免許更新

さていよいよ、嫌が応にもリストラを実感されることになる月曜日がやって参りました。
しかしそうは問屋が卸さない。朝から免許更新のためいつも通りに起床。いつもの総武線に乗って、更にいつもの武蔵野線に搭乗致しまして、ちょっとだけ先まで進み、海浜幕張の免許センターまで出向いたわけでございます!
おとそ気分ならぬ、リストラ気分の「リ」の字も味わえないまま、幕張から出ている乗り合いバスに揺られご当地へ到着。するとなんと、正に免許センターの真ん前、入り口の門脇には見事な事故車が!
どうやら同じく免許の更新に来たらしい乗用車が、駐車場から国道に出る際、走ってきたタクシーと出会い頭の衝突をしたようなのです。特に重大なけがを負った人はないようで、警察の事情聴取を受けている男性などがおります。タクシーの運転手も事故による自車の確認をしているようです。
「実に良い眺めだ!」なんて言っちゃいけませんが、こんなんじゃ、アンタせっかく更新に来た意味ないじゃないの!っていうか、免許センターに出戻っていちから講習のやり直しですよ。ていの良い見せしめとなっておりました。
その場にいて、そんな光景を目撃した数人は、これから受ける講習の意味合いを身にしみて実感できることでしょう。「人の振り見て我が振り治せ」人生の苦い教訓であります!
「優良講習者」である私は(ペーパーで一体どうやって違反しろってんだ)、サクサクと段階を踏み、午前10時には新免許を交付されておりました。さすが平日の取得とあって段取りがスムースでありました。
講習の講師の弁舌が、どこぞの噺家みたいでなんとも言えない味がありました。でも、言葉尻を最後まではっきり発音せず、時々「ムニャムニャ。。。」となるのです。まるで「大人のあなたならば、推して知るべし!」とでも言いたげ。その辺りが非常に気になって,途中何度も噴出しそうになりました。お陰で、退屈な講習が少し楽しかったのは事実ではありますが。
無事、新免許を頂いた私はこの幕張に来た恒例行事として、免許センターからは歩いて駅に向かいます。まっすぐ歩けば恐らく20分もあれば着くでしょう。私は免許センター前のコンビニでキリンラガーの小缶を買い、飲みながらダラダラと歩きはじめます。
駅から少し離れるとオフィス街なので、人がほとんど歩いていません。先ず区画整備ありきで開発された土地ですので、街中が実に華麗に設計されています。と言いますか、いかにもバブル幻想真っ只中の狂った思考で建築されたため、ちょっと現実味のない、全てがアミューズメントなイカレた街であります。
まあ、そこら辺が好きなところ。電車賃だけ出して散歩に来るだけでも、充分に価値があります。ひとしきり街を巡り、空中庭園とでもいえそうな、地上2階に造園された公園のベンチでしばしの休憩を取ります。
すると黒地に白のメッシュが入った小鳥(なんて名前だろう)が、私の足元に舞い降りてきました。なんだ人懐こいヤツだなあ、などと思って口笛で煽ってみましたが、実はそんな私の思惑など意に介さずに、ピョンピョンと跳ねながらすぐにまた空高く飛び去って行きました。
降り注ぐ日差しを、新緑の木の葉が柔らかくさえぎってくれます。するとまた先ほどの小鳥が、先ほどと同じようにやって来ました。なんだ、やっぱり相手にしてもらいたかったのか。私は「チッチッ」と、泣き声を真似てみましたが、やはりまた無視して飛び去って行ったのでした。
なんなんだ、あいつは?
久々の幕張回遊を終え駅に戻って来た私。しかしこのままただ帰るだけでは芸がない、ここはひとつ、千葉房総の行ける所まで行ってみようか、ということになりました。
先ずは京葉線蘇我方面へ向かいます。そこから外房線へ乗り換えるのですが、昼飯がまだだったので、駅構内の蕎麦屋へ直行します。やまかけ蕎麦を食べました。なかなかの美味。
館山行き各駅停車に乗り込みブラブラ揺られます。個人的にはもっと寂れた風景を期待したのに、いい加減先まで進んでもどこも意外と栄えている。立ち並ぶ民家が、「決定的に途切れる」というところまでは行きません。
木更津に到着した時に乗り込んできた学生の集団。明らかに“ガラ”が悪いです。(笑)さすがヤンキー発祥の地(?)、千葉シティーハードコアの源流を見る思いでした。
君津を過ぎた辺りで明らかに様子が変になります。あれ、これってもしかして単線?各駅で“妙な”停車を繰り返す電車にやっと気がつきました。
これはヤバイ。目的地の館山は諦めることにして、そろそろ退散した方が良いのでは。ちょっとだけ粘りましたが、あえなく引き返すことに。私は、「佐貫川」へと流されていたのです。
しかし降りたは良いが、既に相当な田舎までやって来ています。向かいのホームに立ちますが、果たして上りの電車は一体いつやって来ることやら。駅のホームでは、植え付けの花壇を手入れする商工会議所のおばちゃんが二人いるだけ。((花壇に「商工会」と書いてあったのでそうかなと思ったまで)
待てども電車はおろか、電車に乗ろうとやって来る人もいない。ああ、空気が良いなあ!なんて深呼吸をしようにも、周辺の田んぼでは害虫駆除のためのもぐさが燻されて、煙たい白煙がホームまで漂って来ました。
新鮮な空気も吸えない。いっそ煙たいのならと、タバコを1本吸うことに。その後待合室に入ってポールオースターの本などを開きます。するとしばらくして、やっと一人の乗客が現れました。
田舎なのでアナウンスなんてない。電車の時間になったら、家にある時刻表を見て町民がやって来るのです。だから、多分、そろそろ来るのだろう、電車が!
思惑通りやって来た上り電車に乗り、そのまま真っ直ぐ本八幡へと戻ってきた私でした。結局、あまりの心細さに駅を降りることもせず、電車に揺られたまま、一日の大半を無為に過ごしただけでした。
まあ、こんな日もアリって事ですかね。免許更新しただけでも収穫だったので、それで良しとしますか。

@ちぇっそ@