ウチの従業員紹介


今晩の夕食はなんですかぁ!今夜の夕飯は、西新宿の料理屋で「角煮丼」を食べたのでした!
以前から気になっていたお店で、じっくり煮込んだトロトロ豚角煮が目玉らしいのです。そんなわけで、連休前で早めに給料が振り込まれた私は、意気揚々とそのカウンターだけの料理屋に掛かる“のれん”をくぐってみたのでした!
さあ席に着くなり店のご主人が、私の注文を先に決めてしまうではありませんか。
「角煮丼でよろしいですね?ウチは角煮を売りにしていまして、それで皆様に食べさせてもらっているんですよ」
聞きもしないのにいきなり店の信条を宣言され、私は思わず、「これは“いい店”に来たぞ!」と、根本敬ばりに頬の肉が緩むのを感じました。何か事件起きれ!(と希望する)
そしてまだご主人が私の炊事の用意をしている最中、新たなお客さんが入店して来ました。それはオフィス上がりのOLさんのご様子。
私と同様、先にご主人にメニューを決定されます。ところが、その女性は更にサイドメニューの「あんにん豆腐」をご注文した模様。(でも私にはその一声は聞こえなかったし、もしかして女性だけの特別サービスだったりしたのだろうか?)
するとご主人がまた一言、こう付け加えたではありませんか。
「いやぁね、ウチのあんにん豆腐は”期待しないで”下さいよ!ウチは角煮でやってるもんですから、あんにん豆腐はおまけみたいなもので、あまり期待しないで下さい!」
そ、そりゃあんた!そこまで謙遜されちゃ、逆に期待しちゃうじゃないの!?と言う突っ込みは抜きにして、そんなせっかくご来店されたお客さんに対して、わざわざ“あんましおいしくないですよ!”みたいなニュアンスを醸し出すのは如何なものかと。
いやぁ、おもしれぇわ(笑)むしろ私的には“期待通り”の展開なんですけどね!
一人でバタバタと切り盛りするご主人。一見するとちゃきちゃき働く職人気質を感じさせるのですが、よく観察していると、もしかして少し手際が悪いだけなのではないかと思えてくるから不思議!(何が?)
いえ、すいません。ご主人、至ってがんばっております。ただちょっと、はりきり過ぎているだけなんですね!
さて、やっと私の目の前に登場した「角煮丼」。チンゲン菜と味付け卵も載り、甘辛だれの琥珀が輝いていて、見るからに手間隙掛けた一品であることがうかがえます。
「上に“わさび”がのってますんで、お気をつけて!」
と言われたそばから、「ん?こんなところに、“卵の黄身”が崩れ落ちてる?」そう思った私は、いきなり“わさび”を「パクリ!」
「ツーン」と鼻に来る刺激と、今にも溢れ出そうになる涙を堪えながら、慌ててご飯をほお張り、少しでもその衝撃を和らげようとすワタクシでありました!
そりゃね、見間違えるってもんですよ。“わさび”と言われて油断したんでしょうね。見た目はどっちかと言うと、“からし”でしたから!色が黄色いんですもの!
確かに、良く煮込まれた角煮はトロトロ。これなら歯のないおじいちゃんでも歯茎だけで噛み砕ける、食物界のバリアフリーと言った感じ。しかしながら、先ほどの衝撃アンド“からし”による味覚麻痺によって、結局味の方はよく分からなかったというのが本当のところでした。
ちょっとした大失敗でしたね(“ちょっとした”大失敗は果たして中くらいの失敗になるのだろうか)
さて、私がふかふかの角煮をパクついている間、また別のお客さんが席に着きました。すると今度はご主人。
「“角煮”ですよね!?いやぁすいません、お客さん!ご飯を蒸す時間があるんで、あと15分くらい掛かりますけど良いですか?いまちょうど最後の一杯が出ちゃったところなんで!」
そのお客さんは、至ってニコやかに「良いですよ!」と応えましたが、いま店内にいるのって、私含めて3人だけなんですけど!まあ、そこら辺はタイミングと言うか、もう少しで閉店するところだったので、ご飯を少なめに炊いてたのかなぁ、なんて!
やっぱ新宿にはおもしろい店がたくさんありますね!
でぇ、話は少し戻りますが(って、なんだか時空列を無視して時を遡るヴォネガットのようなポストモダンですな!)、今日は一日はっきりしない天気でしたね。時折雨も降り、全く、せっかくのゴールデンウィークを台無しにするかの曇り空でした。
そんな中、ウチの大事な従業員はがんばってくれましたよ!ハイ、これがその従業員、「ノーリモース君」です!
彼は雨の中でも、文句ひとつ言わずに客引きしてくれるんですよ!彼も大切なお店のマスコットですから、閉店後室内へ運び込んだあとは、その労をねぎらい綿のタオルで拭き拭きして上げます。
「いやぁ、お疲れさん!それにしてもヒデェよなぁ!こんな日は、ホント言うとお前を外におっぽり出したくはないんだけど、これも商売だ、仕方ねぇ!」
と、至ってポーカーフェイスの“ガン黒イケメン君”に、独り言のように語り掛けるワタクシでありましたとさ!(いやだけど、マジで頼りにしてっからね、君!)

@ちぇっそ@