作品をちゃんと見るのは、これが始めてだったりして(笑)なるほど。確かにテレビで見る監督のイメージにぴったり合う作風でした。
役者さんたちに井筒監督の魂が乗り移っているようであり、特に男子の俳優に関して言えば、「みんな井筒監督の分身」に見えてしまうほど(笑)
もちろんこれは褒め言葉であって、本来映画と言うのは「監督の作品」である、と。例えば、アイドルを目立たせるための映画などであってはいけないわけで、そう言った意味で俳優のエゴを完全に廃した本作は、「井筒監督の作品」としてひとつの成功を収めていると思うわけです。
でぇ、問題の沢尻エリカ嬢ですが、演技はよかったっすよ!さすが言うだけのことはあるなぁ、と。
一般的に、人目につかないプライベートでの行動がどうであっても、「大物」なら許されると言うか、むしろ武勇伝として箔を付ける要素となり得ましょう。しかしやはり公共の場であんな態度を取るのはちょっと、と思うところもあり。
まあ私的には別にどうでも良いですけど(笑)沢尻エリカの資質についてどうこう言うつもりはありません。しかし映画はひとりで撮っているわけじゃないし、作品自体に及ぼす影響を考えたら、普通ああいう行動は取れないはず。
「自分に正直に生きる」って事と、「わがまま」ってのは意味が違うのだから、日本の映画をおもしろくしたいと考えているなら、そうなるように行動しようよ!って言う単純なお話でした。

@ちぇっそ@