NUNSLAUGHTER 〜in 浅草KURAWOOD〜

さあ、NUNSLAUGHTER2日目。昨日ハッスルし過ぎて意識朦朧の私は、正直今日のライヴに行こうかどうか非常に迷っていましたが、他の布陣の豪華さにも押されて、重い体を引きずって休日の浅草へとやって参りました。
1番手は我らがBUTCHER ABC!最初、登場したドラムのBUTCHER B氏は全身血まみれメイク。思わず「病気マンみたいだ!」と思ってしまった私は、病気マン倶楽部会員NO,1214(イタイヨ)です。今回のツアーの面倒を全面的に見ているBUTCHER A氏、ご苦労様です(笑)。さすがに最終日はちょっとお疲れの様子でしたが、最後の力を振り絞って吼えまくる姿は男でした!タイトな演奏でガツン!とオープニングを飾ってくれました。
2番手はBLOOD OF STEEL!少々のブラストと、スラッシュ的な疾走感を持ったメタル・バンド。しもてのカーリーヘアのギター氏の前には扇風機があり、そのボリュームたっぷりの髪の毛がブワッ!と舞う様子は、「Handle With Care」の頃のNUCLEAR ASAULTのようでした(笑)。吐き捨てに近いデスヴォイスと、金属的な高音を使い分けるボーカル氏はかなりの存在感です。タイムリーなところで、LAAZ ROCKITのマイケル・クーンズのようだったと言えば、その感じが伝わるでしょうか。途中、ジューダスの「Hell Bent For Leather」のデスラッシュ・ヴァージョンのカヴァーを披露。鉄壁のリフワークが印象的なクールなメタルバンドでした!
続いてANATOMIA!先ほどのバンドとはうって変わっての激重サウンド。工業用ベルトコンベアーの如き力強さで回転するツインベースドラム。シンプルながらフックのあるギターリフ。そしてグルーヴするランニングベース。決して派手ではないが、そのどっしりとした安定感が魅力の“大人のメタル!”今日初めて彼らを見たお客さんで、そのカッコよさに反応している人もたくさんいたようです。今夜も重くて素敵でした!
そして4番手はZOMBIE RITUAL!なんと本日出演するバンドは全9組。ライヴは午後3時半スタートだったため全バンド、リハはなし。そしてゾンビにとっては初めての会場。そのせいというわけではないでしょうが、途中機材トラブルがあり、思うようにライヴが進行できなかったのは少し気の毒ではありました。しかしラスト、彼らの代表曲のひとつである「ZONBIE PARTY」で大盛り上がりを見せ、結構気持ちよくライヴ終了(笑)。実は私も楽しみにしていた曲だったので、機材が持ち直して良かった良かった!
5番手はCOFFINSだったのですが、9バンドも出演する長丁場。ここで私は少し休憩。コンビニへ行って軽く食べ物を買ってきます。食べ終わって中へ入ると、ちょうど最後の曲を始めるところでした。どうやら新曲のようで、タイミングの良いところへ出くわしたものです(笑)。彼らにしては弱冠アップテンポのナンバー。ノリの良い楽曲は、今後ライヴで定番になりそうな感じでした!
そしてお次、私は本当に久しぶりに見たABIGAILの登場です!ダーティ&スラッシング、爆裂疾走する突撃スラッシュは未だ健在!ドカドカと響き渡るドラムの2ビートはもはや臨界点を突破しています。初期スラッシュのプリミティヴさで飛ばした後は、ミドルテンポのロックンロールリフでノリノリ!この緩急の付け方がまた、ベテランならではのいぶし銀を感じさせます。それにしてもバンドももちろんですが、見に来るお客さんも良く分かってらっしゃる。なし崩しとならず、きちんと綺麗に円を描くモッシュオールドスクールであります(笑)。スラムダンスでバッキバキ!とても楽しいライヴはあっと言う間に駆け抜けて行きました!もっと見たかった!
そして7番手にはDEATHCHURCH!何を隠そう今回のNUNSLAUGHTERジャパンツアーは、副題に「with DEATHCHURCH」と銘打たれているのです。小岩ではバンドの出演はありませんでしたが、B/VoのDUST氏が、掛け持ちしているSSORCで出演していました。ここら辺に来てやっと体調が復活してきた私は、最前まで飛び出しヘッドバンキング!なので正直、周りで何が起こっていたのか、バンドの演奏はどうだったのか、まともには判断できません(笑)。しかしまあ、概ね良かったのではないでしょうか。音像が少しカオティック過ぎたきらいはあったものの、バンドの持つカッコよさが十二分に発揮されていました。他のお客さんからも大きな反応があったようです。最後はDUST氏がステージから飛び降りて終了したのですが、そのとき勢い余ったDUST氏にみぞおちの辺りを蹴られてしまいました。まあ、名誉の負傷ってことにしておきます(爆!)。
そしてラス前、ピュア・スピード/スラッシュメタル・マシーンFASTKILLの登場です!このバンドの何が好きかって、そりゃ80’sスラッシュ世代真っ只中にヒットする、その卑怯過ぎるくらいの曲作りでしょう!先ず、ギターのカッティングがジクジクのイントロダクションからスタート。そして絶妙なブレイクで間を取って、モリモリの2ビートへと突入するのです。老若男女入り乱れてモッシュの輪が形成されます。いやホントにそんな感じで、モッシュしてる人のほうが多いんじゃないかと言うくらいの盛り上がり。途中、汗だくになったヴォーカル氏がTシャツを脱ぎ捨てると、その下からは“ガン・サスペンダー”が飛び出します(アレってなんて言うかわからないんすけど、つまりガンベルトのサスペンダー版ですね)。もう大好きですよ、この無意味さ。無意味に男らしい感じ!(笑)その後もテンションを緩めることなく、爆走スラッシュメタルの大円団を迎えたのです!
さあ、そしてやっとオーラス。ジャパンツアー千秋楽に向け、NUNSLAUGHTERがスタートします!先ほどのFASTKILLでの異様な盛り上がり、そして全9バンドという長丁場を耐えてきた観客に、果たしてNUNSLAUGHTERで暴れる気力は残っているのか!?
ところがどっこい!そんな杞憂は、ライヴが始まって即座に消えうせてしまいました。ノリが良く、キャッチーで分かりやすい楽曲。そして各人が実に秀でたキャラクター性を持っています。初っ端からモッシュ&ダイヴの応酬が繰り広げられ、更にそれがラストに至るまでひっきりなしに続いたのです!バンドを知っている人も初めての人も、全てひっくるめてそれは凄まじい熱狂を見せたのでありました!
本当に楽しくてカッコいい。ヴォーカルのドンは実にクール!獰猛で逞しいヴォーカル・スタイルで、バンドの方向性を常にコントロールしています。ギターのショーンは切れ味鋭いピッキング!途中弦が切れるアクシデントがありましたが、回復後も全く勢いの衰えない素晴らしいプレイを見せてくれました。ベースのクレイグは金髪の長身で、実にステージ映えするルックス。普段は無口な彼ですが、ベースを頭上に掲げ観客を煽る姿は正しくロックスターのそれであります!
そしてドラムのジムは今日も“チョー元気!“メロイックサインに逆さ十字、その千両役者っぷりを発揮していました。MCを早口でまくし立てます。その内容はほとんど解しませんが、関係者筋によると、どうやら馬鹿馬鹿しいまでに”メタル“な内容とのこと。これは“聞き取れた人”による一部抜粋です。
「小さい頃、お母さんに『イーブルと遊んじゃいけない』って言われたんだけど、俺はその約束を守れなかったんだ!ハハー!」
「“H”はHateのH!“E”はEvilのE!“L”はLuciferのL!『H・E・L・L!!!』……(ホントはここでお客さんに「ヘル!」って言ってもらいたかったようですが、早すぎて聞き取れないので「シーン」となる)……ハッハー!(と後は笑ってごまかせ!)」
とまあ、正確ではないですがこんなやり取りがあったのです。英語が分かればまた一層楽しめたライヴだったんですね。後で知ったのですが、こういったお約束のようなコテコテのMCも、彼ら自身確信犯的に行っているそう。つまりアメリカでも、メタルの“ダサかっこよさ”という価値観が存在するということなのです。もしかしてこれは、メジャーとは違ったアンダーグラウンドに共通するノリなのかも知れませんね。
そして最後、1度のアンコールで満足出来なかった観客から熱烈コールがあり、なんと2度目のアンコールが飛び出すことに。2曲を演奏、そしてこの大盛況を持って、NUNSLAUGHTERジャパンツアーが無事終了と相成りました!
本当に今回の一連のツアーは楽しくて、前代未聞の盛り上がりがあったのではないでしょうか。またドイツからはこのツアーを観るために来日したという、気合の入ったファンの男性もおりました。BMWのエンジニアをしているという彼は、NUNSLAUGHTERのシングル盤を19枚持っているというマニアだそうで、わざわざ日本にまで観に来るその心意気には脱帽するしかありませんでした。他のバンドの時にノリまくっている彼の姿も目撃しており、短い日本滞在を大いに楽しんでくれていたようで何より。それにしても世界は広いっすね!
汗でグチャグチャとなりましたが、大満足のNUNSLAUGHTERライヴでした!!!

@ちぇっそ@