メタリカ:真実の瞬間

今日はちょっと渋谷まで、今話題のメタリカのドキュメント映画を観てきました!
当初8時20分からのレイトショーのみだったものが、先週土曜日から5時半からの上映も加わって1日2回の上映となっていました。
5時半の回に間に合わせように出発。私は出かけるの1回で済まそうと、タイミングを見計らって部屋を出た午後3時半の時点で、まだ昼飯を食べていませんでした。
何を食おうか思案していると、思い出したのが駅近くのスパゲティ屋で今日明日と半額セールをやっているということ。人間が嫌いなので店が込んでたら別のところへ行こうか。そう思いやって来てみれば、どうやら並ばずに入店できる模様。ま、中途半端な時間でしたから、お客さんもそれほど多くは入ってないのですね。
「よくばりアラビアータ」を大盛りで注文。お会計はしめて505円でした。やったね!
さて、そうこうしながら渋谷へ到着したのは5時10分前ごろ。なんでも初日は立ち見まで出たとのこと。劇場へ着くのは5時ちょうどくらいだと思われるますが、果たしてこれじゃ余裕かまし過ぎだったでしょうか。
上映劇場である渋谷シネクイントはパルコ3の8F。渋カジ発信基地のひとつである、お洒落なビルの中へメタルなヲタクが入場して行きます。当日券を得ようとカウンターへ顔を出します。
「いらっしゃいませ。一般でよろしいですか」ラグフェアーにでも加入してそうな爽やかな店員が問いかけます。
「えーっと、そうですね。“ほにゃらら”で!」
そう言って私は、ゴッド・マサ伊藤氏に教えてもらった(ラジオの話だ)「合言葉」を、少し恥ずかしそうに告げる。「山!」「川!」といった具合に店員と意思疎通し、見事300円割引で購入する辺り、“やりくり上手”の“主夫”といった風情であったことは言うまでもありません。
申し訳ないところですが、合言葉は一応ラジオ視聴者だけの特権ってことで内緒にしておきます。ちなに13日まで有効な合言葉なので、それ以降はお教えすることができるでしょう。え、興味ないって?じゃあ、ここでヒントをひとつ。これはメタリカのどの曲でしょう?
「ズルズッダララダーラ、ズルズッズルルッズルルルルル、ズルズッダララダーラ、ダズン!ズッ!ズッ!ズッ!ドッパッドッパッドッパッドッパッ・・・・・・!」
ヘビメタさん」で熊田曜子ちゃんが出題する「メタルイントロ・口パク」並みですね。差し詰め“文字リフ選手権”って感じでしょうか。分かった人は挑戦してみてください!ポイントは途中の「ダズン!ズッ!ズッ!ズッ!」の“決め”の部分でしょうかね。(コメントに入れて下さって結構ですよ!天命を待つ!)
売り切れていることもなく無事入場できた私。中へ入ってみたら何のことはない。やはり基本的に夏休み中の(金のない)学生意外にとっては平日の昼間。広い客席にいたのはわずか数十名といったところ。画面が少々小さいので前の方の席へ。余裕で好きな席をゲットできました。
さて、気になるのはその内容はいかに。
いや、これは!とにかくメンバー間で繰り広げられた、凄まじい葛藤の数々に絶句です。あまりに巨大になりすぎたバンド。もはやバンドの一員としての意味を見失ってしまったかのジェームズ・ヘッドフィールドの苦悩は想像に難いところ。なぜこれほどまで憎しみ合わなくてはいけないのか。それはジェームズが抱える心の闇、いやむしろ孤独から逃れようとするあまり逆の行動を取ってしまうという、矛盾した精神構造によってもたらされる裏返しの愛情なのです!
基本的にはこの、「ジェームズvsバンド」という対立構造が中心となって、「St.ANGER」製作時の現場の様子が映し出されて行きます。一人歩きしてしまった「メタリカ」というブランド名が、メンバー各個人に対し圧倒的なプレッシャーを掛けてしまうのでしょう。
メジャーに対し正攻法で挑戦を続け、そして遂に手にした栄光は、既存のメジャーバンドを遥かに凌駕する影響力をもたらすことになりました。しかし、ある意味“アングラの星”であり、“メタルを掲げる最期の良心”とでも言ったメタリカとて、業界の巨大な商業主義の前に人間としての脆さをさらけだすとこになってしまう。
もちろんここまでの成功を手にするため、彼らはその“野心”を磨いてきました。しかしそのいい意味での野心が、いつの間にか“エゴ”へと入れ替わるのは正に紙一重なのでしょう。
後半、不満を言い続けるジェームズに向かい、それこそ数センチまで顔を近づけたラーズ・ウルリッヒが「ファック!」と叫ぶショッキングなシーンがあります。その前後でラーズは訴え続けるのです。それはバンドの在り方について。何故バンドをやっているのか、何故お前はメタリカの一員なのか、お前は音楽に愛情を注いでいるのではなかったのか!?と。
正確な言葉は違いますが、私にはそのような意味にとらえられました。まるで我々がバンドを始めた正にその瞬間の衝動、感動を思い出させるような発言に、私は少なくとも安心を覚えました。
正直なところ、個人的に最近のメタリカには不信感を抱いていました。もはや“職業ロッカー”として余生しかないのではないかと。最新作は確かにアグレッシヴではありましたが、果たしてこれがどこまで本物であるのだろうか?
しかし先のラーズの発言、そして更にここから紆余曲折あるのですが、今現在この3人が変わらずバンドを続けているということに対し、彼らが決して昔のメタリカの姿を忘れたのではないことを確信するものであります。
感動というより衝撃的。もしかしたらメタリカ好きな人は見ない方がいいかも知れません。(笑)ここまでぶつかり合い、本音をさらけ出した今でも、メタリカが抱える問題が完全に解決したとは思えません。これからもバンドが直面するであろう、危機的状況は少なくないでしょう。
ここにはその歴史を語られてしかるべきバンドの記録があります。バンドのある一時期の楽屋裏をとらえた作品ですが、バンドはその時、奇しくも自らの歴史を総括することになったのです。過去の亡霊を呼び起こし、真っ向からそれに対峙する。華やかなステージの裏側で繰り広げられていたこの闇の部分も含めて、これが「メタリカ」であると。
“有名だから”として製作されたにしては、あまりに赤裸々で壮絶なるドキュメントでありました。
余談:
ラーズ・ウルリッヒの親父さんが、まるでラスプーチンのようでカッコよかったです(笑)

@ちぇっそ@