女狙撃兵マリュートカ

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内戦の砲火激しい革命気運の中、赤軍パルチザン部隊はアラル海を目指して行進していた。カラクム砂漠を横断する途中、彼らは敵対する白軍と遭遇する。既に40人を仕留める射撃の名手マリュートカは、白軍の将校目掛け照準を構えた。ところが41人目となる将校を撃ち損じてしまった。しかし彼を捕虜とし、赤軍は再びアラル海を目指す。長旅の間、敵対していたはずのマリュートカと白軍将校は次第に心を通わせ、2人の間にはいつしか恋が芽生え始めていたのだった。
耽美な映像で魅了するグリゴーリー・チュフライ監督のデヴュー作。
敵軍同士、しかも貴族の将校と、農民出の射撃手と言う身分の違い。白軍将校とマリュートカの禁断の恋を描いた一作。原作はボリス・ラヴレニョフ。同じ原作を元にした映画作品に、ヤーコフ・プロタザーノフ監督「41番目の男」があります。
実は本作の原題も「41番目」なのですが、これはリメークではなく原作を元に新たに脚本を立ち上げた別物と言うこと。(監督インタヴュー映像より)
特徴的なのは映像そのもので、フィルムにドイツ系のアグファ・カラーが使用されており、深みのある青い色彩が清廉なる印象を与えています。
ストーリーも非常に良く出来ているのですが、本作の魅力はなんと言ってもそのロケーションの素晴らしさにあるのではないでしょうか。名作「鶴は翔んでゆく」を撮影した名カメラマン、セルゲイ・ウルセフスキーのこだわりが作品を芸術の域にまで高めているようです。
砂漠を行進する赤軍のシルエット、アラル海に浮かぶ無人島の浜辺が、かくも幻想的に映し出されています。戦争映画でありながらファンタジックともとれる映像美は一見の価値ありです。

@ちぇっそ@