私はかもめ。いえ、女優よ!

やばいです。就労意欲全くなし!「来週こそは働き始めよう」と思いつつ、なんだか踏ん切りがつかず、いまだ体たらくな日々を過ごしている毎日です。今日なんて先日のサンダーの疲れが出たのでしょうか、昼過ぎまで起きれず、せっかくの梅雨の晴れ間を有効活用出来ずに、もったいない!と自己嫌悪にすら陥ってしまいました。こんなことなら、せめて早く働けばいいじゃないか!ってことですよね、もっともです。人生すいません!
そんなことを言いながら、一体何の足しになるのかわかりませんが、DVDを借りまくって見ている今日この頃。すっかり映画日記と貸してしまったこのブログであります。(何だかんだ言ってるようで、この長期休暇を満喫しているわけですなぁ)
本日鑑賞したのは、「リリィ(原題「LA PETITE LILI」)」というフランス映画です。珍しくお洒落な映画など借りてしまいましたが、単にお洒落なだけで私が借りるはずもありません。原作がロシアの市民派文豪、チェーホフ作「かもめ」であるからです。
女優の母と、劇作家である息子との軋轢。休暇の地で繰り広げられる愛のすれ違い。結局誰からも理解されなかった若き劇作家の身の上に、最期、悲劇が訪れるのです。
とまあ、ごく簡単に原作を紹介するとこんな感じです。基本的にはこの流れに則って映画が進みます。女優の母はそのままに、劇作家を映画監督として置き換え、フランス流の恋愛劇として作品が成就されています。
私は本家ロシア版の「かもめ」も見ているのですが(1970年ユーリー・カラーシク監督)、前半部の風景はこのオリジナル「かもめ」にかなり近い雰囲気で、個人的に抱いていたイメージを全く損なうことのない避暑地の光景が繰り広げられています。
フランスの俳優はよく知らないのですが、キャスティングも絶妙で、素晴らしい配役と演技に嘆息してしまいました。元々フランスとロシアのつながりは強く、恐らく特に年配の役者さんは、原作などよく読んでいるんじゃないかと想像されます。
避暑地の別荘を離れ、登場人物たちの数年後が映し出される後半、舞台は大都会パリに移ります。現代風にアレンジされたクライマックスは、戻らない古き良き思い出に少しだけ切なさをよせながらも、どこか爽やかな終劇を迎えるのです。
「人生は舞台だ!」なんて誰が言ったか忘れましたが、実際の生活の中で、“本人が本人役を演じ続ける”ってのも、なかなかひと苦労があるってもんです!たまには誰か代わってくれねぇかなあ!なんて思うときもありますが、自分として生まれた以上、逃げては通れぬいばらの道で、人はあがいて見せるものなのでしょうね。
あまり話題にならない作品のようですが、私がここに、隠れた名作であると宣言しましょう!それとなかなか機会がないと思いますが、是非本家ロシアの「かもめ」もご覧になられて、本作と比較してみると結構おもしろいかと思われます。

@ちぇっそ@