偽ユマ・サーマン登場?!

サミラ・マフマルバフ監督作「ブラックボード〜背負う人〜」を見ました!お父さんのモフセンは、イランを代表する映画監督として世界に名を馳せています。マフマルバフ家は映画関係者が多く、まさしく一家総出で映画に携わっているのですが、そのサラブレッドの血を直系で引いている息子のサミラは、今後が期待される新進気鋭の映画作家なのです。
紛争相次ぐイラン国境において、日々の糧を得ようと教師として村々をまわる男たち。しかし毎日を生き伸びるだけで精一杯の人たちの中で、授業を受け、その謝礼を支払えるものなどおらず、中々教師としての仕事にはありつけません。しかし今日も彼らは“黒板”を背負い、ジプシーの如く、教育を必要としている子供たちを捜して歩き回るのです。
ストーリーらしいストーリーといったものは無いように思われます。ドキュメントに近い感じで、黒板の男たちの姿を追いながら、イランという国の実状を暴いて行きます。
荒涼とした山岳地帯を突き進むキャラバンに出会いますが、それは国境封鎖され、イランに取り残されたイラクの住民だったりします。その姿は悲惨そのもの。こう言ってはなんですが、皆ホームレスのようにボロボロの服をまとい、中には病気でにっちもさっちもいかない年老いた老人まで含まれています。
現在の我々の境遇がいかに恵まれているかに驚愕し、もし立場が逆転していたらと想像するだけで背筋に寒気が走る思いです。
もの凄く暗い映画のように書いてしまいましたが、むしろそんな境遇の中でしたたかに生きる彼らの姿が映し出され、スラブ民族のタフで前向きな生き様が伝わってくるでしょうか。“作られた映画”としては荒削りなのでしょうが、映像の持つ力強さは、感動という主観的な感情さえ超越し、決して目を逸らす事のできない映像に見入ってしまうのです。
急にイラン映画が見たくなって借りた1作でしたが、この国の映画にはいつも衝撃を感じます。いわく想像し難い現実に途方もない気分に陥ります。やっぱいいですね、イラン映画は!
さてもう1作品をご紹介、「キルビル2」です。まあ、こちらはあまり語る事もないかと思われますが(笑)、映画オタク、タランティーノ節全開の鬼畜エンターテイン作ですね。
もちろん第2作目も、日本映画からクンフー映画に至る、モンドな過去作品に対するオマージュは忘れず、各所でアフォな立ち回りの数々が繰り広げられます。いや、私は嫌いじゃないですよ!
前作よりは落ち着いた雰囲気があったでしょうか。宿敵「ビル」にまつわる因縁が明らかにされて行きます。
タランティーノの愛情溢れるオタクっぷりに、微笑ましいと思えるか、なめてんのか!となるかは、個人の価値観で判断して下さい(笑)私はもちろん前者です。でもやたらと長いエンドロールには、ちょっと閉口してしまいましたが(爆!)
ユマ・サーマンって結構好きなんですが、最近ロシアのアーチストで、「ウマトゥルマン」というのがおり、これはメンバー全員が好きだと言う、ユマ・サーマンの名をそのままグループ名に用いています。
つまり、ロシア語ではユマ・サーマンをこのように読むわけです。ですから、登場人物のテロップが流れた時、思わず「あ、ウマトゥルマン!」と読んでしまった私は、すっかりロシア狂いなわけであります!
ちなみに実際のウマトゥルマンは、スラブチックなメロディが麗しい、哀愁のロシアン・ポップス。私もかなりのお気に入りなんですよ!(CDは持ってない、てか流通がない!)

@ちぇっそ@