本文は筆者のたわむれにより、文章の途中から書き出されている。当ブログでは、筆者の意向に従いこれを掲載するものである。

は、性倒錯、不具、変質者、ニンフォマニアなどに彩られた、官能とエロスに満ちたポルノチックな純文学。なんだこりゃ!そんな馬鹿な!こんなのありか!感嘆詞は途切れることなく、一字一句読み逃すことのできない、言葉のマジュツによって翻弄する、社会の裏側だけで読まれる為の本。グロテスクと諧謔に満ちた、禁断の書物である。
(改行)
そのあまりに異様な内容のため、表通りからは隠蔽され、好き者だけがひそかに読み継いできたといういわくつきの怪著であります。詳細な素性についてはほとんど不明という、なんとも喰えない作者による、喰えない文学のひとつ。
単純にポストモダンと言ってしまえば、確かにそうとも言えるのですが、むしろ奇想に満ちた“夜のおとぎ話”とも捉えられます。それも、かなりディープなフェチシズムに溢れて。
                               都会のただなかに佇むとあるホテル。毎夜、退屈な売春婦達を飲み込むその穴蔵。深夜の帳場係。中年のホテル受付が、次の客が来るまでの間、夜のしじまで見るまぼろし。それは彼の過去なのか、それとも夢想か。卑猥な言葉とみだらな行為の連続、それに続く残酷。毎週水曜日に起こる悲劇、しかし深夜の帳簿係に非番の日の記憶はない。これは全て彼の語りなのか?真相は判然とせず、疲れを知らぬ性欲だけが徘徊する。それ自体がまぼろしの、黒い霧のごとく立ち現れる、現代のバベルの搭に巣くう怪異。
〜(ひっくりかえして)〜
初めはサドかマゾッホか、尽きせぬ欲望に満ちた奇行の数々。どれも陰険で、救いの無い破滅願望が支配しているかのようです。
                       それにしても全く異様な作品でした。ピカレスク小説のひとつの異形と言いますか、そのあまりにいびつな世界観に「ギョッ!」となり、ビックリしたまま、行から行へと目が離せないといった具合。こんな本、有り得ません!
1965年発表、1989年に翻訳されていますが、発表当時こんな本を読んだ人は、きっと作者の頭の中を疑ったことでしょう。バブリーな時代にされた翻訳もかなり変態的です。(しかしそれが本書の魅力を半減するものではないし、むしろこなれた訳文には淀みがない!)
さて、そんな本書のタイトルをご紹介していませんでした。何故そんな大事なことを後回しにしたかと言うと、それは
「あなた自身の物の見方を少し変えてみてくれないか」
これから書き出すセンテンスを読み終わったら、ぐるっと元に戻って・・・・・・

【今回の読了本】
          スティーヴン・シュネックの「幻想ホテル」

@ちぇっそ@