女地獄

「地獄の女」とすれば、差し詰めKISSの邦盤タイトルにでもなるでしょうか!新宿URGA5周年企画の一環、「女地獄〜男も少し〜」へと参上仕りました。
1バンド目はDEATH VALLEY。ドラム以外は全て女性、ツインヴォーカルの5人編成です。キャミソールを着た子と、スポーティな格好の女子が絶叫とライムを繰り返します。恐らくバンマス、作曲担当であると思われるギター女史はラガーシャツでいかつい雰囲気。ちょっとモダンヘヴィ入っているのかと思えば、ゴリゴリのギターリフから、最近のスレイヤーからの影響が感じられます。パワフルかつ動きのあるステ−ジングで、見事なオープニングを飾ってくれました!
続いて29JAGUAR!以前対バンもしたことのあるメロデス系バンドさんですが、あれから数ヶ月。弱冠19歳(だっかな?)の新加入のドラム君の成長振りに注目していました。ど根性ツインベースドラムには磨きがかかり、よりタイトになっていたように感じます。ヴォーカルの女の子も目張りを入れたりして、ステージにより一層のインパクトを与えるためにいろいろ工夫しているようです。段々完成度が高くなってきたようで、今後の活躍に期待が持てそうですね。
とそこへ思わぬ闖入者が!?「神田祭(「神」は旧字体だ!)」とバックプリントされたTシャツを身にまとった中年のハゲオヤジ。どこから今日のライヴを聞きつけたかは分かりませんが、「アンタ、ホントにメタルを知ってるの?」と、思わず勘繰ってしまう妙なテンションで最前列ノリまくり!この後終始同じテンションで、ある意味この日の主役となってしまった感のある、「友達いない中間管理職風」の悲しげな姿をさらしておりましたとさ。
3番手はHIDE BOUND。こちらのバンドも対バン経験があり、その時にはヴォーカルの女子が良く言えばカジュアル、悪く言えばちょっとダメっ子。CMでダイエーの新庄も言ってるじゃないですか、「ちゃんとしたパンツをはこう!」って。いや、パンツは履いてるでしょうが、せっかくかわいいのだからちゃんとした服を着ればもっといいのに。その思いが通じたのか、本日は黒のワンピースなどをまとってドレスアップ。そのせいでバンドのイメージが「グッ!」と引き締まり、ライヴの始めでは同じバンドと気が付きませんでした。いやさすが、若いバンドというものは日を追うごとに進化して行くものなのですね!オジサンも反省します!
4番手はこちらは各人のキャリアを考えたらもはや重鎮。(いや失礼!)我らがF.I.Dの登場です!本日のバンドの中では一番凶暴な音楽性だったでしょうか。既に酔っ払いのMaki嬢は、ヘソ出しルックで体反り絶叫!相変わらず、この小さな身体のどこにこんなパワーが潜んでいるのかいつも驚かされます。かなり久しぶりにバンドを見た気がするんですが、もしかして結構新曲なんかもやっていたのでしょうか?正規のアルバムが早いとこ発表されることを待ち望みます。ダイイング・フィータスもカヴァーも飛び出し、大阪遠征の疲れもものともせず、普段より長めのステージだったでしょうか。じっくりとその魅力を満喫できたライヴでありました!
お次はガラッと趣が変り、女版の病的ロック。異星人解体という、なんとも個性的なバンド名が気を引くオルタナティヴ・ロックです。コンセプトが一貫しており、その怪しげで涼しげな風情が、陰鬱なギターリフに上手くマッチし妖艶なる宴へ見る者を誘います。絞り染めエスニックなワンピースを着たヴォーカルの女性。その昔、「口のデカイ女は嫌いだ」と豪語した友人がいましたが、私はむしろ好き。コケティッシュな魅力に満ちた、浮遊する歌声を響かせていました。ギター女史は割りとカジュアルな格好で、どこかモー娘のよっしーに似たファニーフェイスの女の子。ドラムもセンスが良く、かなり小柄な女性ですが、そのパワフルな演奏には気迫がこもっておりました。見飽きないっすね!
いよいよ6番手となりました、殺助の登場です!いやぁ、今日の殺助は良かったですねぇ。ほとばしる情熱!湧き上がる感情!って言うんですか。音楽に身を委ね、感情の赴くままに全てを暴露する!自慰的行為だと言ってしまえばそうなのですが、そういった思いの丈を吐き出し切った後にこそ、自らが歩む次へのステップが見えてくる。そんな尋常ならざる決意の固さを感じさせるライヴでした。とっくに大人になってしまった(そうでもないが)私なんて、すっかり自分を偽って生きてしまっている今の生活。人を騙すのも、自分を騙すのも平気のへいさとなり、本当の自分の姿がどんなであったかなど、遠い過去の記憶となってしまいました。今日の殺助を見ていて、真の意味での魂と魂のぶつかり合いを感じ、これこそがコミュニケーションなのだと改めて実感した次第であります、なんてね!今日はいつになく、みかりんがステージ前へと出て観客を煽ってくれたのが嬉しかったです。もう一人のヴォーカルの娘も、今日は飛びましたよ!やったね!楽しい殺助ライヴでした!
さて残すところ後2バンド、先ずはDATURA!何やら民族楽器をも駆使するエスニックなオルタナティヴ・ロック。アラビアの楽器か、もしくはタイ辺りの楽器でありましょうか。水平に張ったピアノ線のようなものをスティックで叩きます。もしかして、これが「DATURA」という名前の楽器でありましょうか。調べがついていないため、現時点では未確認の逸品であります。東洋的音階、スラブ〜ギリシャ系のさりげない変拍子など、気分はすっかり「私をトルコに連れてって!」(もしかして挙げた国名全て敵対してないか?)かなり酔っぱらってきた私はすっかり楽しくなってしまい、近くにいたDATURAファンと思しき人たちと一緒にベリーダンス!(ちがうか)いつもと違うノリで、私のダンスレパートリーのひとつに加えようかと思った次第です!いえいえ、バンドもちゃんと見てましたよ。非情にクオティの高い、良いバンドでした!
さあラストは、まるでハウリングブル系ど真ん中といった感じのMEXICO!なんとも大胆なネーミングですが、バンド名に違わぬ肉体派!スラッシーなリフが心地よい、パワーバイオレント系バンド。(言い過ぎか)女をかなぐり棄てたかのような咆哮!怖い、恐すぎる!凄まじい破壊力で突き進む怒涛の疾走感!そりゃあフロア最前列で、ハンガリー人ぽい外国人男性だってノリノリで頭を振るわけさ!あまりに強烈過ぎて少し笑ってしまいました。「私たちにお洒落って何のこと!?」全てなし崩し、ついでに化粧もなし崩し!最期に待ち受けていた本当の「女地獄!」新宿の熱い夜は、こうして更けて行ったのです。
いやぁ、さすがに8バンドも見ると精気を吸い取られ、いや、汗ダクダクで。。。披露困憊、自宅にたどり着いた私は、気絶するようにして布団にもぐりこみました。めでたし、めでたし!

@ちぇっそ@