浅草エクストリーム

デスメタルの新天地とすべく、下町浅草を舞台に開催されたエクストリーム・ミュージックの祭典!観光名所、雷門の門下に位置する「浅草KURAWOOD(クラウッド)」へと馳せ参じました!
とその前に、まずは主催のブッチャー宅で経営している喫茶店、「しろあむ」へ来訪。ブッチャー弟氏が料理長を勤める、家族で切り盛りしているアットホームなお店でございます。
ワタクシ他、K氏と眼鏡ゴブリン氏の3人で現地集合。小腹の減った我々は、3人とも料理長推薦だというドライカレーを注文します。奇をてらわない、いかにも旧来の喫茶店による、実に喫茶店らしいメニュー。
スパイシーなドライカレーの上には、ふんわりと柔らな半熟の卵焼きがのっかり、遅めのブランチにやさしい食感を加えていました。とってもいい感じ。料理長も交じり、小一時間ほど井戸端を繰り広げたところで、今日の会場となる、浅草KURAWOODへ向かうことにしました。
さてさて、休日のオフィス街に居を構えるこのライヴハウス。我々が到着してみると、普段はスーツ姿のサラリーマン行き交うこの通りに、全く似つかわしくない黒ずくめの集団がたむろしています。
「おっかねぇなあ」なんて言いながら、その内の多くは知人であったりします(笑)。「ま、傍から見たら俺も同類か」と、この世の因果を感じながら、ここ浅草が新たなデスメタル新天地となるか、今後の布石を占う本日のイベントがスタートするのであります!
この日トップバッターを飾ったのは、脅威のゲヴォ声ヴォーカルを擁する大阪のPUKELIZATION!実は現在メンバーが各地へちりじりに暮らしており、充分な練習ができない状態の彼ら。確かによく聴いていれば、ところどころでバンドのアンサンブルに難があったのかも知れません。しかし個人的にはさほど気にもならず、この記念すべき日の先陣を切った彼らには、会場全体も概ね良好な反応を見せていました。いやしかし、ボーカルのゲロ声だけでグルーヴを作り出す凄まじい迫力には、毎度ながら燃えさせられますね!
続いて早くも登場、BUTCHER ABCであります!今日は出演バンド数も多く、主催である彼らは進行を考え、弱冠曲数を減らしてのステージだった模様。しかしさすがに場慣れしている彼ら、短い演奏時間の間にもしっかりと観客の心をつかんで行きます。腹八文目というより、七文目、六文目といったところでしたが、会場のボルテージを一気に加速させ、惜しまれながらも、会場からの熱烈な拍手を背に、彼らはステージを後にしました。
3番手は新進気鋭、弱冠高校生(!)のドラマーが超激速ブラストを叩き出し、並みいるデス/グラインド・マニアックス達を唖然・愕然とさせた、INFECTED MALIGNITYの登場です!PUKELIZATIONのK氏曰く、「インドネシアン・スタイル・グラインドっすよ!」と、その地方のバンドなど聴いたことのない私には、全く想像のつかない例えに先ず驚愕!とにかく、激速ブラストが止まらない。全くお洒落でない、ブルータルの極みを標榜した残酷音楽の調べに、誰しもが尿漏れを起こしたことは間違いないでしょう。要注目!末恐ろしい逸材の登場を予感させます!
4番手COFFINSは、先ほどのバンドとは打って変わって激重死鋼鉄音楽!全てが極太、超重量級の音の塊で世界を蹂躙します。やっぱ好きっすね。男気を感じさせるバンドであります!ひたすら硬派に、無慈悲に繰り出されるグルーヴには有無を挟む余地がありません。ディープでウィードな音像を繰り出すベース氏が着ているTシャツは、SUNN O)))だったり。このセンスが危ないです!あ、終盤になってギター氏が“変なポーズ”を決めました。なんじゃこりゃあ!さすが、懐の深さを感じさせる彼らであります。(あくまで音楽性のね!)
さてこの浅草エクストリームという企画、バンドのライヴだけを楽しむだけでなく、アングラなレーベルから数店の出品があり、地下音楽の総合的な交流の場としての一面をも持ち合わせているようです。
かなり広いロビーでは、充実の物販スペースが展開しています。ステージ側とは完全に仕切られていますが、ロビーとステージとを隔てる壁には”はめ殺し”の大きなガラスで大開光を確保。ロビーでちょっとした休憩やお買い物を楽しんでいても、ステージ上のバンドの様子がうかがえるわけです。
気の利いたライヴハウスの作りは実にお洒落であります。思わず、こんな綺麗なところで激烈音楽やってすみません!という気分になったりして。もちろん私は今日演奏してないんですけどね(笑)。
買い物目当てに来るも良し、レーベルの人との交流(顔を確認しに来るとかね:笑)も良し、一元的な楽しみだけでなく、いろんな意味で楽しめるイベントだと思いました。っていうか、このTシャツのお店、すげぇマニアな品揃えっすね!思わず散財しそうになりました。と言っておきながら、昨日の件がありなんも買ってませんが。ま、それくらいの心意気だったって事で!
と言ってる内に次の出演である、新潟グラインドのGEVOTAIS BROKENがステージに上がったのが見えます。ありゃ、B,Voの“ハガモト氏”、スタジャンにグラサンという本日のスタイルは如何に!?ちょっとだけ昔のデイヴ・エレフソンっぽくて、ちょっとカッコいいかも(!?)面白そうですねぇ、早速観に行ってこようっと!
今日のGEVOTAISは良かったです!以前、小岩デスフェストで上京してた時には、初見のインパクトこそありましたが、慣れない土地で弱冠萎縮していたのか、少し線の細さを感じさせる部分もありました。(ドラム氏が足つったりね!そりゃ緊張もしますって:笑)しかし今日は雪国の人間独特の(?)強靭なタフネスを発揮し、バンド本来のブルータルさに繋がっていたように思います。曲の輪郭がはっきりと伝わり、とてもカッコよいバンドだというのが良く分かりました。
でも、MCの不可解さは相変わらず(爆笑!)かないませんよ、あんなに面白いMC(本人は意図してないだろうが)、狙ってできるものじゃありません。
「次ノ曲ハ、“マブイ女”ト。。。○×△▼¥☆∴&%!!#★※!〜デキル曲」
(会場の反応、「ンヌー!?」)
「今度ハ男ノ戦イニツイテ。。。グヴォォォッォオオオオオ。〜ト、イウ曲。。。」
って、どれひとつとして曲名が分からなかったんですけど(笑!)最後になんとSAFFOCATIONをカヴァーして終了。ファーストだったかな。
さあ、残すところあと3バンド。神です、ブラスト神降臨!私、何気に久し振りでした、DIE YOU BASTARD!ハードコア精神溢れる激走2ビート。小手先を使わない、全てフルストロークのブラストビートにはいつも鳥肌が立ちます!ギターソロがあまり見られないこの手のバンドにあって、実にフラッシーでスター性溢れるピッキング。ギター氏のテクニックに思わず見とれてしまいました。
ヴォーカル氏曰く「サップなんてひとひねり!」というベース氏(というか、サップに勝てそうなのはヴォーカル氏の方じゃないですか!?)の爪弾くドライヴ感溢れるベースラインは最高に気持ち良いです!そして途中、ヴォーカル氏が浅草で発見したという「メ○リカ」という名の企業にちなみ(笑)、なんと超高速の「FIGHT FIRE WITH FIRE」のカヴァーが飛出します!は、速い。速すぎです!そして最後は「DIE YOU BASTARD!」で締めくくり、怒涛の“ブラスト男祭”が終了致しました。
そして今日が何気にレコ発という、DISCONFORMITYがトリ前に出場します!実はINFECTED MALIGNITYの演奏後、「俺はどうでもいいんだよ!若いヤツにはかなわねぇよ!」なんて言っていたドラム氏。いやいや、あなただって全然負けてませんから。速過ぎるっちゅーの!と、ここでひとつ気づいた事が。
最初の何バンドかが演奏を終えてみた頃、どうもバンドによって音圧などにムラがあるような?と感じていました。まだ出来て間もないこちらのライヴハウス、ましてやこのような激烈な音楽を扱うのはこれが初めてだと思われます。しかしライヴが進むにつれ出音が安定してきて、気づいてみたら、いつもの行きつけのライヴハウスで見るのと遜色がなくなってきたようです。
「スゲェ、ちゃんと学習してるよ!(って、すいません偉そうで)」と、私の周りでも同じような印象を持った人たちが大勢いました。元々設備が良いですので、今後もの凄く期待の持てるライヴハウスなんじゃないかと思いました。次回、また7月にも同イベントが開催されるので、その時が非常に楽しみであります!
でぇ、すっかり話がぶっ飛んでしまいましたがDISCONFORMITY、もちろん良かったですよ!(笑)紛う事なきブルデスですが、リズムのバリエーションが豊かで飽きさせません。中盤、シンコペーションを駆使し、間を生かした印象的なリフで始まる曲があり、そのあまりのカッコよさに思わず持って行かれてしまいました!
さあ、本日ラストを飾るのは、名古屋のグラインド重鎮、生ける地下音楽字引!UNHOLY GRAVE見参です!やばいっす、プリミティヴな純正グラインド。個人的にどツボにはまりました!これはちょっと筆舌に尽くしがたいカッコよさ。今、目の前で繰り広げられている光景は、リー・ドリアンを有していた頃の“あのバンド”ですか!?と思わず崇めたくなってしまいます。正にステージ上をピョンピョン!と、跳ね回るヴォーカル氏からは既に後光が射しています。素晴らし過ぎる!
確か過去に一度だけ観ているような気がするのですが、それももはや10年近く前だったでしょうか。既に記憶も薄れ、遠い過去の映像は劣化コピーのごとく、虫食いのドットに苛まれています。今回、思いも新たに体験した彼らはやはり凄かった!いや、感動しました、マジで!USブルータルも良いが、イギリスの湿ったビートの方が、私の肌に合うのだなあ、と実感しました。
というわけで、第1回浅草エクストリームが全て終了いたしました。新旧のコアなバンドが集い、非常にバラエティに富んだイベントだったと思います。来月は、NUNSLAUGHTERジャパンツアーの一環として開催されます。次回も強烈なラインナップが揃っているようなので楽しみですね。
新たに始まった地下音楽の集い、今後の発展を切に願う次第であります!

@ちぇっそ@