装甲騎兵

世間から一足遅れてゴールデンウィークに突入したワタクシであります。昨日は打ち上げで上がったきり、日がな一日中寝て過ごしました。今日も今日で本来ならば多少ゆっくりと寝ていたかったのですが、とてつもなく胸くそ悪い夢で目が覚め、朝の5時半から眠気が一気に吹っ飛ぶという、そんな神も仏もないやるせない感情のままに一日がスタートしたのであります!
といったところで早速行って参りました、「装甲騎兵ボトムズ 1/1スケール展」へ!
場所は水道橋。東京ドーム側の出口を出て、そこから国道を渡り歩いて数分のところ。REEXで通いなれた道だけに、迷うことなくストレートで到着。展示会場入り口では、早速アニメオタクやら何やらが集っているようです。
入場は無料。中へと足を踏み入れると、そこにはボトムズ製作者、倉田光五郎氏の小作品(ボトムズに比べてというお話)が並んでいます。そのほとんどが鉄による板金仕上げ。ハイレグ・ワンピース風のSMスーツ型ヴァイオリン、デフォルメされた奇妙な医療器具などなどが展示。圧巻だったのはタイプライター風パソコン!めちゃくちゃ手作りながら、きちんとディスプレイが表示されている。アナログ式デジタル?デジタル式アナログ?なんともキッチュな至高の逸品でした。
そんなシュールで昭和デカダン風な居間(?)を通り抜けると、そこにはいよいよ等身大ボトムズがそびえる珠玉の間へとたどり着きます。
仕切り壁をぐるっと巡り、するとそこはボトムズの背面側。「デカい」というより「有りえる!」と思ってしまうその現実感。実にリアル。正に古戦場より回収してきた近代戦争の産物といった様相です。
無骨な鉄の塊を前にし、従来抱いていた憧れというより、真の殺傷兵器としての恐怖感すら漂ってきます。ガンダムのヒロイックなイメージとかけ離れた威圧感。殺伐とした無慈悲な2足歩行兵器としての存在をアピールするかのようです。
正面に回ってもその印象は薄らぐことなく、物言わぬ無表情な顔面が緊迫感を与えつづけます。例えばハッチを開けたら、そこにキリコ・キュービーのミイラが鎮座ましているのではないか?”異能者”としてアーマードトルーパーと一心同体であった、その“運命(さだめ)”を背負ったいち兵士の姿を思い浮かべてしまいました。
本来は「ボトムリウム」と呼ばれる素材で製造されるアーマードトルーパー。従って通称“ボトムズ”となるわけですが(といってもこの“ボトムリウム”って架空の新鉱物だね?)、今回の展示品は全て鉄によって製作されています。
さすがに凄まじい重量感!もしこの瞬間に地震でも起き、天井の留め具が外れたら下敷きに!それこそ一巻の終わりです。でもボトムズになら殺されてもいいかなぁ。なんてことはこれっぽちも思いませんよ!
その細かなディテールの観察も楽しいのですが、やはり必要最小限にして最大の効果をもたらすよう造られた武器であります。その死神のような風体を目の当たりにし、死刑執行人が鎌を振りかざすまでの長い静寂の中で、身動きの取れない囚人の面持ちでしばしの間、鉄の鎧に見をまとった絶対神から目をそらすことができませんでした。
ある意味、とてもアホな光景ではあります!
このデカぶつの製作段階を撮影したブログ兼写真集も販売しており、ぱらぱらとちょっとだけサンプルのページをめくってみました。いやはや、基本的には単に鉄工所の作業風景だというのに、そこに横たわるのが“ボトムズ”というだけで、街の工場は一気に軍事工場へと様変わりです。今回購入はしませんでしたが、この写真もかなりいい味出してます。
さて、ものの30分ほど滞在したでしょうか。再び電車に乗り込み私が向かった先は代官山。そうです、例の「ノルウェイジャン・ブラック・メタル写真展」へと赴きました。
お洒落の街代官山。やはり私にとっては完璧なるアウェイ。道行くセレブ、もしくはセレブ志願者達。コイツら全て“敵”です!いくらここいらの地理にうとくても絶対道なんて聞かねぇ!正面から歩いてきたヤツにだって目すら合わせねぇぞ!と、なんだか荒んだ心持で向かった、展示会場PEAKS FOR。案の定大分迷いましたが自力でたどり着き、早速場内へ。
うーん、見たぞ。これでブラック・メタル展見た!それ以上、コメントのしようがありません。写真展なんて大体そんなものです。もしバンドがもう少しまっとうであったら、普通にBURRN!誌辺りで紹介されるような代物ですしね。まあそんな感じで、会場内の雰囲気を多少味わってから、次の目的地へ向かうことにします。
いや、それなりには楽しめましたよ。大きな写真で見るとまた立体感などがありますから、「なんだよ、ゴルゴロスの写真ばっかじゃねーか」とか思いながら(いや、もっとありましたが)、「ユーロニモスどこだよ?ユーロニモス!」とかって、ユーロニモスしかよく分からない自分の知識の浅さを露呈していました。(でも、そのユーロニモスの写真が無かったなような、多分)
そして今夜、初台DOORSにて行われるインビシブルマンズデスベッドのライヴを見に、新宿へと電車を乗り継いで行きます。今日は遠藤みちろうクハラカズユキ公演の前座であります。
先ずは、「どや」と言うアコースティック・ベースとアコースティック・ギターの女性ドュオの登場。大人の雰囲気漂うギタリストと、短髪で金髪の“ちょっと太め”のベーシストが時にハモリ、時に沖縄民謡風の合いの手を入れたり、ちょっとカントリー風な弾き語りを披露していました。個人的にはさほど興味を引きませんでしたが、いいキャラをかもし出す2人にお客さんは概ね好意的でありました。
さあ、そしてステージ転換。インビシブルマンズの登場です。今日の彼らはフルスケールの演奏ではないため、そのほとんどを代表曲でまとめ、非常に勢いのある密度の濃い公演だったと思います。特に今回、初期の名曲「垂れる」が往年のアレンジを再現して(彼らは同じ曲でもライヴごとにアレンジが変わる)、私のような最初期から見続けているファンを熱狂させてくれました。
デスベッド、勢い余ってステージから転落!しかし何事もなかったかのように這い上がります。デスベッド、ステージ上手の武田氏とギターバトル。(エアギター選手権ではない)飲む、打つ、買う!の3拍子揃った(違うか)ギターチャンバラは伝説の草月ホールを再現か。
最後はギターを捨て、裸一貫となったデスベッドが指先から放出する“氣”で武田氏を粉砕。触れずに倒す!そう、あれは“氣”だったのでしょう、多分。
客側フロアに配置されたテーブルに飛び乗りギターを掻きむしるデスベッド。その調子だ。こんな“お行儀の良い”ライヴハウスなんて唾でベトベトにしてやるんだ、破壊しろ!でも分かっているのかいないのか、ステージ脇に用意された元ミッシェルガンエレファントのクハラ氏のドラムセットを一部持ち出し、そうやってフロアタムに足を掛けるのだけは止めたほうが。。。
全く持ってロックなヤツに、世間の常識なんて意味を成さないのさ!(クハラ氏もロックなんで、そこら辺は分かってるはず!?)そんな周囲の心配を他所に、間奏の合間にアドリブをかますデスベッド。この後に控える伝説にリスペクト。
「飯食わせろ!飯食わせろ!」スターリンの一節を喉も張り裂けんばかりに熱唱します。
ラストはお決まりのオブジェの建造。何かのケースを持ち出し、それを3段積みにし、さらにその上にドラム宮野氏から奪い取ってきたフロアタムを乗せ4重の党完成。不安定なトールタワーが轟音に揺らめくようで、はかなくも熱い、インビシブルマンズのライヴが終劇を迎えたのでした。
ステージの転換を待つ間、何やら見知った人物のシルエットが眼前を通り過ぎます。長髪なのに揃った前髪。縁の太い大判メガネ。これはもしや灰野氏でしょうか?いや、アロハシャツのような服装が少し派手過ぎやしないか?でも、もしかしたら地元ィースタイルでカジュアルに決めてきただけかも!まあ、みちろう氏とも交流があるだろうから、ふらっとこんな場所へ訪れるのも不思議ではないか。
そんなちょっとしたサプライズも含めてスタートした、遠藤みちろうクハラカズユキ氏の公演。ギター弾き語りとドラムのみで演奏される、新旧ロックスターにおけるガチンコ対決!
先ずは共産主義的なアコースティックナンバーから幕を開けます。みちろう氏の声は、恩歳とって全く衰えを見せず、あの金属的なかなきり声が未だに健在であることを証明して見せます。
3曲目辺りでなんとみちろう氏、曲を間違えた模様。「ドラムを聴いて分かった!」とのたまう御大。しかし曲自体を間違ったのではなく、紹介する“曲名”を間違えたようでした。「次が本当の、こどもの日に捧げる歌です」と始まった曲。
す、凄まじい!何がと言えば、クハラ氏のドラミングであります。まるでクリス・カトラーの如き手数足数。演奏に陶酔した表情。「男は黙ってシングルストローク!」とばかり、目にも留まらぬタムロールの連打。
小波のようなプレスロールから、大砲のように重い入魂の一打まで。振り幅の高低差を生かしたダイナミクスで聴く者の耳を惹きつけます。今回は本当にこのクハラ氏の演奏を見に来るだけでも大変な価値があったのではないでしょうか。信じられないプレイの連続に、さすが業界の第一線で活躍してきた男の気迫を感じることができました。
と、ここでライヴ中盤でありながら、既に疲労が限界に達したワタクシは(もう腰が痛い)、後ろ髪を引かれつつ帰宅の途に着いたわけです。今まで見たこともない、クハラ氏の鬼神のような演奏に、いたく感動した今夜でありました!

えー後日談と致しまして、今回、みちろう氏とインビシブルマンズのコラボレートが実現したそうです。もっとも、そんなこともあるだろうと予期してはいたのですが、翌日は自分のライヴもあるため、背に腹は変えられない!貴重な一場面を見逃したことは悔やまれますが、流れのかみ合わないことも間々ありますので、こればかりはしょうがないですね!

@ちぇっそ@