人を憎んで、ラーメンを煮込まず

フンガー!

今夜はREEXの練習がありました。連日の呑みが祟り、あまり食欲のなかった私は、昼の間それほど多くを食べることをしませんでした。
しかし腹が減ってはなんとやら。練習中のスタミナ切れを防ぐため、スタジオ入りする直前に「うまい棒」2本を完食し、事前のモチベーションだけを高めておいたのです。
さて、そうこうする内に無事練習も終了。私のお腹もいよいよ以て耐えがたき空腹に苛まれてきた頃であります。
無性にラーメンが食いたくなった私は、本八幡へ帰りつくなり、駅前のラーメン屋へと駆け込みました。新商品の新味味噌ラーメンか、とんこつにするかを迷った挙句、いつも食べなれているとんこつを注文することにしました。
店内には、私を入れて3人のお客がいました。一人減り、二人減り。ついに私だけが店内にとり残されたその頃合を見計らって、夢にまで見たとんこつのかぐわしい一杯が運ばれて来ました。
「はい。おまちどうさま!」
テーブルに置き行かれたスープの表面を見て、私はすぐさまその異変に気がついたのです。
「・・・麺が、太い?」
生来、とんこつラーメンと言うものは細麺であるべきで、しかもそれには、少し歯ごたえを残した“固ゆで”であることが望ましい。
ところが、いま私の目の前に展開している光景と言えば、まるで“つけ麺”で使用するがごとくの、太くて、断面が四角に切りそろえられた小麦の黄色眩しい麺ではないですか!
「あれ。俺味噌ラーメン頼んだっけ?」
いや、そんなことは一瞬たりとも思わない。いま私の手元で疑惑の目を向けられている物体とは、結婚式で友人たちによる歌のお祝いと称して、こともあろうに「3年目の浮気」を歌ってしまったうっかりさんの如き、場違いなコレボレートでコーディネートされた容疑者第一号であるのです!
しかしながら、もしかして経営上の刷新が行われたのかも知れないし、もしかして意外とこれも美味いのかも!?と思って口にした、ひとすくいの麺。
「まずいだろ。まずいだろ、これ!」
とんだ麺違いに事欠いて、更なる上に“煮込み過ぎてコシのなくなった麺”のふがいなさが、そのまま私の抗議しようとした意気を消沈させてしまう“しょんぼり具合”であったと言うわけです。
しなしなになった麺は水っぽく、食っても食っても満たされることのない不毛な食膳に、結局私は心にぽっかりと大きな穴を空けたまま、今宵のディナーを済ますこととなってしまいました。
ここで一句「有りえない。ああ、有りえない。有りえない!」
待ちに待った一杯がこの有様ですか。おい。誰か責任者だせ!どうせ深夜だからどこの有象無象の馬の骨だかちんちくりんだかがやってるんだろう。正しいとんこつラーメンと、“立ち食いソバ屋が出すふにゃふにゃラーメン”の違いもわからんのか、このボケが!
もっとも立ち食いのふにゃふにゃラーメンは、あえてそれが食いたいと思うことが珍しくないが、曲りなりもラーメン一代でやってるラーメン屋で、そんな粗相が許されるべきではない!
非常に腹立たしい。間違いにしても有りえない間違いである。普段この店ではきちんとした細麺で登場するのを知っているんだぞ!一体厨房で何があったのだ?何が策略されていたのだ!これは長髪キモヲタ野郎に対する陰謀か!?
考えれば考えるほど腹が立ってくるので、そして久々に本気でムカついたので、こうなったら明日もとんこつラーメン食いに行ってやる。もちろん同じ店でな!もしこれで同じような事態が引き起こされようなものなら、食わずにボイコットしてやる!
「こんなもの、空気中のバクテリアに食わせてしまえ!」ってな!

@ちぇっそ@