ファミリー操業

秋の長雨がついに訪れましたか。季節はこれより、いよいよ木枯らし吹きすさぶ、荒涼の秋へと突入するわけですね。え、“紅葉”の間違いじゃないかですって?いえいえ、こんな都会で悠長に季節の変遷を楽しんでいる余裕なんてありませんよ。ここは東京砂漠、荒廃し切った人間関係が略式の人生を歩ませるだけですから!
そんな私は23時まで残業。キャンペーン発送という大事なイベントがあると言うのに、それを処理する今日当日まで何も打ち合わせされていないと言うだらしなさ。しかも、先方のクライアントに確認をとらなきゃいけない事項があると言うのに、その先方が23時まで帰社しないとのこと。
って言いますか、そんな時間になったら普通直帰しますよ。ホントに会社へ戻ってくるんでしょうかね。ま、私はそんなことまではかまってられないので、23時の時報と共に帰宅致しました。それでも遅いですがね!
まあ、そんな愚痴ばかりこぼしていても話題がつまらなくなるだけですので、ちょっと最近気づいたことを2、3ほど。
先日、私をこの会社まで連れて来てもらった派遣会社のM氏。その彼がなんと先月で退社するとのことで、先週の暮れに挨拶に来たのです。私が月曜に投入されてから、その週末に退社したと言うあわただしさ。
ところが、つい今週に入ったところで、そのM氏が我が社の現場の方で働いているとの目撃情報が入ります。それを知らせてくれた上司によると、「ウチのジャンパー(いわゆる社内の制服ですな)着て作業してるよ!」と言うではありませんか。
ついぞその日は、その姿を見ることはありませんでした。しかし、もししばらく続けると言うのなら、その内お目にかかるだろうとは思っていました。そうしたら本日、そのM氏が事務所の方まで顔を出したのです。
私とは会話がなかったのですが、他の社員さんと(もちろん面識があるので)話しているのを聞いていたら、どうやら私の登録している派遣会社から“派遣”されて来ているようでした。つまり、今まで正社員として働いていた会社で、今度は一介の日雇い労働者へと転じてしまっていたわけです!
なんだかかなりギャグチックなエピソードでありますが、それってもしかして、突然会社を辞めたことによる、会社からの報復なのではないかと勘ぐってみたり。まあ、そんなこともないですかね。何せ働いた分をきちんと振り込めないほど、適当な仕事をしている会社ですから。
なんだか、馴れ合いな雰囲気を醸し出していて、とっても“ファミリー”な印象を与えますね。もちろん、一族経営の王位継承制という意味ではなく、「YO!俺たち、ブラザだぜっ!イェー!」ってなノリのことですね。
気色悪い親父どもがつるんで、「オレたちは悪かねぇんだよ。あっちの会社がよォ、オレたちの主義を分かっちゃくれねぇだけなんだよ!」などと言った、決して自らの非を認めない、自己責任を放棄した傷の舐めあいを繰り返す集団のことです。ああ、いやですねぇ。
「ただ今ワタクシ、ワケあって就職活動ができないんですよ!」と言う、とっても抽象的で意味の分からない理屈も凄いんですけどね。どう言った意味で、就職活動が出来ないと言うのでしょうね。失業保険の関係ですかね。だったら、失業中にするアルバイトで小銭稼ごうって魂胆っすかね。まあ、そこら辺はどうでもいいので追求しませんが。
なんだかですね、相当おもしろいですよ!でもこのM氏、以前も「いやぁわたし、以前はサラリーマンやってたんですけどね!」なんて言って、現場の実地作業をしていたのを目撃しています。もしかして、就職してはすぐに退職する常習犯か!?などと想像してしまいます。
いや、いるんですよ。派遣社員としてやっている人の中には、結構そう言う人がいたります。何かしら人間として欠陥があるのでしょうね。それを言ったら私も例外ではありませんが。
松屋で軽く外食を済ませた私は、アパートへの道を歩いていました。すると、私がいるのと反対側の歩道に、店の軒先で雨宿りしている乞食がいました。死角から一気に現れたその汚人(オジンでも良いし、オジーでもいい:なんだそりゃ)に、私は一瞬幻を見たのかと思いました。いや、むしろ亡霊か!
異次元からの使者のような佇まいに、全く度肝を抜かれましたよ。まるで最初からそこに置いてあった置物のようでもありましたから。それが突然、動いた!ってなったら、誰でもビックリすることでしょう。
いやしかし、気を取り直してみると、なんだかとっても“格好いい”ではありませんか!完膚なきまでの嫌悪を与える存在感。これぞ人間が人間として生きている証明ではありませんか。人生なんて迷惑かけてなんぼ!悪いヤツほど後世に語り継がれるってもんじゃないですか!もっとも彼らの場合は、世間からその形跡すら抹消されてしまうわけですが。
いいなあ、無色透明さんですか。究極の匿名性を帯びた、法規による便宜上では存在しない人物。これぞ自由、これぞあらゆる干渉を遠ざけた、徹底的なる自己責任に生きる人なのです。
凄いですね。ホリエモンくらいの人生なんて、とてもつまらなく思えてくるから不思議!

@ちぇっそ@