意外な出会い〜フロム〜葛西

比較的ゆったり過ぎ去った午前中の業務。たまにはこんな緩い日もないと、腹の底からド腐れた仕事などとても続けて行けません。いつ訪れるか分からぬ嵐への、ささやかな前哨戦を味わうのも乙なもの。それとも、その分のんびりムードに比例して、悪夢の度合いが高まって行くのでしょうかね。全く、油断も隙もありゃしないのが私の携わる業務なのです。
と言ったところで、お待ちかねの昼食の時間がやって来ました。込み合う時間をすり抜けるため、そそくさと社屋一階にあるコンビニへと向かいます。私には既に、99円ショップで買ったカップ麺が持参されているので、ここでは麺が戻るまでの3分間を埋める、軽微な食料集めが目的です。
「今日のパンは、何パンにしようかな?それともパンなんかやめて、駅前のイメクラで“おパンツ”脱いじゃおうかな!」
なんてことは、これっぽちも考えていませんでした。
すると、そんな私の背後から「”ちぇっそ”さん!」と声を掛ける人物がいるじゃないですか!最初、私はてっきり何かの空耳かと思いました。だって、こんな私生活とは無縁の、人生を偽って生きている会社の庭の中で、私の“本名”を知る人がどこにいるでしょうか。
例え、もし本当に社内の人間で私の“本名”を知る人がいたとしても、その名を会社の近くで叫ぼうとは、天皇にパチンコ玉で応戦した奥崎謙三に勝る暴挙。いえ、「俺はアンジェラ・ゴソウの肉奴隷なんだ!」と、江頭2:50が叫ぶのと同等の悪い冗談でしかありません。
しかし、声のする方を見た私は仰天!なんとそこに居たのは、小岩のメタルゴッド、K.K.氏その人でした。
「こんなとこで何してんの!?」
私も驚きましたが、K.K.氏も驚いている様子。
「いやぁ。ここで働いてるんスよ、この上の会社で」
「へぇーそうなの!俺はあっちだよ、あそこ!」
って、モロにウチの向かいにある会社じゃないですか!まさか目と鼻の先に、このような出会いが潜んでいようとは。これぞ晴天の霹靂と言うんでしょうね。穏やかな日に突然雷に撃たれかのような衝撃が走りました。
びっくりし過ぎて、しどろもどろ。会社のお膝元でもあったので、なんだか気恥かしいところもあったり。だって、お互い会社の制服着て突っ立ってるんですから。(笑)本来なら、そんな姿は知人には見せたくないところ。本当に、妙なシチュエーションで遭遇したもんだなぁなんて。お互いに、それぞれの姿を見てかなりウケておりました!(笑)
「じゃあ今度、駅前の飲み屋で一杯やろうよ!」
と、男同士の談合を交わして店を後にしました。しかしまあ、こんな近くで知人が働いていることを思うと、なんだか少し勇気付けられる気分にもなりますね。「所詮、仕事なんて幸がねぇよ!」などと腐らずに、今日も一日頑張ろうと思いました。
でもその後、例によって腐ったんですけどね!
「コンビニを出てながむれば、いづくも同じ、敵の行列!」
ってなもんですよ。やっぱこの会社、救いがないわ。
あ、それはそうと。せっかくだから、K.K.氏に駅前のお勧めビデオボックスでも教えてもらおうかなぁ!いや、待てよ。K.K.氏の働いている会社って、毎朝見かけるパープルのダウンベストを来たギャルが通ってたよな。どうせならその娘を紹介してもらった方が手っ取り早いか!
って、そんなエロエロな妄想ばかりしているから、いつまで経っても社会に馴染めないんですね、ボクって!

@ちぇっそ@