やったぜ、スピルバーグ!

皆さん、こんにちは!相変わらず休職中のワタクシ、ちぇっそ・だぁ〜め・ばうんだりでございます。
本来なら今日は、先日観覧してきた映画の感想と、病気マン公演で行われたその他のバンドについてのライヴレポをお届けする予定でしたが、7月いっぴの月初め、映画ファーストデイにおける入場料1,000円につられて観に行った、スピルバーグ監督最新作の素晴らしさを可及的速やかにお伝えしたく、急遽予定変更、古典SF超大作「宇宙戦争」について一筆お付き合い願う所存にございます!
内容などもはや語るに野暮でありましょう。H・G・ウェルズ原作の、地球侵略テーマの歴史的名作、同タイトル小説が原型となっております。つまりは火星人が襲ってくるわけです。それ以上でも、それ以下でもありません。
もっとも映画の中では明確に火星人とは断定していませんが、とにもかくにも異星人の襲来ということには代わりありません。侵略のため、無慈悲に地球を破壊しまくるだけという設定。壮大なスペクタクル、圧倒的な科学力の前に為すすべなく、逃げ惑う人々の姿が映し出されるのです。
実は再三に渡るテレビでの宣伝や、監督自身のインタヴューに触れる内、私の中で「これはもしや?」という予感と言いましょうか、期待のようなものが沸々とわきあがっていたのです。
そしてその思いを胸に足を向けた劇場では、正しく私の予想通りの展開が待ち受けていたのでした!こうなったらもう、単刀直入に申し上げましょう。これは“初期スピルバーグ”の復活に他なりません!あの、「激突」や「ジョーズ」を製作していた頃の、映画狂が講じて監督になった、往年のエネルギー漲る究極のサスペンスドラマであります!
今までこれほど恐ろしい宇宙人に出会ったことがありましょうか。いや、もちろん「エイリアン」や「プレデター」など、グロテスクで強靭な宇宙人はいました。しかし今回、全く人間味を感じさせない冷酷無比な仕打ちを繰り返す宇宙人は、人間の根源に潜む、本能が司る真の恐怖感を思い起こさせるものであります。それはつまり、「逃げなきゃ殺られる!」ということです。
エイリアンやプレデターは戦えば勝てるじゃないですか(笑)。しかし今回の侵略者どもは、基本的に人間の力ではどうしようもない連中なわけです。もちろん始まった映画は、最後には終らなければいけません。そこら辺はきちんと、原作者ウェルズが、シンプルですが論理的な結末を用意しています。
近頃やたらと愛や家族について描いてきたスピルバーグでしたが、今回はそういった人間ドラマは度外視。実際、目覚ましテレビで行われたインタヴューでも、監督自身から「もう人間愛については撮ってきたし、今度は別のことをやりたくなったんだ」という発言が聞かれました。
思わず、「待ってました、そのお言葉!」と一人叫んでしまった私は、当然その時点でまだ作品は見ていません(失笑!)しかしそれを聞いて速攻で観に行こうと思ったのですから、監督の大英断に感謝感激を捧げるわけです。
逃げる!とにかく逃げる、人、人、人!宇宙人のあまりの恐ろしい攻撃の数々に身をすくめながら、頭の中では「これはジョーズだ!激突だ!」と、引きつる頬の筋肉とは裏腹に、その心中では卑屈にもニヤついておりました。例えばこんな夢、誰でも見たことがあるでしょう?
「街に突如巨大な怪物が現れる。瞬間訪れるパニック!逃げよう、しかしどこへ!?このレンガの壁の影に隠れてやり過ごそう。『ドカッ!』頭上をかすめる怪物の一振り。見上げれば怪物の後ろ姿。それ今だ、今度はあの塀の陰へ!再び始まる恐怖からの逃走劇。。。」
おっかないですねぇ。作中、こんな状態が延々と続くのです。
パニック時の集団心理?愛と友情と正義?そんなしち面倒臭い馴れ合いなんてクソ喰らえ!か弱い人間どもなど一掃してくれるわ!逃げろ、さあ逃げろ!私たちはお前らを殺すことに同情もしないし、“楽しみも”しない!我らは“やるべきこと”を遂行するまで!少しでも我々が住み良くなるために、“草むしり”をしているんだよ!
とまあ、私情ふんぷんのレポートですが、これが私の率直な感想であります。
やっぱり、こういう理屈なしにひとつのディテールだけを追求した作品を撮らせたら、この監督の右に出る者はいないと断言してしまいましょうか!まったくもって素晴らしい。スピルバーグ健在を見事に示した大傑作であると称えます!
いやぁ、ホントにシビれました。これはテレビ画面ではその迫力がミクロ大に幻滅してしまうので、ご覧になろうと思われた方は是非劇場まで足をお運び下さい。健闘を祈る!

@ちぇっそ@