飲まずにやってられるか!

一日のうち、一体どのタイミングで飲む酒が一番体に響くのか。
私の場合、それは仕事が終った正にその刹那、帰宅電車待ちのホームで開ける缶ビールの一杯こそが、旱魃しきった胃腸の内壁へと一番染み渡る瞬間だ。
今日も一杯たしなんだ。サントリーのこんがり秋生。
昨日は、冷えた鬼殺しをワンパック。この臨海公園駅前のコンビニは、日本酒が冷で置いてあるのが、酒飲みにとってまことに嬉しい限り。
おとといは、麦焼酎かのかの350ml缶。かけつけの一杯にはちょいと量が多いが、芳醇な麦の香り楽しく、かなり酩酊した状態で電車のドアにもたれかかっていた。
以前の、寂れた二俣新町ではかなわなかった、ある意味風光明媚な土地、臨海公園。日本で2番目に大きな観覧車などを眺めながら、これからの季節なら、中秋の名月などを拝みつつ一杯やるのもオツなものだろう。
家に帰れば寝るだけなのだから、別に駆け足で帰る必要もありゃしない。
これが目黒辺りの人でごった返したホームであれば、こんな具合には行かないのだが、ちょっと郊外のこんな微妙に寂れた土地でなら、一人の時間をじっくりと満喫できると言うもの。
確かに人通りはあるが、別に気にするほどの数ではない。集団心理を起こすに至らず、ましてや個人で、私を叱責しようなどと言う勇気のあるものなどいないのだから。
もっとも、人から注意されるような、タチの悪い飲み方などしてはいないのだが。
家に帰り着き、夕飯を食べながら飲む酒は、割りあいすぐに冷めてしまうものだが、ここで飲んだ酒は私が寝につくまで、随分と長い間その効力が持続する。
実質、それほどの酒量はないはずなのだが、仕事帰りに早速飲んだ酒でかなり出来上がってしまう私である。
だから家へ着いてからは、せいぜいウィスキーのワンショットを1杯か2杯たしなむ程度で収まる。
まあ、こんな飲み方もありでいいのだろう。どうせウチには、まだ封を開けていないスコッチが4本と、封を開け、ちびちびやっているブレンデッドが2本もあるのだから。
こんな季節、こんな気分のときには、J・G・バラードの短編が読みたくなる。
幻想的と言うか、ペシミスティックに満ちた卑屈な小説群は、私の精神を侵食し、在らぬ方へと思考を迷走させる。
バラードのバラッド。あらしの夜、たそがれのデルタで、私はプリマ・ベラドンナと恋に落ちるのだろうか。
私のヴァーミリオンサンズは、フローラルな食虫花の中へ。

@ちぇっそ@