「君のオリモノはレモンの匂い」〜ゴキブリコンビナート本公演〜②

「でもなぁ、俺がおっ立つのは“12歳以下”までなんだよォ〜!」
衝撃の事実に愕然とする妻。夫は単にイメージプレイだけでない、“本物の変質者”であったのだ!12歳以下までが彼の許容範囲。中学生から上は、“大人の魅力”が備わってしまい、恐くて目が合わせられないんだよ〜ォ!
だから彼は小学校の用務員をする傍ら、生徒たちの“上履き”をくすね、決して満たされない夫婦生活の生きがいを、密かに楽しんでいたのである。では何故、そんな夫が大人の女性と結婚することになってしまったのか。それは!
実は過去にこんな出来事があった。ツヨシの頭上から落ちてきた鉄骨。たまたま通りかかったボボジョは、彼を守ろうとし鉄骨の下敷きとなってしまった。彼女は一生消えない傷を負い、そこでツヨシは“仕方なく”、彼女の面倒を見るため2人の結婚を決めたのだった。
頭部に巻かれた包帯をほどくと、そこにはただれた皮膚が!怪物のような妻に用はない!お前らにくれてやる!そう言ってツヨシは木こりたちに妻を引き渡してしまった!
「こりゃあ、すげェ〜!こんなものを手に入れて、俺はやってみたいことがあったんだよー!」
そういうと、一人の木こりが斧を取り出した。そしてなんと、新婦のお腹を切り裂き始めたではないか!飛び散る鮮血、垂れ下がる内臓!内臓幻想著しい木こりは、飛び出た直腸を首に巻き、ゴアグラインダー「NECROPHAGIA」の如く血まみれになりながら叫んでいた。
「もっと、もっと締めろ!もっと気合を入れて締めるんだ、このメス豚ァ〜!」
倒錯したフェチシズムが充満。どんどん内臓をほじくり出すも、しかし映画「ドイツチェーンソー」並みに死なない新婦!目も覆うような凄惨な光景が目の前で繰り広げられている。
しかしてその一方、木こりの間でも壮絶なる権力闘争が勃発する。棟梁がいなくなった今、一体組織の主導権を誰が握るのか?実はスピロ平太は画策していた。それは息子のため、棟梁の鼻で嗅ぎ当てた「ボリボリ菌株」を売っていた彼だが、なんと本当は「ボリボリ菌株」ではなかったのだった!
実は「アカテングダケ」であったその菌糸類。より価値の低いアカテングダケであるとして、木こり仲間を騙していた。彼は差分で儲けた分を、知能遅れでバイオリンを習っている、息子の養育費に当てていたのである。
それを知った仲間は当然激怒!彼の秘密を暴き出し、なんと彼が“お隣の国”からの出稼ぎ労働者であることを突き止めたのでいたのだ!いわゆる「馬鹿でもチ○○でも!」という差別用語はなはだしい人種差別によって、彼の前途を完膚なきまでに虐待するのであった!
仲間の裏切りを許せない彼らであったが、こんな木こりごったくなどもはや続けていられぬ。転職を決めた彼らが選んだ次なる仕事とは。それは「肥溜め汲み」であった!柄杓で肥をすくい、すくった肥を今度は手ですくい(?)、あれ、柄杓の中から出てきたのは、それ“ミミズ”なんですけど!?一体何をする気だ病気マン!
チコの実を手にし、「味はともかく、長靴いっぱい食べたいよ!」と言った“ペジテのアスベル”の希望をかなえるかのごとく、こんもりと片手に積もったミミズの塊をほうばる元木こりたち!
うわぁ、しかも“噛んでる”よ。と場内の空気が一気に引いてゆく中、彼らの口元からはちぎれたミミズがしたたり落ちているのであった。
そして場面は展開する。薄暗い地下壕、そこは棟梁の寝ぐら。瀕死の新婦は救出され、棟梁の介護により一命を取り留めていた。(っていうか普通は死んでいるところ)あらゆる薬草が群生する国有地は「医者要らず!」棟梁の鼻を効かせて様々な症状に合わせた薬草を採取できるのだ。
「さあ、痛みにはこれだ!これを塗れ!」
実に心強い見方である棟梁。そこで新婦が言う。
「私は帰る。東京へ、帰りたいんです!」
「よかろう」全てを寛大に受け止める棟梁。そして立ち去る新婦を見送ろうとしたが、まだ癒えぬ激痛に耐えかね倒れこんでしまった新婦。それによって状況は一変する。
「お前はまだ直っておらぬのじゃ!体力を付けねば、これを喰って体力を付けるのだ!」
そういって取り出したのは「アカテングダケ」。実は幻覚作用があり、食べると中毒となり、これ無しでは決して生きては行かれない身体となってしまうのだ!無理やり食べさせようとする棟梁。もはや彼は、新婦を東京へ帰す気などないのだ。
断固拒否を続ける新婦に、とうとう棟梁は業を煮やす。新婦の片足にロープを巻きつけると、おもむろに空高く引き上げた。哀れ新婦はジャン・コクトー大股開きよろしく、天高く片足を引き上げられ、股間も露に逆さ宙吊りとなってしまった!これは澁澤龍彦団鬼六の世界か!
縛られ陵辱され、破れかぶれのスクール水着はもはや新婦の股間を隠してはいない。白日の下に晒された深紅のラビア。こんもりと盛り上がった“恥丘”には、「花と蛇」の魔性が潜んでいるのだ!
異常に肥大した“あわび”の様子は、まるで捏造された「アナルホール」のような豪快さであったことを記しておこう!(っていうか、紛れもなくアダルトショップで販売されている“シリコン製”のそれである!もっとも“本物”をさらしてしまったら、それこそ今度は出演禁止となってしまう!)
土人のチ○コケースごと飲み込んでしまいそうな、その割れ目。そこへ顔を近づたる棟梁は、そこでこの世にまたとない“名器”の存在を知ったのだった!
用務員をしながらロリコンを働いていた、あの不貞な夫から伝染した性病。トリコモナスとエヒノコックス(多分)の2種類に感染したオマ○コの臭いは、酸っぱい「レモン」の芳香を放っていたのだ!その隠微な媚薬に魅了された棟梁は、このかぐわしい香りに満ちた余生を送ろうと考えていたのだった。
そして再三に渡って勃発する闘争。遂にそれが最期の局面を迎えることとなる。
用務員として小学生からも虐待を受けてきた夫ツヨシは、妻の救出に向かう。出演者総登場、収集のつかない狂乱に決着をつけるのだ!
額を切りつけられ流血している夫ツヨシ!DJだった男に首輪をかけ、女王様よろしく引き摺りまわす新妻!包丁を振り回す旅館のお上がいるわ、病気マン率いる木こり軍団は、泥水はね上げながらミミズを投げつけている!
そしてそんな中、一人ピストルを手にした、“お隣の国出身であるがために人種差別を受けている”スピロ平太が放った弾丸!それが次々と人々をなぎ倒して行く。残された生存者の中に訪れる静寂。そして気がつけば、そこに“悲劇”が転がっていた。
転がっていたのは、なんと!夫ツヨシの切断された“首”であった!
「ア“ァ”ァ“ァ”〜〜〜!!!ツヨシさ〜ん!」
絶望に打ちひしがれる妻。しかし、愛すべき夫ツヨシは二度と帰っては来ない。その冷たくなった首を抱きしめ泣き崩れる妻。その脇では、この世の全てを慰めるかのように、繰り返し歌う棟梁の姿があった。
「君のオリモノはレモンの香りィ〜♪」と。
この世の全ては「オリモノ」に帰着する。歴史認識のかけ違いでしかない人種差別も、貧困による階級差も、政治腐敗も、不細工な顔も!それらを包括してしまう“潤滑油”によって、全ては円満に収まるである。
そんな魔法の、伝説の“オリモノ”が存在していたのだ。そう、いま正にこの瞬間に!
こうして、壮大なメッセージを秘めた、ゴキブリコンビナート第19回公演が幕を閉じたのであった。

@ちぇっそ@