口をあけて食え

オラ!皮が剥げるくらいでかい口開けろ

「男なら、口を開けて“あくん!あくん!”と食え!」と言ったのは、何を隠そう私の父親であります!
今日はお店を閉めた後、ちょっと一杯引っ掛けて帰ろうかと思い、と言っても単に缶ビールを飲みながら駅まで向かうだけですが、近所の酒屋で“カクヤス”にて買ってきた発砲酒(最近は“ビール”ですら重たくてあまり飲めない)を片手にてくてく歩いて行ったのです。
県民性解析にあるように、「新潟出身の人はひと目をあまり気にしない」と言う格言を忠実に再現し、“ちょいワル”風に、“難波歩き”をしながら肩で空を切って都会の雑踏を突っ切ります。
それは別に特筆すべき出来事ではないのですが(だいぶ公序良俗に反する気もするが)、先の酒屋でちょいと納得の出来ないものを発見しました。それは何かと申せば、こないだ私が西友で3千円以上はたいて買ったシングルモルトグレンリヴェットが、なんと2390円くらいで売っていたではありませんか!もちろんオマケボトル付きで!
もうショック!それって台無し!憤りを通り越し、“勢い余って”もう一本買ってしまうところでしたよ。そんなんじゃあねぇ、昨日せっかく地下鉄駅前のC&Cカレーの券売機で、前の人が取り忘れていった100円玉をくすねたことなど、全く焼け石に水の如きではありませんか!(良い子は真似するなYOー!)
結局プラスマイナス、600円のマイナスじゃないですか!この時点でもうダメ。これから家に帰るまで“ダメ”一色に彩られたレールに乗って、変えることの出来ぬ運命に翻弄されるのみですから!
と言うわけで、案の定本当にダメダメでした。
電車で座ったらさあ、わざわざ私の目の前に来てから、つり革に捕まるおばちゃん2人。それって、この私に席を譲れと言うことを暗に示していると言うことですか?あのねぇ、こう見えても32歳なんですけど。周りにもっと若い人いるでしょ?そっちにしてくんねぇかなぁ、とか。(ってか、ちょっと前に秋葉帰りのJRで「最近の若い子は席も譲らないんだから!」って吐き捨てられたがな!でも俺が椅子に座るときは覚悟を決めて座るからいかにも死にそうな爺婆が来ない限り断じて席は譲らん!譲らざることが予想されてそれがウザイと思うくらいなら最初から座らん!若いからって俺が席を譲る理由など何処にもない!ふさぎこむ理由など何処にもない!どうだこんちきしょう!)
そして昼にマックセット(サルサチキンサンドセットだこんちきちょう!)を食ったきり、途中でおやつも食べずにがんばった私は、電車の車中でも我慢してスティーヴン・キングの「IT」を読みふけっていました。地元に辿り着いた私はもの凄く腹が減っていました。今すぐにで飯を食わねば、最近、本八幡に住むドイツ人が始めたチキン・ケバブケバブケバブが回ったままの状態でカブり付きそうなくらいイライラしていました(でも実際やったらきっと熱さで唇が“チュバテレビ《わかる千葉県民だけわかればよろしい!》になっていただろうがな!)
とりあえず即席で飯にありつける松屋へと赴きました。もちろん頼むのは「豚めし」。とにかく早く食わせろ!食わせねば暴れてやる!とか思ったのですが、よりによって店内は深夜に関わらず凄い混雑。待つのと、“松屋で待つ”のはもっと嫌いな私は、しかし既に券売機で買ってしまったため時既に遅し。諦めの境地で、隣の客にデミハンバーグ定食が運ばれてくるのをうらめしそうに眺めていましたとさ!
やっと出てきた豚めし。あまりにムカツイたので、辛党のデイヴ・ムステインもビックリするくらい、七味のカプサイシンを振りかけて食ってやりました。
なんだって?「朝からキムチ食いたいからやっぱり韓国人と結婚した」だとぉ!?そんな浮気もののユンソナなんて金輪際絶好だ!悔しかったら俺のカプサイシンぶっかけブタ飯食ってみろってんだ!いや、でも、ユンソナ好きよ。綺麗な韓国人お姉さんが大好きです!
その帰り、なんかいまひとつ口惜しい私は、コンビニに寄ってちょっとしたつまみを買って帰ることにしました。迷った挙句(結局、さっきくったばかりなので大して腹が減ってないのだ)、ベビースターのステーキ味を買いました。
待ちきれず、アパートへの道中で封を開け、手のひらに中身を空けて「バクバク」くいながら歩いておりました。これがなんとも爽快ですな!外だからこぼれ落ちる屑など気にせずに、思う存分、好きなだけ口にほお張る幸せ!
この世の贅沢とはこのことを言うのではないか。手からはベビースターがこぼれ、「バクバク」「バリバリ!」と、開けた口を閉めることも知らず、辺りに音が漏れるままに原始人のごとく食べ散らかす。生きてるって素晴らしい!モラルのタガを外した喜びが、ここには存在するのであります!
ウチのオヤジが言ってましたよ。「飯を美味そうに食うにはなあ。口を開けて、食いもんと空気が混ざり合うようにして噛むんだてぇ!にし(お前)みたいに口閉じて食ってちゃ、ものの味が分らんろうが!」
ここで私が、「口開けて食ったら、飯がこぼれらぁ!」なんて口ごたえでもしようものなら、バディ・リッチのスティックワーク並みの速さで、箸の柄が鋭角なシェイプを描いて私の額にヒットするわけであります!
更にオヤジは、「2、3回噛んだら飲み込んだてぇ!」とも言ってましたが、それに反するがごとく、私は一回につき“50回噛んでから”飲み込むようにしてました。全く、我が家の教育は一体どうなっていたのやら。親も親なら、子も子ですな!くわばら!

@ちぇっそ@