狂嵐の銃弾
- 作者: デイヴィッド・J.スカウ,David J. Schow,夏来健次
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2006/09/01
- メディア: 文庫
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いくつかのホラー短編や脚本、一見風変わりな長編を執筆している著者の、これまた奇妙な一品。
一言で言えば、映画「ダイ・ハード」的な巻き込まれ型アクション小説と言うことになるでしょうが、本作はしかし一筋縄で行かない不条理さに満ちています。
見知らぬ人物からパーティの招待状が投函されていたり、海岸では狂人が書いたと思わせるような、奇妙な文章が書かれた便箋入りの瓶を拾ったり。その直後、数年来失踪していた親友が突然訪れたかと思えば、嵐のさなか、半裸の女性が助けを求めアート宅のドアを叩くと言った調子。
パーティから抜け出して来たと言うその女性を保護し、またパーティ会場まで送り届けた先で待ち受けていたのは、プライスと言う不思議なカリスマ性を発揮する男。アートはセックスとドラッグが蔓延したパーティ会場で、参加者たちの本性が剥き出しにされて行く光景に出くわすのです
とまあ、本作を紹介しようとすると、取り留めのない出来事が羅列されることになります。
タイトルからも想像される通り、銃に関する詳細なディテールも満載。登場人物の中に「銃マニア」がいることや、主人公のアート自身ちょっとしたコレクターにもなっていると言う設定。
そのアートが生前の妻と、銃について討論を交わす場面がおもしろい。銃の所持を正当化するための、銃マニアの屈折した愛情が伝わって興味深いところでした。
終始オフビートな感覚が漂い、ある種サイコな様相も呈してくるのですが、それがサスペンスやスリラーに結びつくかと言ったら首をかしげるところ。結局最後まで読みきって、「これで納得しろと言うのか?いや俺はできん!」となるところは大きいでしょう。かく言う私もそうでしたが(笑)
しかしなんとも捨てがたい魅力があることも確か。ケッチャムの作品に近い気もするのですが、中身の無さではその比ではないでしょう。読み終わって、これほど何にも残らない小説と言うのも珍しい。
私の心に根ざしたわだかまりを何とかして欲しい!次に読むのは、分かりやすい勧善懲悪物がいいな(笑)
@ちぇっそ@