スラッシュ・ドミネーション2005!

本日は、川崎クラブチッタにて行われたスラッシュ・ドミネーションを見てきました!
では早速、「びっくり、こんな曲が!?」「え!こんな出来事があっていいの!?」ってな、サービス精神満載だったステージの様子をご紹介しましょう!
さあ、会場に到着すると時刻は3時ちょい過ぎ。既に開場しており、整理番号の比較的早かった私は、早速列の後に続いてチッタ内部へと入場致します。中のロビーには出店各店が並び、さながら「メタルフェス」の活況を呈しています。渋谷のブリッツさんや、ディスクユニオン、またはディストロレーベルのT.H.A.さんまで(!)、もちろんオフィシャルの物販まで揃って、ちょっとした縁日のようでした。
さすが第2回目ともなると、イベントのプレゼンテーションにも力が入るってもんです。賑やかな場内の様子に、すっかりやさぐれていた私の心も、はやる思いです!
実は何気に川崎駅で、その後姿を見かけていたWISDOMのエージ氏と合流。とりあえずこういうのは早めに酔っ払ったほうが得!とばかり、コンビニで買い付けていたそば焼酎の280ml缶を開けながら、開始時間までエージ氏とダベっています。すると間もなく暗転。いよいよ、トップバッターのKREATERが登場します!
夢にまで見た、スラッシュメタル界の哲学者たるミレ・ペトロッツァが私の眼前に聳え立ちます!1曲目はニューアルバムから「エネミー・オブ・ゴッド!」ここのところ新譜を聴きまくっていた私にはうれしいオープニング。早速、ガンガンと振る頭がとどまることを知りません!
2曲目も新譜から、曲順通りの「インポシブル・ブルタリティ」へ。この2曲のつながりは正に「ヘリオン〜エレクトリック・アイ」に通じる、メタル界指折りのコンビネーション・ナンバーではないでしょうか!
そして3曲目にはなんと、2ndアルバムからタイトル曲の「プレジャー・トゥ・キル!」。ア、アブナイ。いきなり初っ端から失禁しそうになりました。これぞ現役バリバリの強みか、このジャーマンのベテランは出し惜しみしない大盤振る舞いで、我々キッズを一気に畳み込もうと言う魂胆のようです!
その後、意外と持っているアルバムの少ない私は、知らない曲を結構やられましたが(多分「エンドラマと」か「コース・フォー・コンフリクト」とか)、しかしどれも“クリエイター印”の付いた楽曲には分かりやすいフックがあり、素人の(?)私でもすんなりのめり込める安心設計なのでした!
(初期マニアのために)一応記すと、新譜からは他に「スイサイド・テロリスト」、そして私の大好きな「テリブル・サートゥンティ!」、そして遂に出た「エクトリーム・アグレッション!」、これを聴かなきゃ帰らねぇよ「ビトレイヤー!」、悶絶!「フラッグ・オブ・ヘイト」〜「トーメンター」と言う怒涛のスラッシュ地獄!
ミレ・ペトロッツァの存在感。独自の世界観を構築し、場内の空気を一瞬にして様変わりさせるそのカリスマ性は、孤高の音楽テロリストの名に相応しい迫力に満ちておりました。眼光厳しいミレの、音楽にかける闘志に圧倒されたライヴでした。素晴らしい!
ちなみに、お知り合いバンドのFASTKILLの某氏は、「ビトレイヤー」と「トーメンター」のとき、私の頭上を通り過ぎて行きました。(タブン?)まあ、そりゃ当然ですよ。世が世なら、私も参戦したかったくらいですから!(単に年寄りだってだけですな)
そしてステージ転換も済み、2バンド目のラーズロキットが出番となります!
正直、あまり期待していなかったバンドですが(いえ、もっともある意味非常に感心を持って待ちわびていたわけですが)、まさか1曲目から「ファイヤー・イン・ザ・ホール」で攻め込んでくるとは!フロアではやくもキレイなモッシュ・ピットが出来上がり、私も思わず輪に加わりグルグルまわってしまいました。やっぱ、ベイエリア系スラッシュはこれだよ、これ!楽しい、楽しいッス!
メンバーは昔日から見た目が変わっており、髪を切ったマイク・クーンズは、ドラマーなら通じるでしょうが、最近のサイモン・フィリップスのような容貌になっていました。言ってみれば、近所の人の良いメタル兄ちゃんって感じ。しかし、昔ならボリュームのカーリーヘアに隠れて見えなかった素顔(?)が見れ、なかなかナイスガイっぽそうなその表情に思わず惚れてしまいそうでした。ホント、かっちょ良かったッス!
そしていろいろと曲をやったのですが、惜しむらくそのほとんどが廃盤であり、予習復習の出来なかった私には、知らない曲ばかりでありました。ですが、どれも皆キャッチーであり、ロックンロールの如きノリのあるリフは、そんな些細なことなど気にせず楽しめるものでした。
いやまあ、ホントに楽しかった!「クリエーターのあまりの迫力に、ちょっと喰われてしまった」と言った意見もあるようですが、私は断じてそう思いません。単に音楽の志向が違うだけであり、確かにブランクがあったとは言え、この日のラーズロキットは素晴らしい仕事をしました。実にライヴ映えする楽曲の数々に魅了されてしまった私です。
付け加えると、ラストの曲を演奏する前、ステージ袖へと密かに隠れたマイク・クーンズ。次に登場したとき、その”頭”にはなんと在りし日の“カーリーヘア”が復活しているではありませんか!実はカツラで(それも結構チープな:笑!)、場内はかなり大爆笑だったのですが、見慣れてくると確かに“あの頃の”マイク・クーンズに見えてくるから不思議!
このサービス精神、途中「テスタメントがあそこで見てるからさ!」なんて指差した2階席には、なんとライヴの様子を覗きにきたチャック・ビリーの姿が!「テスタメント、出て来いやぁ〜!(なんで高田延彦調やねん)」とか、「みんな、他のバンドも楽しんで行ってくれ!」なんてやり取りに、陽気なバンドの雰囲気が出ていましたね。まるで我々が小さなライヴハウスで見せるようなノリでしたが(笑)、バンドも観客も終始笑顔の絶えることのない、実にアットホームなステージだったのです!
偶然にも同じ日に見に来ていた、ZOMBIE RITUALのDrHetred氏と「ラーズロキット良かったよね!」なんて言いながら、次のデストラクションの出番を待ちます。今日ここに来ていた知り合いは他に、凶音のドラムの方、そしてグラインド関係者ならだれでも知っているヒデキ氏合同チームなどがおりました。ロビーには、ああ、RITUAL CARNAGEのあの方まで。お世話になっております!
そして3番目は、前回の来日を見逃し激しく後悔した、デストラクションが世界を破壊し尽します!
颯爽と現れたデストラクションのメンバーは3人!最近はずっと4人編成だったので「あれ、一人足りないじゃん!」なんて思ったのも束の間、ステージには間違いなくシューミアの姿もあるじゃあないですか。つまり、“トリオ・デ・スラッシュ!”初期デストラクションの到来を告げるものであります!
ニューアルバム「ソールコレクター」から幕を開けたライヴ。これぞ突撃スラッシュの権化!早くも怒涛のスラッシュ・ビートが炸裂します。シュミーアがお得意とする、あの天に突き抜けるかのようなハイトーン・ヴォイスも炸裂。デストラクション顕在をここに示すマニフェストの表明です!
やばい、それにしてもやばい!いまここに、本当にシュミーアがいるなんて信じられません!それこそ眼前に屹立するスラッシュ神のカッコよさと言ったら。スタッド付きのレザー・ベストをまとい、弱冠斜めに身体を構え、フライングV型シェイプのベースを股に挟み、伝説的とも言える名曲の数々をかきむしっているのですよ!
もう私の目はシュミーアに釘付け。新めのアルバムから多く演奏されたりしていたようで、私の知らない曲は確かにあったのですが、そんなことはお構いなし!最小編成のトリオと言う、ロックの根本である見た目のカッコに魅了されっぱなしでした。やっぱり「世界一ガンベルトの似合う男」はシュミーア意外に考えられませんね!
しかしこのバンドにはもう一人、マイクと言う素晴らしく個性的なギタリストがいるわけです!シュミーアに比べ小柄ではありますが、その存在感は圧倒的!ふさふさのカーリーヘアを振り乱し、こちらもフライングV型シェイプのギターを刻んでいます。さすが、スラッシュ一筋20年のキャリアは伊達ではありません。彼がギターを弾いていると言うだけで、何かが天から降って来ているようであります!
演奏曲で覚えているのは、「久しぶりにやるぞ!」と始まった「アンコンシャス・ルインズ」、重厚なグルーヴのある名曲「ライフ・ウィズアウト・センス」、「何が聴きたい?」とシュミーア、会場から大声を発するひとり。(私の真横にいた男性ですな)「え、なんだって?」聞き返すシュミーアに、その男性がもう一度「メタル・ディスチャージ!」、「よし分かった、次はメタル・ディスチャージだ!」コール・アンド・レスポンスで始まったのは、デストラクション最近のニュースタンダードナンバーです!
そして忘れるハズのない、彼らを代表する名曲であり、今年のヘヴィメタル王座決定戦で私がエア・デストラクションを披露した「マッド・ブッチャー」も炸裂します!そして「もっとやってくれ!」の声に応えて始まったアンコール。はっ!このSEは!なんとここで登場したのが「カーズ・オブ・ゴッズ!」私は思わず地面にひれ伏しそうになりました!そしてラストは最近作から「スラッシュ・ティル・デス!」を演奏して終了。あ、「ベスティアル・インベーション」も演ってたかな?
破綻寸前で突っ走るビート。塊となった音は一瞬何がなんだか分からなくなることもありましたが(笑)、それはいかにも初期デストラクションのプリミティヴさを伝えるものであって、今もって彼らがメタルの第一線で活躍している底力を見せ付けるものでありました!
さあそして本日オオトリを勤める、我らがテスタメント!バックドロップには、まるで「これはプラクティス・ツアーか?」と思わせる、“あの”シンプルなバンドロゴが掲げられています。これはもう、期待が高まるじゃないですか!今回の来日は驚きのオリジナル編成。さあて、どうなることやら。とりあえず、はしゃぎすぎてダウンするかも知れない、明日の心配はしないことにします。
ビール片手に登場した“ビリビリビリ男”チャック・ビリーに続き、続々とメンバーが現れます。分かっちゃいるけど目の前の光景が信じられない。ステージ上には、スラッシャーたちにとっての“夢”が乗っかっているのです!
昔と全く変わりのない、長身痩躯のベーシスト、グレッグ・クリスチャン。弱冠ぽっちゃりとしてしまいましたが、確かにやって来たルイ・クレメンテ。そしてやはり、テスタメントには彼のギターしかないじゃないですか!髪を少し切ってスタイリッシュになった、アレックス・スコルニックが!もはや見ることのないと思っていた、オリジナル・テスタメントが勢ぞろいです!
始まったのはなんといきなり「ザ・プリーチャー」から!これで盛り上がらないはずがありません。のっけから大合唱、ヘドバン、フィスト・バンキングの嵐。私の目の前にはエリック・ピーターソンが立っています。どっしりと構えた位置から、クランチの効いた鉄壁のリフを奏でます。
バックではルイが堅実なドラミング繰り広げ、飛び跳ねるようにしてベースを叩きつけるグレッグは、久しぶりの来日を本当に楽しんでいるかのように、その顔には満面の笑顔が浮かんでいます。やばい、グレッグカッコ良過ぎ!そしてステージ反対側に目を向ければ、そこには滑らかな運指で、にわかに信じられないようなスピードでもって、フラッシーなソロを弾き出しているアレックスがいるのです。
これこそ伝説と言うものでしょう。確かにライヴ全体を総括してみると、長期ブランクのあったメンバーもいるせいか、心なしか演奏がヨタッていたような気がします。しかしやはり、このオリジナル・メンバーでしか有り得ない、一種異様なオーラと言うものがあり、唯一無二といった存在感に「これぞテスタメント!」を強烈に意識せずにいられないものでした。
私が特に嬉しかったのは、他のジャンルで活躍中のアレックスはともかく、髪を切ってすっかり普通のオッサンとしてやって来るかと予想していた、ルイとグレッグが、昔と変わらず洗いざらしのロングヘアーそのままで登場した事です。これだけでもう感動!10年ですか?15年前ですか?正にかつてのテスタメントの姿が再現されているのですから!
そんなこんなでシビれまくりのライヴでは当然の如く、往年の名曲が矢継ぎ早に繰り出されて行きました。アルバムで言えば、「RITUAL」までの曲で構成されていて、オールド・ファン冥利に尽きるノスタルジー溢れる選曲となっていました。もちろん後ろ向きと言うわけではなく、あくまでテスタメント流ファン・サービスの一環と言うわけっすね!こりゃ、たまんねぇや!
演奏曲ですか?そんなの、言わなくても分かるじゃないですか!なんて言っちゃあ、レポにならない?全て書き出せないことはないのですが、それじゃキリがないので印象的だった曲だけご紹介。
「エレクトリック・クラウン」と「ザ・レガシー」が演奏されたことはかなり意外でした。特に「ザ・レガシー」なんて、まさかスラッシュ・メタル・フェスへ来てバラードが聴けるとは思ってもみませんでした。(笑)いやしかし、この意外な1曲に、私は思わずエモーショナルな気分になってしまいました。透明感のあるエリックのアルペジオに、涙がチョチョギレそうになりましたよ!
2ndから「イントゥ・ザ・ピット」「ディサイプル・オブ・ザ・ウォッチ」、3rdからはもちろん「プラクティス〜」、4thから「ソウルズ・オブ・ブラック」など。
1stからがかなり多く演奏され、「アローン・イン・ザ・ダーク」では、コーラス部分を会場全体で大合唱。名曲「オーヴァー・ザ・ウォール」ではセキュリティの制止を“制止して”(笑)、クラウド・サーファーしてくるキッズを、チャックがどんどんステージへと引き上げます。これぞスラッシュのライヴ!飛んでこそなんぼや!ひっきりなしにダイヴァーがステージへと駆け上ります。その中には、「あ!」あの人は元セメントの方!(笑)そして去年、今年とヘヴィメタル王座決定戦で2連覇を果たしたフジメ氏の姿も!あなたたちも相当好きねぇ(笑)
といったわけで、ラストは確か1stから「レイジング・ウォーター」を演奏して、久しぶりのオリジナル・テスタメントの公演が終了したのです。欲を言えば、グレッグのスラッピング・ベースがうなる「バーリアス・ネーション」も聴きたかった!なんて贅沢でしょうかね。(笑)それはともかく、本当に感無量!素敵な時間をありがとう!出来ることなら、このままメンバーで活動を続けてもらいたいものですね!
さて終演後、私は某アラキング氏がDJをしているという、チッタ2Fのバーへとお邪魔してみます。すると卓のところに、ちょうどその彼の姿が。早速近寄って話し込みます。
スラドミどうでした?」から始まり、「このコンピの中から何かかけてもらいたいもの、あります?」それは毎年開催されるチェコのデス/グラインド系イベント、「オブシーン」の今年登場したバンドを集めたオムニバス。「それじゃあ、今なら来日中のヘモレージ(Spain)かけるしかないじゃん!」と、その前のブラッドダスターから2連チャンでアンダーグラウンドボンバーを炸裂させてくれました。あぁ、あとナンスローターの「デッド・バイ・ザ・デッド」もかけてもらいました。やっぱグライドはいいね!
そうしている内に、なにやらお店の反対側が賑やかに。見るとそこにいるのは、なんとジャーマン・スラッシュ重鎮のお2人がっ(!)ミレ・ペトロッツァとシュミーアが一同に会す場面なんてそうそう見られるもんじゃありません!一気にその場に緊張感が走ります。(私だけか?)
近くにいた人たちは一緒に写真など撮ってもらっています。しかし私はかなりビビっており、とても側へは寄れない気分。すると「ちぇっそさん、彼らと一緒に写真撮ってあげましょうか?」とアラキング氏。「じ、じゃあ、お願いしちゃおうっかなぁ!」なんて彼の好意に便乗して、2人の重鎮に近づいて行きます。
「グッド・ショーでした!」なんて言いながら、先ずはミレ総督に握手。信じられん!全くもって信じられない情景!そしてもちろんシュミーア先輩にも!
「お写真一緒にいかがですか?」私のお願いに快く応じてくれた両重鎮。
「じゃあ、ここへ入りなよ」なんと、私はシュミーアとミレの真ん中に入って、めでたく“メタル・スラッシング”なピクチャーを撮影してもらうことに成功!こんなことって、有りえねェ!お二方には丁重に感謝を述べ、私のスラッシュ祭りはここに大円団を迎えたわけです。
感謝感激!当初、某マサイトー氏の話では、「フレンドリーにかこつけて、失礼ぶちかましたら、それこそ“グー”で殴られちゃうかもよ!」なんて警告が発せられるくらい、本当に恐い人たちであると事前情報を頂いていたのですが、実際はいたってナイスガイ!いつまでもアンダーグラウンド魂を失うことのない、素晴らしき人物でありました。
是非また単独でもいいので、来日の際は見に来ようと心に誓ったワタクシでありました!ありがとう、オールド・スラッシュ・ガイズ!ヘル・ヤー!

@ちぇっそ@