未来少女アリス

ジェフ・ヌーン作「未来少女アリス」を読みました。処女作「ヴァート」、そして「花粉戦争」に続く第3作目の長編小説に当ります。私も全2作を読みすっかりファンでありますが、一風変った作品を物すことで知られる作者、今回もまた遊び心に溢れた作品となっています。
タイトルからも察する通り、本作はルイス・キャロル作「不思議の国のアリス」のパロディ。現代においてアリスの続編が書かれたらきっとこんな感じ?蘇ったアリスが繰り広げる冒険の数々。
オリジナルにあったパズル的要素や連発するアナグラム。それらが本作でも踏襲され、時に脱線、時に脱力しながら、作者のセンスオブユーモアにこみ上げる笑いを抑えることが出来ません。
SF作だった全2作で作者が築き上げた世界観も盛り込まれ、3回目の“ヌーン”体験をするものにとって、本作中に登場する小道具のひとつひとつに、ニヤリとさせられるリップサービスが盛り込まれています。
もっとも、全2作など読んでいなくても楽しい作品であることは間違いないでしょう。(しかしモンティパイソン的な“ウィット”に富んだコックニージョークに腹をよじらせることが出来ないと厳しいかも?)
今回のアリスは、大おばさんの飼っていたオウムを捕まえようとして大時計に入り込んだ拍子に、そこから未来へ転送され迷子になってしまうのでした。
そんなわけであなたも、どことなくドラッギーでレイヴ感に満ちた論理的ファンタシーの世界へと、アリスと一緒に“旅”されてみてはいかがでしょうか。
それでは、“ジャーニー!”(じゃあね)

@ちぇっそ@