男だからYAMATO

男たちの大和 / YAMATO [DVD]

男たちの大和 / YAMATO [DVD]

ロードショーでやっていた「男たちの大和」を見ていました。
戦争物が個人的には「グッ!」と来るので、映画の作り自体がそう言うのを狙っているのが見え見えながら、やっぱり涙なしには見れなかった次第であります。
ダメだなぁ、最近。涙腺弱いね。
しかしそれを差し引いても、もうちょっとこう、戦争映画の撮り方がなんとかならんのか?と思う私がおります。
やはり敗戦国だから仕方ないのかも知れませんが、どうしても「お涙頂戴」の方が先に立ってしまって、ヒューマンドラマなんだけど、エピソードが多すぎてどこかとっ散らかった印象を拭えないわけです。
ユーモアもないと言うか。当時の軍事教育がどれほどのものかは想像するしかないのですが、仮にも戦場へ向かった多くは、血気盛んな10代、20代の若者だったわけです。
その彼らが果たして、真面目なだけで戦況を戦っていたとは思えない。と言うかむしろ、そうであって欲しくないと願う私がいるでしょうか。
もっとも今と昔じゃあ、若者の意識もかなり違っていたとは思いますけど。
感動的エピソードの連続で、よく見ればストーリーになってない。とか、思わず辛らつな言葉を口走ってしまうわけですが、ひとつひとつの話を丁寧に拾っていったため、同じ逸話の連続となってしまった感があります。
日本が最後負けるのは分かっているので、どうしても悲壮感漂ってしまうのは仕方のないところですが、もっと勇ましく出港していった兵士たちもいると思うので、そこら辺も描いて欲しかったな、と。
画面が綺麗過ぎるのは、日本はロシアと違って、軍隊(日本では、=自衛隊ってことっす)から本物を貸してもらえなかったとことが原因とも考えられるので、そこら辺は譲歩する構えがあります。
それと、これは脚本によってしまうところでしょうが、兵士たちの行動なんかも潔癖過ぎる気がします。
出演している役者さんたちの演技はとても良いのですが、もっとずる賢いヤツとか、したたかなヤツも当時はいたはず。
しかしまあそんな中で、中村師童は非常に良いキャラになっていたと思います。あの狂った鬼軍曹みたいな感じ、こう言うアクの強いのがもっと必要なんじゃないかと思いますよ。
私ならもっとこう、観ていて吐き気を催すような、戦争に対する拒絶反応を引き起こすものを撮ってみたいですねぇ。戦争本来の悲惨さは、頭でなく「身体で感じ」なければならないと思うからです。
しかしそれをスプラッター的な描写に頼るのではなく、戦争の病んだ部分に焦点を当てて行きたい。そうやって「身体で覚えたこと」は、本能が自ずと戦争への嫌悪を呼び起こすでしょうからね。
って言うかそれよりもですね、日本が連戦連勝を重ねていた時期もあるわけじゃないですか。その頃の映画を撮ろうとする人は、何処かにいないんですかね?
きっと「行け行けドンドン!」で、逸話や武勇伝の宝庫だと思いますよ。
ついぞ日本が作ることのなかったプロパガンダ映画を、今こそ作るとき!なんてね。
え、不謹慎だって?近隣アジア諸国が許しちゃくれまい?
日米条約を巡って中国が懸念を示しているときにそんなものを作ろうものなら、アジアから第3次世界大戦の火種があがるだろうですって!?
戦後、日本人が失った「愛国心」と言う言葉。日本は好きだけど、日本が好き!と胸を張って言えない。自国に対しての自信のなさが、長い年月の間、日本人であることのアイデンティティを曖昧にして来た。しかし近年、「北朝鮮」と言うキーワードを持って、にわかに沸き起こった根拠のないナショナリズムの波が、他のアジア諸国をして「軍事化に向かう日本」と言わしめる昨今。俺が悪いのか政府のせいなのか。それともアジアが敏感過ぎるのか、バカのひとつ覚えの外交しか出来ない日本の官僚が無神経なのか。現状は変わらぬまま、未だ「日本はアジア」の敵として諸外国で教育され続けるのです、お母さん!
と言うわけで、日本が連戦連勝しまくる戦争映画の話は却下でお願いします!
そう言えばドイツ映画にだって、ヒトラーが大活躍する作品なんてないもんなぁ。そう考えると仕方ないっすかね。
でももっと、戦争に向かう日本人の力強さを表現した映画があっても良いと思んですけど。
だって日本の戦争映画って、日本人が日本人に向かって「こんなに多くの犠牲を出してすいません!」って、自分たち自身に謝っている作品ばかりですから!
これではとてもじゃないが、みじめ過ぎるってもんです。
史実を伝えようとするあまり、その形式に拘りすぎて戦争の実感が湧かないのです。戦争に対する見方そのものが、画一化されてしまっている気がします。
それと比べたら、今では「カルト」であることばかりが先行してしまいますが、奥崎謙三のドキュメントの方がよっぽど「生きた戦争」を語っていると思んですがね。
ま、現安倍政権に戦争責任の所在に対して解明を期待することなど土台無理ですので(もっともそんなんじゃあ、安倍政権が存在する意味などないのですがね。と言うことは現政権はもしかして戦争責任を逃れようとする太古の閣僚たちが仕組んだこんにゃくみたいにフニャフニャな造形しかもたない腑抜けた傀儡政権と言うことになりますな!怒)、どなたか良識のある監督さんが、そう言った作品を撮ってくれることを切望します。
とにかく、良い意味でも悪い意味でも「問題作」となるものがね!

@ちぇっそ@