指から棘を抜くちぇっそ

聞いてください、今朝のことですよ。満タンになったゴミ箱を押し固めて、燃えるゴミに出そうとしたときです。私の親指に、「グサッ!」とも「グリッ!」ともつかぬ鈍い音を立てて、中層部に眠っていた爪楊枝の先が刺さったのです。
「あだぁ!」なんて奇声を発し、瞬間的に手を引っ込めたのですが、深く貫かれた傷口には真っ赤な血が滲んでいました。やっちゃったよと思いながらも、応急処置の絆創膏を貼り、会社の出掛けにゴミ集積所に放り投げていった私です。
これではまるで、先日観てきたプーシキン美術館展に展示されていた一作、カリエールの「指から棘を抜く女」をそのまんま体現してしまったようであります。実は昨日の日記で、カリエールの別の作品を紹介していますが、当初例として上げた作品は、この「指から棘〜」の方だったのです。
しかし、その段落で用いたコレクションの所在を調べてみたら、シチューキンのが3作、モロゾフのが1作といささかバランスに欠けるものでした。しからば、より私自身が知的に見えるように、いや、偶然高尚なる知性がこぼれ出た、みたいな演出をするべく、同じカリエールであってもあえてモロゾフ所有の作品へ宗旨変えし、両者のバランスを取ったという経緯があります。
その呪いだったでしょうかね。存在を否定された悠久の名画による、手厳しい戒めを喰らったということかも知れません。さすが、歴史の中で価値を高めてきた名画には人々の“想い”が募り、それが“念”となって、予測不可能な霊力を発揮するようになったのでしょう。
私自身、全く高慢な態度を取ってしまったものと反省!これからはもっと謙虚に生きようと思いました。「TBS株で一発当ててニコニコ年金生活!」なんて夢はもう見ません。働いて、脳から煙が出るくらいに働いて、すっかり廃人と化した後は、ミキタニ社長宅専属の便所掃除係として生涯をまっとうしようと思います。

@ちぇっそ@