ドウエル教授の首

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ロシアSF文学の嚆矢、アレクサンドル・ベリャーエフの原作を映画化。「鬼戦車T-34」の監督レオナード・メナケルが、古典SFの名作に新たなる息吹を吹き込んだサスペンス溢れる傑作。
原作の細かな筋書きは忘れてしまいましたが、それとは若干赴きを異にした、正にリメイクされた「ドウエル教授」と言えるでしょう。従って原作を読んだ人にも新たなる発見があり、本と映画で2度おいしい作品となっています。
ドウエル教授の助手であったコルンは、死亡した教授の首だけを蘇生し、まだ途中段階にあった不死の研究を手伝わせようとしていました。それは元々ドウエル教授の研究であったわけですが、そこから得られる金に目がくらんだコルンが、研究を横取りしようとしていたと言うわけです。
首だけで生きているドウエル教授は、ある実験装置につながれています。これが差し詰めハリウッドであったならば、いかにも近未来的な銀ピカに輝く電子機器に囲まれていたことでしょう。
しかしそこは写実主義の国ロシア。教授の首は下部にローラーの付いた「水槽」のようなものに据え置かれており、必要に応じて移動することも可能です、それも手動で(笑)椅子に座った人と視線が合うように、角度まで変えられる仕様なのが画期的ですね!
原作と違って舞台がアメリカとなっているため、ロシア映画とは思えないほど黒人たくさんが登場するのも印象的。もちろん彼らは皆ロシア語を話しているのですが、ロシア語を話す黒人ってなんだか違和感があったりして(笑)
原作同様サスペンス溢れる展開があり、首だけで生きているドウエル教授の映像は異様な不気味さを放っています。娯楽作品としてよく出来ており、老若問わず幅広く楽しめそうな映画ですね。

@ちぇっそ@