もうひと仕事ならぬ、もう3仕事くらい

怒涛の週末でした。
昨夜は、友人であるインビシブルマンズデスベッド(以下、インビシ)の西井氏と新宿で待ち合わせ。夜の10時、新宿南口へと向かいます。土曜日のライヴチケットを受け取り、その場でしばし談笑。今回のライヴは「草月ホール」という格式高い会場で行われるとのことで、普段と違った彼らの姿が見られそうで楽しみ。
都営線で家へ帰り、「特命係長 只野仁」〜「タモリ倶楽部」と鑑賞。「タモリ倶楽部」では2004年度空耳アワードが開幕。昨年の名作、珍VTRに爆笑。「特命係長 只野仁」が、私の愛煙しているのと同じ、キューバ産タバコ「コイーバ」を吸っていました。高橋克典、やるねぇ。
普段ならかなり遅くまで夜更かしする週末ですが、翌日からのスケジュールを考え、比較的早めのご就寝。
目覚めた土曜のブランチ。財布に入りきらないで、現金封筒に入れたままの札束を手に出発。そうです、今日はいよいよパソコン本体を買いに行ってきます!
夜はREEXの練習が入っているため、楽器を引きずり駅へ。当然こんな荷物を抱えたまま秋葉をうろつく気はありませんので、一旦駅を過ぎ、スタジオのある水道橋駅まで向かい、運良く開いていたコインロッカーに機材を突っ込み、改めて秋葉へユーターン。
早速、例の組み立てパソコンのお店へ直行。しかし“組み立てキット”だけに、先週訪れた時に目ボシをつけておいた“組み合わせ”が、なんと変更されており一瞬焦ります。“キット”状態で展示はされていますが、お客さんに分かり易くするため、お店側で基本的な部分をコーディネートしていたわけですね。
もっともそれほど大きな違いもなく、注文をつければいくらでもカスタマイズしてくれるので、2,3の変更を入れ、それで決定しようかと思っていました。
ところがここで問題発生。バラ売りが基本なので、店員が各部品の在庫を当ってみたところ、本体の外箱ケースが現在売り切れだと言うのです。今展示されているものは既に組み立てられているため、それを流用することは出来ません。今後の入荷予定などあれば少しくらい納期を待っても良いかなぁ、などとも思いましたが、なんと入荷の予定もなし。なんでもメーカーで既に品切れている商品らしく、組み合わせキット用に回せる在庫がないそうなのです。
仕方がないので、弱冠割増にはなるが、他のケースから選んでくれということなので物色します。しかしこのケース選びが難航。思いも寄らぬ事態だったので、何のプランも持っていません。先にディスプレイを買っているので、一応そのモニターとのコーディネートは図りたいもの。例の在庫切れのケースは、その点でもモニターとの色のバランスが良かったのです。
様々なケースの中、色は良いけど品切れ中であったり、先のケースと仕様は同じだけれどデザインがオヤジ臭いなど、中々私のお眼鏡に適う商品がありません。こうなると私の「ダメダメ買い物パターン」へと陥って行きます。
店員にアドバイスを訊いては、「じゃあ、もう一度当ってみます」と再三に渡る商品物色。しかし依然として決定的な判断が下せません。どうせ組み立て式なんだから、見た目なんてどうでもいいじゃないか、という風に割り切ることもできず、悩みに悩むところ。
せっかく長く付き合うことになるのなら、見た目にもこだわった方が、購入後の思い入れの度合いも変わってくると思うのです。だって、やっぱり「可愛がって」やりたいじゃないですか!
いい加減適当なところで譲歩しようかと思った私は、現在お勧めのケースはどれかと、再度店員に尋ねます。すると、「こちらになりますね」と、彼が指指した先にあったそれは!
意外と、カッコイイじゃないですか!なんで今まで“見えて”なかったのだろうかと自分をいぶかりながら、念のため細かく商品を説明してくれている店員の話は念仏状態。気のない相槌を入れながら、腹の中では「これに決定!」と。値が少し張るようなので、早く見積もりが聞きたいなあ、とばかり考えておりました。
最終的な値段は、問題なく予算以内に収まっています。そうなれば話は早い。だったらコイツでロヨピク!ということで、早速お会計へと向かいます。
いやしかし、おもしろいですね。なんと言いましょうか、倉庫兼店舗でもありますようで、「これから商品を“用意”しますので」と言って、組み立てキットの各部品を店内からかき集めてきます。バラバラに集まった部品がひとつづつ清算されてゆき、何かこう、「俺って玄人じゃん!」と言った気分。
締めて8万6千円。つりは取っとけとは言えませんが、用意した9万円分のお札は、全て5千円札でした。これもひとえに、「5千円札貯金」をしていた、私の過去の賜物です!
それにしても、長い買い物に根気強く付き合ってくれた、このお店の店員さんに感謝!ジャニーズ系のハンサムで甘いマスクの青年でしたが、商品知識に長けており、こんな素人の私にでも親切に接してくれました。社員教育が行き届いていて、気持ちの良いお店でした!
さてやっと一仕事終えたワタクシ。荷物は明日の午前着で配送をお願いして、この後は18時からスタートするインビシ・ライヴへ足を運びます。レコ発ツアー最終日が行われる会場、赤坂の草月ホールへ参る予定です。
と、その前にまだ昼飯を食べていなかった私。もとより、「ここはひとつ、メイド喫茶でお昼ご飯を!」と画策しておりましたが、ケース選びに思わぬ時間を食ってしまい、ライヴまでに余裕がありません。しかし、かと言って完全にメイド喫茶をあきらめることもできない。せめて場所だけでも確認したい!と、今日のところは割り切って、地図を片手に秋葉探検と行きます。
今回は、地図に載っていた電気街口に程近い3件ほどを回ってみましたが、最初の一件はなんだか普通のネットカフェのようで、店員も普通のお兄さんが立っていました。なんでメイド喫茶地図に載っていたのでしょうか。もしかしたらテナントが替わっていたのでしょうか。でも、店の名前は同じだったんですよね。
次に向かった先は、私の記憶が正しければ、入店するとメイドさんに「お帰りなさいませ!」と言われ、退店するときには「いってらっしゃいませ!」と言われるお店のはず。イメージプレー的なものが入っており、徹底してご主人様とメイドという立場を演出してみせる、メイド喫茶好きなら1度は体験しておきたいお店であります。
しかし当然人気も高いようで、私がビル6Fにあるそのお店まで行ってみると、階段にはズラッと行列ができておりました。さすがだなと、その人気振りだけ確認して早々に退却。
最後に向かったのが、線路をくぐって反対側、昭和通り口のお店。こちらは1階に店舗があり、しかも全面ガラス張りなので中の様子が窺がえます。やはり客さんが3,4人ほど並んでおり、待つ時間もない私は入店をあきらめ、中をちょっとだけ覗いてみます。すると、あらあら、今日は“巫女さん・デー”でしたか、こりゃまたマニアックな!
さて、お腹の空いている私は昭和29年創業という老舗のラーメン屋へ。昭和29年来、味が変わらずというしょう油ラーメンをかけ込みます。うーん、完膚亡きしょう油味!なんのてらいもない、なにもかもが普通のラーメンです。まあ、これが基本ですね。390円というリーズナブルな価格もよろしい。“普通に”おいしいしょう油ラーメンでした。
電車を乗り継ぎ、地下鉄の青山一丁目駅へとやってきました。改札前のサブウェイでキタ氏と合流。ここから会場までは歩いて5分程度、開演時間までしばしコーヒータイムです。
セレブな表通りを進んで行くと、ほどなく会場である草月ホールが見えてきます。当然ですが、綺麗な総合商社といった感じで(いやむしろ領事館か)、普段は生け花なども開催される由緒正しき聖域。いかにも、我々には場違いと言えましょうか。
受付けを済ませ、ほどなく開演すると言うので足早に場内へ。普段は演劇やら、演歌のコンサート等が行われている場所だそうで、すり鉢上になった客席には固定席が設置され、3階席まであるホールとなっています。
先ず最初に登場したのは、インディーズシーンで活躍しているという、コックローチというちょっとエモっぽいオルタナ系のバンド。今の時代に似合わぬような、ソロパートで大仰な曲展開を見せ、どことなくプログレッシヴな雰囲気すらたたえています。
透明感溢れるギターの音色は、ニューウェーヴからの影響も感じさせるでしょうか。個人的には80年代の日本のバンド、AUTO-MODジムノペディア辺りが今の音で演ったらこんな感じか、といった印象も受けました。
しっかりした演奏、堂々たるパフォーマンスで、じっくりと腰を据えて見るにはなかなか乙なバンドでありました。ラス曲は、開放感溢れるおおらかなリフに乗せ、尾崎が歌いそうな熱い感じの歌声が響きます。ハロウィンで言えば、「リヴィン・エイント・ノー・クライム」っぽい雰囲気、と言えば分かる人には分かるでしょうか。
暖かい声援を受け、彼らが退場します。ステージに幕がおり、機材の転換が始まります。
やはりホールということもあって、あまりラウドなロックには向いていない会場ではあります。音が塊になってしまうので、楽器が一斉に鳴るとドラムが聴こえ辛くなっていました。しかしながら、概ね全体の雰囲気は良く、ステージがとても見やすくてありがたい。
特にインビシの場合、ガレージ的な荒々しさこそありますが、ある意味シアトリカルで、視覚的に訴える比重も高いバンドなので、こういった広くて落ち着きのある空間で見てみたかった、という潜在的な希望もあったのです。
ベースの西井氏から聞いたところによると、たまたまの日の前後、ロック系のイベントがあり、間の空いた土曜日に偶然ブッキングできたとのこと。本来ならば、こんなマーシャルやらなんやらなんていう機材は置いていないのですが、これを使いまわして良いという事で、今回のライヴが実現できたわけです。
ステージの転換も終わり、いよいよインビシブルマンズのライヴがスタートします!
トランス系のSEから一転、ビート感溢れるロックンロール・ナンバーが轟きます。やはりツアー最終日とあって、詰め掛けたお客さんはインビシ常連さんが多く、前方の席は既に立ち上がり、その場で足を踏み鳴らしガンガンにノリまくっています。
私はほとんど最後列にいましたが、客席からステージから、全体の様子を眺めつつ、体中の全神経でこの感動を噛みしめておりました。別に彼らについて、「俺がコイツラを育てたんだ!」などと言う気もないですし、全公演に休まず参加しているなんてほど、彼らを追っかけているわけでもないのですが、昔のよしみで、こうして大きな会場で演っている彼らを見ていて嬉しくなってしまいました。
まあ、そんな感傷に浸ってしみったれていたわけではないんですけど、やっぱりねぇ、「君らはいずれはこういう大きなステージで演奏するべきだよ!」なんて、親心と言うか、彼らが秘めている大いなる可能性に、期待を抱かずにはおれませんでした。
はっきり言って売れているバンドではないです。今日もたまたまこの場所で演奏できたというだけで、バンドのお家事情は依然として厳しいものがあるようです。しかし、今ここで演奏している彼らにこのステージはとてもお似合いでした!
世の中と言うものは、然るべき場所に然るべき人物が収まるように出来ているもの。小さなライヴハウスの熱さと親密さというのはもちろん原点でありますが、バンドに似合う適正サイズの会場というのが、やはりそのバンドを一番魅力的に見せてくれるように思います。こんな大きな場所で演る彼らは普段と全く遜色なく、むしろいつもより伸びやかにステージを駆け回り、スケールの大きな存在感を示していました。
もはやいつもの狭いライヴハウスでは、彼らの持つポテンシャルを十二分に受け止めることが出来なくなってきているのではないのだろうか?いやぁ、また見たい!またこのような大きなステージで、彼らのプレイを堪能したいものです!MC無し。50分弱の演奏時間が瞬く間に過ぎて行きました。短すぎるって、これじゃ!
今日の収穫ハプニング。
ステージ上のファンサービスに篤いインビシブルマンズですが(特にG,VOのデスベッドだな)、彼らは別に演奏以外の部分は練習していません。スポンテイニアスに繰り広げられるパフォーマンスの中、思いもかけず沸き起こるハプニングの数々。笑いの神。。。いや、ロックの神が舞い降りる奇跡的な瞬間が、彼らの歴史の中で、時に伝説として語り継がれて行くのです。
デスベッドと武田氏のギターチャンバラ。お互い、殴る、蹴る!殴る、蹴る!の暴行。デスベッドの勝利に終わる。
デスベッド、アリーナ中通路に突撃!床を転げ回り、抱えたギターを蹂躙!さいたまテレビのライヴ収録中、客席に突っ込み乱闘をはたらいた、在りし日のスターリンを彷彿とさせる。
ライヴのエンディング、カオティックなジャムセッションが華僑に至る中、デスベッド、演奏中のドラム宮野氏を後方へなぎ倒す!ドラムセット破壊!怒った宮野氏は素手だろうがなんだろうが外側からシンバルをクラッシュ。フロアタムを掲げたデスベッド、その脇を通り過ぎ、客席を破壊し、半ば完成しかけていた、ピラミッド状の椅子のオブジェのてっぺんにそれを設置。表千家裏千家、男の花道、「インビシ流生け花」の完成!
さあさあ、そんなこんなで会場の都合により、8時という終演時間の早さ。私は最後の一仕事、水道橋まで電車を乗り継ぎ、REEXのスタジオへと向かったのでした。曲順を確認しながら、11日のライヴの練習に勤しんでおりましたとさ。
ああ、疲れた。疲れた。

@ちぇっそ@