ACID KING JAPAN TOUR/WIZARD'S CONVENTION VOL.2

絵描いちゃったよ。ペイントで

さて今夜は、待望のACID KINGジャパンツアー、東京初日公演へと行って参りました!
一時は、徹夜で飲み明かしたせいで風邪でもこじらせ、あえなく辞退か!?なんて状況が予想されましたが、目が覚めてみればどうにか体は動く模様。むしろ、久しぶりにきちんと栄養価の高い食物を食べたことによって、弱冠体力が回復したかのようでした。
とは言え、これも単なる錯覚で、もしかしたら途中で急に具合が悪くなることも予想される、危い均衡の中でのストーナー参戦となりました。結果的には、途中会場のドリンクバーの近くでしばし休憩を取る場面もありましたが、全体的にはおおむね良好。ま、ストーナーなんで、この程度のがんばりで充分でしょう、って感じ。
チケットは、モルキドのI.N.R.I.氏から当日に買い付けました。新宿アルタ前で闇物取引をし、さあ会場へ向かおうとすると、なんと当のI.N.R.I.氏まで付いてこようとします。
「あれ、君も行くの?」と訊けば、「せっかくここまで来たんで・・・」”せっかく”とはなんだと思いましたが、さすが同じメンバーであっても、その行動が全く読めないI.N.R.I.氏だけにさもありなん。
場所は新宿LOFT。トップバッターはSTUPID BABIES GO MAD!タテノリビートが、レッツファン!ってな感じのパンクサウンド。MCは一切挟まず。最後まで疾走し続けて、会場のヴォルテージを一気にヒートアップさせておりました。見ていて非常に気持ちがよい。特にパンク好きでない私も、次第に体でリズムを取り始めてしまうような、そんな楽しさがありました。柵によじ登り、フロアへ倒れこむヴォーカル氏を、前列にいた熱心なキッズたちがステージに押し戻すこと多数。素晴らしきハードコア魂ってヤツですね!
続いてはSONIC FLOWER!CHURCH OF MISERYのギターがいることで知られる4人組のバンドですが、なんと今日は諸事情により(?)ドラムまでもがチャーチの方でした。全曲インストゥルメンタルの、70年代〜ストーナーサウンド。ライヴを見たのは初めてでしたでしょうかね。そのサウンドは一見非常に分かり易いものであり、耳に良く残るキャッチーなリフで、小気味良く行進して行く感じです。とにかく最高にクールなバンド。カラフルな音像が、万華鏡の如くに色彩豊かなイメージを喚起します。「ハッ!」とするギターソロ。特に、後半で飛び出したツインリードの調べは、それこそウィッシュボーンアッシュにも通じる、無垢なる天使が、天界から舞い降りてくる様子を想起させるかのよう。無邪気さがそのまま美しさに繋がっている、そんな幸せ気分に浸れる天上音楽と言った風でありました。素晴らしい!
3番手には、餓喇堕魔(ガラダマ)が登場!私が聞いたところによると、確か関西のバンドで、リーダーの方でしょうかね、このバンドの他に別のドゥームバンドをやっているそうです。この餓喇堕魔自体はどちらかと言うと、私の印象ではスラッジに近い感じで、しかも相当にアヴァンギャルドな雰囲気を持ったシュールなバンドでした。「能」のように“間”を多用し、最小の音数で最大の効果をもたらす!そのような引きの美学を感じさせる集団。先ほどのSONIC FLOWERの極彩色とは打って変わって、一気にモノトーンの灰色世界へとステージが一変します。
途中ギターがトラブり、ちょうどベースもブレイクしたところで、ドラムだけが鳴り響いております。しかしドラマーは特別手数を増やすでもなく、正しきドゥームのお手本となる“余計な音は叩かない”演奏を実行していました。とそこで、トラブルに気づいたベース氏が、急にベースソロを弾き始める。この時のソロがとにかく圧巻!とにかく全弦をかきむしり、一体何を引いているのか判然としない状態ではありますが、筆舌に尽くしがたい迫力を放つものでした。
体格といい、ちょっと髪の毛多めな長髪が、どことなくトム・アラヤを思わせる貫禄があって(笑)、最初からこのベース氏には注目していましたが、ベース一本で狂気の世界を演出してみせるとは、やはり只者ではなかったわけですね!盛り上がったベース氏は、しまいにはステージの壁に頭を打ちつけながら(!)演奏していました。燃えますねぇ。正直、初見だったので深くのめりこむことはできませんでしたが(それだけ極端ってことですね)、きっと何度か見る内に、その良さが出てくるバンドなのでしょう。
さあそしていよいよお待ちかね、ACID KINGの日本初お目見え!女帝ロリS率いるヘヴィロック集団。その真価が、このコンクリートジャングル東京で問われるとき!ステージのスクリーンが上がると、そこには伝説の“スモーキン・キング”が「ズデン!」と仁王立ち。
のっけから、「どんよりどよどよ」と始まった東京初演。ベース氏は、カーリーヘアをぶんぶんと振り回しヘッドバンギング。後方には極太のスティックを構え、さながらグリズリーのような大男が、野生の本能赴くままにタイコとじゃれ合っています。ロリSはあくまでクールに。時折り眉間にシワを寄せながら、レスポールから埃っぽいレイジーなリズムを弾き出しています。
う〜ん、高い鼻の延長線に繋がる、このシワのスジがセクシー!着古したGジャンに、ブーツカットジーンズと言う、いかにも南部的な出で立ちは、正にストーナー界にあって”姉御“の名を欲しいままにするもの。ショート丈のジャケットから覗く、豊満なわき腹の脂肪までもが強烈に主張しています!
1曲目がインスト。続いて披露された2曲目のイントロでは、遂に“あの音色”のギターソロを聞くことが出来ました。とても言葉で表現することは出来ないのですが、ヘヴィと言うよりは、モコモコしたリフの中から突如浮き上がる抜けの良いファズサウンド
非常にアタックが強く、ギター本体そのものが良く鳴っているいることを実感できる、そんなインパクトがあります。正直このギターソロが聞こえた時、私の目頭には、なにやら熱いものがこみ上げて来ましたよ。これホント!
しかし総じて全体を振り返ってみると、期待とは裏腹のグダグダ感にしてやられた一夜でした。いやむしろ、期待をしていなかったと言った方が正しい。なんなんだ、このスッカスカな音像は!登場のインパクトを超えてしまうと、後はなんとも言えぬ弛緩した雰囲気が漂い、覇気のない、シャワーの水もはじき返さなくなった、50代の熟女の肌のような感触があったでしょうか。
しかしここで、私は“はた”と気づきました。もしかして、これこそが“ストーナー”なのではないか!?と。
そうです。以前来日したNEBULAもそうでしたが、「なんとオーラを感じさせない外タレなのだ!」これこそが、正にメジャーと一線を画す、決してメジャー足り得ない「SLOB(無精者)」本来の姿なのではないか。
いやもちろん、彼らが落伍者であるはずはないのですが、やる気があるのかないのか、この雰囲気は逆の意味で、生真面目な日本のバンドに出せない味わいではなかったでしょうか。“ストーナーの真髄”を、ここに見た気がします。
単なる宦官びいき、もしくはあえて良くないものを褒めちぎる、屈折した自己満足などと勘違いされては困るのですが、これまでのストーナーの見方を180度転換させる驚きがあったことは、特筆すべき出来事でありました。
会場で出会った眼鏡ゴブリン君にも話しましたが、これはもう本当はライヴハウスのような地下で演奏する音楽ではなく、だだっ広いオープンエアで気温は摂氏37度、既にミネラルウォーターは売り切れており、水分が取りたきゃビールを飲むしかない状況で、気づいたら泥酔していた!と言う場面でこそ、「グッ!」と来る音楽なのです。
グレイトフルデッドPHISHのよなバンドに近い存在と言えます。ここにはっきりと断言します。こんな音楽、絶対に日本人には表現できません!大陸アメリカが産んだ、正に国宝級の伝統芸能と言えるサウンドではないでしょうか。
口が裂けても、「よかった!」と手放しで賛美することは出来ませんが、何度か見ているうちに、いや、“何度も見ているうちに”その良さがじんわりと伝わる。そんな程度の感動を味わうのが本位なのではないかと思いました。
いやぁ、でも見れてよかった!(なんだ結局よかったのかよ)期待が妄想を産む、「まだ見ぬ大物への憧れ」に見られる危険性。そんな価値観の軌道修正が出来た、貴重なライヴ体験でありました!
ラストはBORIS!今日もBORISBORISでした!なんか最近のBORISって、ある意味下品ですよね。バカになるのが止められない!そんな開放感に満ちた、なんと言うか、いや、なんとも言えない感じでハジケまくってますよねぇ。いやぁ、い〜なぁ〜。ジツにイイ!BORISって、変わったよなぁ〜。(なんか意味深?)

@ちぇっそ@