ザ・ラスト・花見 −2005−

花の命は短くて。寒い日が長引き、ここ数日の気温の上昇と共に一気に開花した今年の桜。生き急ぐかのようにつぼみを開かせる可憐なソメイヨシノは、時折強く吹く風に煽られ、早くも大量の花びらを散らせている。まるでボタン雪が舞うような谷中霊園の参道、向こうから歩いてくる薄命の美人は、もしかして雪の女王であったのだろうか。
ザ・ラスト・花見。ここに登場するのは、ハリウッドの看板スター、トム・クルーズでもなければ、ましてや信念の人、渡辺謙でもない。
登場したのは、GRUDGEやらANATOMIA、PUKELIZATIONやらDEATHCHURCHやらBUTCHER ABC、更にZILLIONやらDEATHCOUNTやらGALLHAMMERなどなど、飲んべいサムライたちである!
我がREEXAMINEも5分の3が参加。いまだかつてない多人数で繰り広げられたグラインドお花見は、そりゃもう大騒ぎだったわけさ!
今日辺りが、今年の桜の見納めだっただろう。天気予報では、明日は花散らしの雨になるとの事。ラストチャンスに集う事になるメンバーの顔を予想してみる。
場所がら墓地だけに露店などの出店はなく、基本的に個人の持ち込みに任せられる。アルコールはもちろん、飲食物のたぐいを手に入れるべく、私は午前中に買い出しへと出かけて行った。
駅の地下食品売り場を通ると、たんざく状にスライスされたイカ焼きが目に止まる。焦げ目のついた焼き色が、いかにも美味そうである。値段も1パック300円程度とお買い得。
とりあえず目を付けておいて、後でまた買いに戻ろう。先ずは当面の優先事項であるビールの在り処を目指す事にする。
地下食品街を突っ切り、駅の反対側にある西友へと向かう。お酒コーナーに足を踏み入れ辺りを見回すと、本日はモルツが特売となっている。350mlの6缶パックと、4水系セットの合わせて10本をつかんでレジへと持っていく。なかなか快調である。
会計を済ませ、再び駅の地下食品売り場へやって来て、先ほど目を付けておいたイカ焼きを2パック手にする。するとそのすぐ上、ちょっと目線を上げたところに“いわしセンベイ”などが置いてある。
数日前に買っておいた芋焼酎も当然持っていく予定だったので、その焼酎に合いそうだと思い、1パックだけ手に取ってみた。何せパッケージには、「カルシウム軍団」などと表記されている。これなら最強だろう(何の期待だ?)、期待感に胸を躍らせる。
さてこれで準備はオーケー。ちょっとだけ休憩して、会場である谷中霊園へと出発だ!
花見の場所へ訪れてみると、主催のブッチャーA、Bの両氏の他に、ZILLION氏、DEATHCOUNT氏が既に到着していた。すると開口一番ブッチャーA氏が、「あれ?ちぇっそ君、今日練習じゃないの?」と一声。
「なに!?」とビビッた私。一瞬おかしいなあと、今日は練習日ではないはずなんだが。
デスカヤ氏に花見の誘いを入れたA氏に、「今日は練習終わってから行きます」との連絡が入っていたとのこと。
それって別バンドの練習ではないのか?とは思ったものの、不覚にも先週のスタジオをすっぽかしてしまった手前、2度とこのような失態を繰り返すわけにも行かず、慌ててROBINさんとデスカヤ氏に確認のメールを入れる。
するとなんのことはない、やはり別バンドの方の練習であり、お陰で何の気にも留めることなく花見酒としゃれ込めるわけである。いやそれにしても全く、背筋の凍る一言ではあった。
さて、その後ゾロゾロやってきたグラインド関係者。ここよりは、ことさら細かく出来事を話す気もないし、そもそも酒の席なのでまともに覚えてもいない。ひとつ特筆すべきは、例年になく参加者が多く、入れ替わり立ち代り、時に最高で30名近くが、同じ時間帯に居合わせただろうか。
かなりの量のアルコールと、肴のスナック、珍味類が宴が終わるころにはほとんど全て掃けており、もしかして持って帰る事になるかも知れぬとの危惧が杞憂に終わり一安心。午後10時半ごろお開き。みんな良く飲んだなぁ。
それから終電にまだ余裕のある数人で、締めのラーメン屋へと向かう。冷静になってみれば午後1時から飲み続けている。実は去年の失態があるので、10時間以上飲んでいながら、今年はちゃんと意識を保っていられた事にホッとする。
12時少し前に解散。

@ちぇっそ@