つんぼくんとメクラちゃんと片輪先生の大冒険②

演説中につきエサ禁止

〓だい二わ〓
『片輪先生のせんきょかつどう』



つんぼくんとメクラちゃんは、本当になかよしです。
「あのライオン丸みたいなおじさん、そうり大臣辞めちゃったのね」
メクラちゃんのちょっとした勘違いを、つんぼくんが直してくれました。
「辞めたんじゃないよ、“ニンキ”が満了しただけさ」
つんぼくんは、とってももの知りです。
「ニンキってなぁに?」
メクラちゃんは、ちてきこうきしんがおうせいでした。
「メディア戦略を主格としてやってきた首相だけあって、支持率の低迷とともに国政に対する興味をうしなってしまったんだね。支持率とはつまり、“人気”のことなんだよ」
「なぁんだ、そうだったの。つんぼくんって、ほんとに何でも知っているね」
つんぼくんは、ほんのすこしテレてしまいました。
そこへ片輪先生が、片足だけでぴょこぴょことんできました。片輪先生は、右足がないのです。
「センセイってほんと、片輪みたいな走りかただなあ」
つんぼくんは、思わず本当のことを言ってしまいました。
「だ、だ、だ、大ニュースがあるんだジョ!」
片輪先生は、人の話を聞いていませんでした。
つんぼくんは、めんどくさそうにたずねました。
「先生、いったい大ニュースってなんなのさ」
すると片輪先生がえんぜつを始めたのです。
「お、オデ。いや!わ、わたくしこと片輪無造は、じ、次期大統領せんっに、しょっ、出馬することを、ここにウヒョッ、ヒョッ・・・、表明するもニョとする!」
先生はバカなので、この国にだいとうりょうがないことを知りませんでした。
「先生すごーい!そうり大臣になったら、大きな車を運転するんでしょう?」
メクラちゃんが、さりげなく片輪先生の言葉をていせいしました。
「そ、そうなんだ!メメ、メディアを利用して、一気におちゃのまの人気をかくとくするニョだ!」
つんぼくんは少しうさんくさそうに、片輪先生のせんきょせんりゃくのマズさを、してきしました。
「でも先生。前総理みたいにメディアを利用すると言ったって、そんなにうまく有権者層にアッピールできるかなあ?だって先生のルックス自体、放送コードぎりだからね」
「そうね。いまのメディアの放送倫理って、つごうの悪いことや汚いものはみんな、真実をゆがめて報道することが主流ですもの」
メクラちゃんが、ほそくしてくれました。
片輪先生はあわててこう言いました。
「だだ、だ、大丈夫だニョ!ギョッ、逆にこの片輪をりようして、みんなから同情してもらうんだニョ!」
そう言って片輪先生は、町の中へ走りさって行きました。
すうじつご、つんぼくんとメクラちゃんの前にあらわれた片輪先生は、どこかすこしやつれていたようでした。
「先生。それで選挙戦はどうだったの?」
メクラちゃんは、きょうみしんしんでたずねました。
「そ、そ、それなんだけど、ね!さ、最初、西口のまえでえんぜつを始めたんだけど、そうしたら、じ、地面にすわってお布施を待っている復員軍人と間違われて、ど、どんどん募金がたまってしまったんだニョ!」
つんぼくんは、それ見たことかとおもいました。
「それで先生、その次ぎはどうしたの?」
片輪先生は続けて答えました。
「じ、じき、次ぎはっ!小学校のまえでえんぜつすることにしたんだニョ。そ、そうしたら悪ガキたちに見つかって、『お化けが出た、お化けが出た!』って、い、石を投げらてしまったんだニョ!最近の小学生は、キョ、怖いなぁ!」
「ほら見たことか!やっぱり先生に、メディアを利用した選挙戦略なんて無理だったんだよ。最初はゲリラ的な草の根活動から始めて、反乱を内戦へと転化する、プロレタリアット的な戦略を練らなければいけなかったんだ」
さすがはつんぼくん。ちゅうちょうき的に見すえた、てきかくなしてきによるいけんです。
「そ、そうだったニョか。そうと知っていれば、ぐ、ぐんま県にぼうめいして、地下組織を編成し直したニョになぁ!」
今回ばかりは、片輪先生ものみこみが早かったようです。
「ところで、今の総理大臣って誰なんだろう?」
つんぼくんが言いました。
「あれ?もの知りつんぼくんでも、知らないことがあるの?」
メクラちゃんが、少しおどろいて言いました。
「ああ、あ、それならオデが、選挙活動中に知ったニョ。アッ、アッ、アベ氏ッ!官房長官って言う人がなったらしいニョ」
つんぼくんは、そんな人はしらないと言うひょうじょうをしていました。
「先生はバカだけど、それでもバカは休み休み言って欲しいな。官房長官ごときが総理大臣になれるわけないじゃないか!しかも、ボクでさえ知らない官房長官なんてもってのほか。存在感のない総理なんて有りえないからね!」
「そうよ、そうよ!つんぼくんの言うとおりよ。もっと誰か、別の人がなったに決まってるわ」
メクラちゃんがさんどうしました。とってもおりこうさんです。
「そ、そうかも知れないニョ。き、きっと、オデの勘違いだったニョだ!」
片輪先生もまちがいをていせいしました。
「それじゃあ、みんな!気をとり直して、先生がかせいだ募金で、駅前の焼肉屋にハラミを食べに行きましょう!」
メクラちゃんがナイスなていあんをしました。
「行こう、行こう!」
つんぼくんも、おお乗り気です。
「よ、よスっ!そェじゃあ。みんな、オデについて来い!こん、今日は先生のおごりだニョ!」
「ワーイ!」
3人はいつでも仲良しなのでした。


@うんべると・ちぇっそ@