古典ホラー2本立て

今日は終日、雨日和でしたな。時には激しく降りつけて、とても外出する気になんかなりませんでした。そんなわけで、せっかくの定休日だと言うのに、日がな一日家の中でごろごろしながらDVDを鑑賞しておりました。

「サ・マミー ミイラ再生」
怪奇映画の名優ボリス・カーロフ主演。いわずもがな、古典の名作映画であります。てっきり「恐怖のミイラが次々と人を襲う」残酷絵巻かと思いきや、ミイラが登場するのは最初の十数分だけ。蘇ったミイラが行方をくらました後は、アーダス・ベイなる謎の人物が現れ、古代エジプトに伝わる秘術を使って、3700年前の王妃を復活させようとします。
そうです。その昔、彼はイムホテップと言う名を持ち、たゆまぬ愛で王妃を慕っていた男でありました。このように、全体的にはミステリ仕立てで映画が展開して行きます。
また別の見方をすれば、過去と現代を股にかけた壮大なラヴ・ロマンスであり、生前適わなかった恋を成就させようとする、古代の亡霊が演じる浪花節とも取れるでしょうか。
ミイラの特殊メイク、古代エジプト人たちの衣装の素晴らしさ。話自体は単純なものですが、脚本がしっかりとしているために不自然な展開はなく、今見てもほとんど古臭さを感じさせませんでした。
もちろんカーロフの演技も素晴らしく、古典の名に恥じない傑作でありました。「魔人ドラキュラ」
監督は「フリークス」などでお馴染みトッド・ブラウニング。主人公ドラキュラ伯爵には、ハンガリー人のベラ・ルゴシ。ブラム・ストーカー原作の怪奇小説の映像化作品です。
ストーリーとしては、トランシルヴァニアの城に住むドラキュラ伯爵が、英国の商社マンであるレンフィールドを利用して渡英し、夜のロンドンを恐怖におとしめる。そこへヴァン・ヘルシング教授が登場し、吸血鬼退治へと乗り出すと言ったものです。
さすがに、あらゆる恐怖描写が実地に表現された今となっては、当時の人々と同様の恐ろしさを感じることなど皆無でしたが、その映像が持つゴシック的ロケーションの素晴らしさは、現代の作品を以てしても、実に特筆すべきイメージに溢れたものとなっています。
霧深い山奥に佇む古城の不気味さ。蜘蛛の巣張った室内の薄暗さなど、何か不吉な災厄を予感させずにはいられない、精神の最深部から沸き起こる恐怖感を煽るものがありました。
気品と獣性を兼ね備えた、主演ベラ・ルゴシの表情も非常に良いです。もっとも、彼が演じたドラキュラのイメージこそが、現代の吸血鬼にも連綿と受け継がれているようですから、言ってみれば「吸血鬼映画」の決定版と言うよりは、「ドラキュラ伯爵」の決定版がここにある、と言えるかも知れませんね。
さて、当初は「お勉強」と称して見始めた両作品でしたが、このように最終的には、まさに古典が古典たる魅力を確認する作業と相成りました。どちらも時代を超えて素晴らしい作品であることは間違いないですね。
いやぁ、良かったなあ。やっぱ古典は見ておくべきですな。今回は本当に「勉強」になりました!
2本立てと言いつつ本当はあともう一本観たのですが、映画の話ばかりではあまりに何なので、それはまた後日と言うことで。その作品は、上記よりも更に古い作品になるのですが、こちらもまた凄まじいイマジネーションに溢れたカルト映画でありましたから、映画評も一気に書き上げる気力がないのですよ(笑)
と言うわけで、本日はこれまででご勘弁を!

@ちぇっそ@