オルガスマシン

オルガスマシン

オルガスマシン

ジェイドの大きくて青い目は、ご主人様の注文によってあつらえた特注品。まだ見ぬご主人様に奉仕するため、今日彼女は出荷される。しかしその先で待ち受けていたものは、女ばかりが虐げられる差別的な社会だった!ジェイドと同じく「カスタムメイドガール」として製作された女たちが結束し、悪しき父性社会へと革命に乗り出す!
内容のあまりの過激さによって、出版までに数奇な運命を辿ることとなった、イワン・ワトスンによるSF長編。
いまならいわゆるアキバ系オタクが喜んで飛びつきそうな題材を、1970年の時点で書き上げていた作者。先見の明があるのも確かですが、かつて日本に長期滞在していた経験があることから、いかにも日本人が好みそうなディテールを熟知しているわけですね(と書きましたが、もちろん日本人だけに向けて書かれた作品ではないですよ)。
とは言え、現在の日本におけるサブカルチャー的なものを、かくも見事に予見していた辺り、やはりワトスンの予知能力は凄まじいと言わざるを得ないでしょう。
人体改造、エログロ、差別社会があり、そして女たちの革命が起こる。当時としては確かに過激極まる危険図書の称号を与えられたのでしょうが、現代の感覚からするとさほど過激に感じることはありません。
つまり普通にSF冒険小説として読み進めれば良いと言うことになりますが、これを「普通に」読めてしまう辺り、現実世界の方がいかに過激になってしまったかを思い知らされるところであります。
だいぶ刺激の強いヤングアダルト作品と言った趣きもあるので、相当にませた10代であれば、衝撃的な出会いがあるかも知れませんね。もっともそれが後に、良いほうへ転ぶか悪いほうへ流されるかは断定できませんが(笑)
問題作うんぬんは抜きにして、普通に楽しく読めた作品でした。

@ちぇっそ@