そういや、こんなことが

不穏な空だね

お店をやっていると色んな人に出会いますね。やはり外向きに門戸が開放されているもんですから、やって来るどんな人物とも接しなければならないわけで、私に選択の余地はありません。
お客さんとはどこか“メタル繋がり”みたいのを感じていて、その辺りで苦に感じることはないのですが、困るのが「営業の方」ですね!まあ、よくもこんな接点のない店に“飛び込んで”来るものだと、他人事ながら場違いな場所へ踏み込んだ、先方の困惑を察してみるワタクシであります。
こないだいらっしゃった営業の方などは、「先物取引き」についてのお誘いをしに来られました。とりあえず店に一歩足を踏み入れ、レジカウンターのところでその説明を始める彼。
しかしながら、当然の如く私は丁重にお断りさせて頂いた次第。するとその方、今度はなんと私にお礼を言い始めたではありませんか!
はて。私が一体何をほどこした?どうやら、田舎から上京してきたばかりだと言う彼は、新人の常、回った先を片っ端から断られ続けたらしく、当然その中にはぞんざいに門前払いを食らわされたことも珍しくはなかったと推測されます。
「このようにやさしくして頂いて、ワタクシ、心が“癒され”ました!」
そんな大げさな。このように、とりあえず話しを聞いてくれて、“丁重に”お断りした私の姿勢にいたく感銘を受けたようなのです。
更に、ざっと店内を見回した彼。ちょっとばかりロックも好きらしく、思わず仕事を忘れて見入っていたほど。
「あのぉ、名刺なんてございますか?」
「いや、特にないんですけど、店のチラシならありますよ」
「あ、じゃあ、それで結構です。今度、個人的にお邪魔させてもらうかも知れません!」
とか何とか言いながら、
「断られる方が多い中、このような優しい方に巡り会えて幸せです!ありがとうございました!」
と、彼は扉の向こうへ消え入ったと言うわけです。しかしまあ、私も他人の例に漏れず、しっかりと”断って”るんですがね。
せいぜいがんばってくれよ、新人くん!都会の荒波は手ごわいぞ!とね。

@ちぇっそ@