21世紀旗手 〜①〜

本日はニンゲンカクセイキによる、21世紀における渋谷DESEOで開催された企画、「21世紀旗手」を観に行って来ました!今夜のお目当ては、最近スケジュールがカブりまくってすっかりご無沙汰していた、インビシブルマンズデスベッドでありました。とは言いつつ、実は今日も本当ならファンタスティック映画際でクロージングを飾るロシア映画「ザ・ナイトウォッチ」を見に行く予定でだったのですが!
しかしメンバーからの直接の誘いがあり、さすがにこれは気まずいと思って(そんなことはない)映画なら後々DVDでだって出るかも知れない。と言うわけでこちらのライヴへお邪魔することに致しました。
もっとも、参加メンツを考えるなら、これほど豪華なアーチストが一同に会すことも少ないわけでして、正に貴重な一夜をみすみす見逃す手はないと思ったのも事実。実際、期待に違わぬ素晴らしい一夜であったと先に記しておきましょう。
と言う訳で、そろそろレポートの方を開始したいと思いますが、一体誰と誰が参加していたのか。あまりに凄まじいメンツに、皆さん腰を抜かさないで下さいよ!(精子を抜くのはオッケー!)それではライヴレポ、スタートです!
時間ギリギリで会場へやって来るとなんと行列が!なんだ、いくら盛況とは言えまだ捌けてないのか。と、少々怪訝に思ったワタクシでありました。仕方ないので、近くのコンビニで酒を買って戻り、やっとのことで受付まで辿り着くことになりました。
するとそこに立ってお客さんをさばいていたのは、なんとメイドコスをしたレイヤーさんたちでした。ああ、この子たちががんばっていたのかと、内心では納得しました。ヲタの癒し系アイドルたちは、てきぱきと仕事ができてはいけないのです!ちょっとヘタレなところが、ご主人様のいじわる心を刺激して、その寵愛の的になるよう仕向けられているのですから!
私も思わず、
「ダメじゃないか!大事なお客様をいつまでもお待たせするんじゃない、メッ!」
と、手を軽く握り、ちょっと気取って立てた中指で、いけないメイドの額をチョン!とついてみたくなりました!(ならねーよ!)
既に演奏はスタートしており、防音扉の向こうからは小粋なアップビートが洩れ聴こえています。
一番手は「いこち」。さあ、お洒落で濃密な“大人の時間”を満喫することに致しましょう!
トリオ編成のビートロック。スーツで決めたドラム氏に、アットザドライブインのようにアフロで爆発したベース氏がバックを固めています。そしてギターヴォーカルには、ドレスアップした黒いチューブトップのワンピースを召した“お姉さま”が、実に色っぽい歌声を聞かせております。
女性でありながら、時に野太く力強い発声。綾戸智絵もかくや!と思わせる表現力。確かに、かなり世慣れた雰囲気で、その演奏は実にこなれたものでした。余裕すら漂う佇まいは、ちょっとカタギの人間には見えません。
と思ったらワタクシ、次の次くらいのMCでやっと気がつきました。なんとこの方、巷で言うところのいわゆるニューハーフ系の方でらっしゃったんですね!そりゃこなれてるわけです。
「可愛い子(男子)には優しくしてあげるわよぉ」
いや参った。お姉さまはお姉さまでも、「お姉系」だっとはこれいかに!今まで期待してくだすった皆さんには誠に申し訳ない!本職ですから、そりゃ官能的なわけですよ。
言ってみれば、大人のアーバンミュージック。いや、本物の夜の住人たちによる、エロチックなナイトミュージックでしょうか。その魅惑的な演奏に耳を奪われ、確かなエンターテインメント性に、初見の私ですら充分に楽しませてもらいましたよ。途中、演奏を間違える場面がありましたが、きっと多忙を極める“本職たち”のこと、多少の練習不足も致し方ないと納得した次第。(んなこたないか:笑!)
ラス前にドラムの方が告知MCを入れましたが、大人びた風貌、滑らかで饒舌なそのスティックワークとはうって変わり、マイクを持ったら急に幼い子供のように動揺する様に爆笑してしまいました。いや、このギャップこそが母性をくすぐる色気に繋がっているのでしょう!酒が美味く飲めました!
そして2番手にはなんと、“あの”「魚港」が登場!テレビではちょくちょく見かけていましたが、いつか見られる日を心待ちにした今夜、ついにその男たちとともに、荒れ狂う玄界灘へと出航することが出来ました!
ステージは大漁旗に彩られ、絢爛にして荒々しい男の“臭い”を発散しています。そして、そんな男たちの哀愁をとくとくと伝える、情感に溢れた「しょんが節(豊漁を祈る)」が流れる中(曲名は適当に当てはめた)、これより第五福竜丸(じゃないかも)に乗船する勇ましき漁師たちが入場して来ます。
先ずは“見習い(名前忘れた)”、続いて“深海光一”、そして船長の“森田釣竿”が颯爽と現れます!そして船長はその強面を思う存分発揮し、すれ違う観客たちに“ガン”を飛ばしながら、肩で空を切りながら勇んで歩いて行きます。ヤクザだ、コイツ。ホンマもんのヤクザやァ〜!
ステージへ上がる正にその一歩手前、くるりと振り向いた船長。「カッ!」身構え、その懐から取り出したるものは、なんと刃渡り数十センチを越える巨大な出刃包丁!
「触ったら切れるぜ!3枚におろしちゃうよ!」
と言ったかどうかは知りませんが(言ってないが)、観客からのどよめきを背に受け、ステージ向かって振り返った船長は、鶴田のロープ跨ぎの如く柵をひとっとびするでもなく、見事なフェイントで“柵をくぐって”上がりました。そんな船長の後ろ姿には、そこはかとない哀愁すら漂っていたのでした。
一瞬、水を打ったかのように深閑とする場内。始まった一曲目、「大漁節だよおっかさん!」どんどこどんどこ、ぴぃひゃらぴぃひゃら!釣竿一本サラシに巻いて、今日も鳴る鳴る腕が鳴る!でんでん太鼓に囃子の音。
「子っこはいねがぁ、子っこはいねがぁ!しゃきらもねぇがぁばっか言ってっと、やさぶろうバサがくらしつけっろ!」(際限のない事ばかり言ってると、やさぶろうババアがこらしめるぞ!“やさぶろうバサ”とはつまり越後の民間伝承による都市伝説的化け物、鬼ババア・勝てないくらい強いクソババア)
ちょっと話題がずれましたが、ステージでは「カ・ツ・オ!カ・ツ・オ!」の掛け声が威勢良くこだましています!続いては、激しいハードコアナンバー。しかしそこは本職、腐っても魚のことを決して忘れる海の男ではありません!
「マグロマグロマグロマグロマグロ!」「さばけさばけさばけさばけさばけ!」
正にライム自体がリフを刻む。私など、思わず高円寺百景の「パマレパマレパマレパマレパマレ!」のフレージングを思い浮かべずにはいられませんでした。やはり、脳みそがプログレッシヴに汚染されている証拠なのでしょうね!
そして深海の底のような暗がりに包まれたステージでは、ちょうちんアンコウに題を取った曲目が演奏されます。暗い海の底は平方センチ辺り何トンと言う、凄まじい水圧に耐えて泳ぐ深海生物たちの宝庫であります!太陽の光さえ奪う水の壁。
「ぴか〜ん!」
あ、光った!今、確かに光りました!これぞ暗黒の海底で日々行われている、人智の及ばぬ奇跡の食物連鎖。船長が手にしている懐中電灯、いや!アンコウの神秘なる生態が明らかにされます。
光は会場を照らし、そして深海で揺らめく“深海幸一”を照らし(うわっキモ!)、何かが起こることを予感させて起こらない脅威のショートナンバー!ORBがナパームデス並みに短い曲を演ったらこんな感じ(?)“癒し”と“インパクト”を両立させた見事な名曲でした!
と、ここで船長が船員たちの紹介に入ります。サンプリング担当の“見習い”に、「最近好きな食べ物は何か」と問えば、「ラーメンです!」と答える見習い。ちょっとだけ苦笑した船長でしたが、「いやね。そりゃオレだってナクドナルドくらいは食べますよ?!」と必死に弁護(?)に廻ります。しかし!
そこで思わず笑みを漏らしそうになった見習いに、「男なら笑顔を見せるな!」と厳しく一喝!これぞ漢(おとこ)の心意気!舐められちまったらおしめぇなんだよ、男ってやつはさぁ!
そして相方の深海幸一氏にも同じ問いを。すると。
「チ・キ・ンです」
朴訥と応える氏に向かい、ここはさすがに渋い顔の船長。
「なんだと?!チキンとは一体どういうことだ!」
海で最期を遂げると誓った仲間(私の中での予想)、うろこの生えた生き物の名を上げずして何が漁師たるや!これでは気分を害されて当然です。ところがさすがは船長、そんな動揺をおくびにも出さず、更に幸一氏に突っ込んでみます。
「ちなみに、どんなチキンだ」
「ハイ。炭で焼いたヤツ・・・」
ズコー!この贅沢ヤロウ!さすがに以心伝心。ツーカーのコンビネーションが絶妙な“魚港タイム”を演出していました!
ここで船長が自身の生い立ちを語りだします。代々魚屋をやっていた船長一家。しかしここのところ魚の売れ行きがよろしくない!そこで考えた将来の若大将。バンドをやって、魚の売り上げを伸ばそうじゃないか!と言うわけです。
「フィッシュ・ロック!」時代に窮する先鞭を担い、魚とロックの融合を試みたこれまでにない斬新なアプローチ!利益度外視。いや、“音楽による利益は度外視!”あくまで、魚のプロモーションのためにその身を捧げる。逞しき漁業戦士のあるべき姿がそこにあるのです!
船長が続けます。
「いいか、ここから大事なんだ。良く聞け、特にそこの“ガイジン!”」
指差して指名された外国人は何故か嬉しそう!
「あのなぁ、あの“デズニーなんとか”ってヤツがだな。昔からあった港を埋め立て、それで行き場を失った漁師が築地や浦安へ流れ込んで・・・(長くなるので割愛)」
とってもありがたいお話を聞くことができました!
さあ、気がつけば既に26分が経過。MCを“少しだけ”長くやり過ぎた船長が急に焦りだします。
「あ、あのぅ。まだ時間大丈夫ッスか?あと1曲、いや、あと2曲行けるゥ?いけなかったらアレだ。どうする、お前ら?艶っぽいのがいいか激しいのがいいか?どっち・・・艶っぽいのがいいって?よし・・・じゃあ、ぁ、ァ、艶っぽいの、行くぞぉ!」
なんかしっちゃかめっちゃかな状態で始まったムーディでメロウなナンバー。船長の、実は情感溢れる男の色気漂う歌声に、場内はシンとして聞き入っています。すると中盤から、そのアクションが更に“艶っぽく”なって行きました!
ベリーダンスよろしく、クネクネと踊りだした深海幸一氏。船長も負けじと、“あくまでマッチョな雰囲気を崩さずに“、腰をクネックネッ!これならブリトニーも真っ青だね、やったぜ船長!
そしてPAさんからのオーケーを確認し、演奏することが許されたラストナンバーでは、噂に聞く、伝説のパフォーマンスをこの目で目撃することができました。それはもちろん、マグロの解体です!
本日登場したのは、マグロのカマ。直径50センチはあろうかと言う、巨大マグロの頭を掲げてステージ袖から再登場した船長。獅子舞の如く顔前にかざしたカマのエラを掴み、「グアッ!」っと広げると、それは在りし日の「エリマキトカゲ」を連想させる迫力がありました。
「グアッ!」また「グアッ!」見るものを威嚇するその魚体。これぞ“魚男!”私はその圧迫感にこらえきれず、思わず「ウオッ!(魚)」っと叫んでしまいました!
まな板に霧吹きで消毒を施す船長。そしておもむろに、取り出した包丁をその頬に突き刺します。
「ほら、コレがマグロの頬肉だ!炙って食うと、美味い!」
グアッ!今すぐ炙りてぇ!そしてすかさず脳天に切れ目を入れ、頭骨に添ってスプーンですくい上げる。
「これが頭の部分!これは生で食える、しょう油付けて今すぐ食えるぞ!」
いやむしろ、今は残ったカマにそのまんまカブリつきてぇ!手際よく皿に盛り付け、一仕事終えた船長が一言。
「いやぁ、今日は脂がノッてる!」
「イェーイ!」
場内からは割れんばかりの拍手と、羨望のまなざしが向けられます。
「さあ、張った張った!これくらいになるとセリで5千円くらいから始まるんだよ!どうした、誰かいねぇか!」
「1万円!」
今夜訪れた極上の上機嫌に任せた観客から声が上がります。
「なに、1万だぁ!?よし、気に入った!持ってけこのヤロウ!頬肉だから必ず炙ってから食えよ!いいな、言うこと聞かねぇで腹壊しても、責任持たねぇからな!」
いよっ!さすが船長、きっぷがいいねぇ!男気溢れる船長に正しきニッポン男児の姿を見る思いです!
「頭はどうだ!誰にやるかなぁ?よし、じゃあそのガイジン!お前もってけ!
先ほど、デズニーなんとかの話題で引き合いに出された外国人にご祝儀!粋だねぇ。やっぱ海の男にゃ気概がある!昨日の敵は今日の友。魚を食えばみんな仲間さ!
「じゃあな、今日はこれまで!」
こうして、漁港の渋谷における“漁”は、私も含めそのほとんどが彼らを初見だったにもかかわらず、見事に大衆の心を掴み、歴史に残る大漁を記録したのであります!いや冗談抜きで、ホントに見事な“漁獲”っぷりでした。
終演後も「船長に惚れた!」と言う、渋カジ(古いか)の女の子たちの声が絶えずあちらこちらから洩れ聴こえておりました!そりゃそうでしょう、これだけのもんを見せられては、きっと“あの娘”の股間も“大漁”だったことでことでしょうよ!(なにが大漁やねん!やっぱ“潮”だけに“黒潮”ってことッスか?いやらしいですねぇ!)

(長いなあ、これで”半分”ですか?続きは後ほど。ってゆーか、ほとんど漁港レポになってるゥ!?)

@ちぇっそ@