Koiwa Death Fest. vol.18

クレムリン前のマックで決闘!

さて、それでは小岩デスフェスト冬の陣、そのレポートを開始するとしますか!でもちょっとだけ記憶喪失なため(笑)、多少の順不同などはお許し頂きたい所存!
さて、この日トップを飾ったのは肉奴隷!数々の伝説を残す、悪名高き(?)ノイズユニット。ステージにはスクリーンが張られ、客席中央に置かれたプロジェクターからは、悪趣味な映像が垂れ流されます。前方では岡田氏がマイクに向かって吼えまくり、後方には様々なエフェクトを操るノイズ担当がおります。比較的あっさりと終了してしまったので、十二分なカタルシスを得るまでには至りませんでしたが、「これがノイズだ!」と言わんばかりの反骨精神だけは確かに感じられるステージだったでしょうか。
続いてはCONGENITAL HELL!じっくりとじらすような長いSEと入れ替わりに、透明感溢れるギターアルペジオが入り込んで来ます。そこにエフェクトを掛けまくったサックスが乗り、浮遊感漂う幻想世界を創り上げます。正に地獄の入り口といった雰囲気。頃合が高まった時、「よっしゃ!」と一声、コンジェニ氏がステージへと上がりバンド全体がスタート!今日はなんと言うか、M原氏のギターが切れまくっていた一夜ではないでしょうか!メタルチックで硬質なリフをかきむしり、派手なアクションを決めまくるM原氏。ギターヒーロー然とした姿に、思わず「カッコイイ!」と叫んでしまいました。やっぱゴッドですね、この人は!
3番手はEVOL!普通のオッサンが激速グラインドを演ることで知られる彼ら。(笑)今日もそのスピードは、他の追随を許さぬ壮絶なものでありました!ツボを得た曲展開。絶妙の場面で訪れるモッシュパートには、生まれ持ったスラッシャーの血が、思わず反応してしまいます。メタル特有の「泣き」を備えたギター。懐メロだ、懐メロだよー!と、思わず故郷のおっかさんを思い出すかのよう!(思い出しません!)「最近の若者は、生真面目すぎていかん!」と言ったかどうかは分かりませんが、このバンドにはメタルが本来持っているお馬鹿さがあります。「こんな曲展開、馬鹿だろう」「こんな顔したら、もっと馬鹿だろう!」ラディカルで、エネルギーの塊と言った彼らに、ロック本来の楽しさを見た思いです!
この日、要注目であったSUNGODDESS。ロビンさんの率先するニューバンドが、いよいよそのヴェールを脱ぎます!怖いくらい人々が凝視する中(笑)、登場したのはキーボードを含む5人の白塗り集団。女3:男2の比率。ロビンさんはゴージャスな黒のドレスに身を包んでおり、それはまるで雑誌「夜想」辺りで特集されていそうな、ゴシック・ドールの如き姿でした。荘厳な世界観、激烈な演奏。静と動を自在に行き来する楽曲の展開は、霧深いジェヴォーダンの森の中に迷い込んだ旅人が垣間見る、恐怖の一千一秒物語でしょうか。それは夢魔のいたずらか。森閑とした漆黒の闇に、慟哭のブラスト・ビートが鳴り響きます。情景は一変し、魔物に見初められた我々は逃げることすら適わず、ただ自分の首が切られるの待つばかり!
おっと、思わず興奮して創作してしまいましたが、これがとてもデヴューライヴとは思えない充実度!“魅せる”ことと、聴かせること。それらが高い次元で融合し、ひとつのテーマパークのようでもありました。もちろん浦安辺りにある健全なヤツなんかではなく、「地獄のメリーゴーラウンド」ってイメージですがね!(これじゃKISSか)それからキーボードがやはり見事でしたね。バンドと遊離することなく、世界観の構築に多大なる役割を果たしていたと思います。さすが、ロビンさんが見初めたアーチストだけのことはありますね。その音作りからが、とにかく素晴らしかったのです!
さて引き続きましては、我、待ち望む神の降臨、GRUDGE登場であります!GRUDGEにとっても久しぶりの小岩、そして私個人としても、久方ぶりのGRUDGEライヴであります。私は、彼らのライブへイニシエーションを受けに来たのであって、決して分析しに来たわけではありません。細かいことなど抜きで、とにもかくにもこの日のGRUDGEはやはり凄かった、と!もっとも、大分暴れてしまったお陰で冷静になんて見ていられない、って事情もありましたがね!(笑)ギターのファズの音色がマントラのように中空を旋回し出し、デンデロデン!と、永遠にでんぐり返しを繰り返すインドの修行者を思わすバスドラのグルーヴに、完璧にトランスしてしまった私でした!
先ほどの興奮冷めやらぬ中、広島から来た刺客、MERIDIAN PAINがその姿を見せます。ところが、どうもすみません!この時点で相当アホになっていたらしい私は、ライヴの様子をほとんど覚えていません。結構楽しんでいた記憶はあるのですが、一体どんなバンドだったっけ?確か、岡山のWARSTATEや大阪のWOUNDで弾いていたギター氏がいたような気がしましたが、しかしそれとて、単に東京まで単に遊びに来ていた彼がいたのを、“演奏までしていった”と勘違いしているだけだったかも知れません。いや、その彼がいたのだけは幻覚ではありませんのであしからず!全くもって失念、申し訳ない!
さて残すところ後2バンド、GALLHAMMERがステージへと入場!いや、本当に久しぶりに見た彼女ら。最近の評判を聞いているだけに、一体どれだけ成長しているのかが非常に楽しみでありました。これが、正直驚きました!もはやバンド発動当時の初々しさは抜け、悲愴と背徳の化身と化した圧倒的な存在感を発揮するもの。麝香の香りにも似た生々しさがあり、原始の衝動に駆られるがまま陶酔の極みに達する。トランスする反復リズムに身をあずけ、サイバネティックなパンクのビートが、私の神経シナプスをハッキングして行くのです。思わず「貫禄のステージ!」と唸ってしまいましたが、あながち間違いでもないほど、今のGALLHAMMERは経験を重ねて来てますからね、脱帽!
そしてラストを飾るのは、名古屋から来たブラック・メタル・バンドBASILISK!5年ぶりの東京公演だと言う彼ら。なかなかに長い歴史を持つようですが、私はこの日が初見。ブラックメタルと言う名目ながら、特に白塗りなどはしていません。しかし、その全身から醸し出される異様な迫力は、プリミティブで邪悪な属性をむせ返るほどに発散させています。トリオ編成。フロント2人の腕には五寸釘のリストバンド、後方にはヘラクレスのようなマッチョドラマーが控えています。全てが硬派、剛健実直な完璧なるデスメタルサウンドにノックアウトされました。クール!正にクールとは彼らのことを言うのでしょう。常識層に「NO!」と言い続ける反逆精神が、そこには確かに宿っていたのです。ひたすらカッコイイ彼らのライヴは、男臭さムンムンでした。また見たい!
そう言ったわけで、今回の小岩デスフェスト全ての出演が終了しました。いつも楽しませてもらっていますが、とりわけ今回は充実していましたね。メンツが濃いのは毎度のことですが(笑)、初見のバンドも含め、どのバンドの演奏も非常に素晴らしいものがありました。2005年を締めくくるに相応しい、素敵な企画でありました。もちろん、その後に控える忘年会でも、見事に打ちあがることが出来ましたよ!(あ、こりゃ余計だったか)

@ちぇっそ@