THRASH & DAAASH!!!

「春雨じゃ、濡れて参ろう」などと誰が言ったか。そんな中世日本の放蕩貴族のように、お金もヒマもない下町デスメタルたる我々にとって、今日のこの雨は憂鬱なだけなんです。濡れても良い機材なんてひとつもないんです。故障しても、買い換えるお金が区役所から出るわけじゃありません!
といったわけで、小雨より多少激しく降っている寒空の中、我々REEX年明け1発目となるライヴを吉祥寺クレッシェンドで執り行ってきました。出演、全6バンド。我々はMANIPULATED SLAVESとAPOLOGISTに挟まれるという、過酷な状況が予想される5番目であります。
1番手は、私は多分初見でありました29JAGUAR!(何故初見なのかが曖昧なのは、他のメンバーが知り合いで、普段の練習時によく話題に出ており「既に見たことがあるかも」という錯覚に陥っているため)
女性ヴォーカルを擁する5人組。中々堂に入ったデス声、しかしMCになると途端にアニメ声(?)になるそのギャップが可笑しい。音楽性は昨今主流のメロディック・デスメタル。女性ヴォーカルのため、見た目が最近のARCH ENEMYぽい感じ。しかし曲は初期を彷彿させる、といったところでしょうか。正式加入したという、弱冠19歳ドラム歴8ヶ月という彼が奮闘します。速いパートになると、息継ぎするかのように左斜め上を仰ぎ見る姿が印象的!あ、リードギター氏が来ているTシャツは、えーっとワタクシ、その“色違い”持ってます!メイヘムの「デスクラッシュ!」彼にそれを言うの、忘れてました。
お次は、TPO!こちらの話もよく聞いており、見たことあった気もするんですが、やっぱ初見かも知れない!少なくとも、トリプルヴォーカルとなってからは初めてです。
こちらもオーソドックスなメロディック・デス、3人ヴォーカルという大所帯。しかも皆良く動き回るので、ステージ上はいつでもお祭り状態。確かな演奏力、その迫力のパフォーマンスにいやがおうにも盛り上がります。お客さんの入りも上々で、中でもリーダー格っぽいヴァーカル氏が泣きそうな顔で感謝の意を述べます。(でもこみ上げているわけではなく、気合を入れると「魁男熟」のような劇画調になるって意味です)中国人民帽(ぽい)帽子をかぶった別のヴォーカル氏はミクスチャー調のライムで応戦。もうひとりも激しく跳ね回っております。やはりヴォーカル3人は圧巻ですね。
続きましてFROM MY SOULという、熟練スラッシュ・バンド!いやぁ、わかってますねぇ、このC級加減!リハの時から反応してました、え?何がって。決まってるでしょ、私の「ダメダメレーダー」です!もうビンビン、いや半立ちくらいで、ダメ男ってわかっているのに母性を揺すられる「つくす女」の気分でしょうか。最前列カブリつきで頭を振ってしまいました。MCからして私生活のダメっぷりが想像できる感じ(笑:失礼!)今回諸事情によりギターがサポートですが、メンバーとは旧友らしく、この方も味のあるプレイをしていました。例えば、長すぎるギターソロでフレットが足りなくなって、フレットを戻って来たけど中途半端に終わる、みたいな。たまりませんねぇ。ドラム氏は、3rd裏ジャケ、カナダSACRIFICEのドラム似で、またヨシ!(「なんとか〜ピン」って名前でしたよね?)ベースとヴォーカル氏のグダグダさ加減は、初期のWHIPLASHのようなラディカルさがあります。ベイエリア並にザックザクと刻んでいるのに、リフに隙間ができる。全体的にはイタリアのNUCLEAR SYMPHONYを思わせる雰囲気がありました。というわけで、古今の(いやオールドスクールばかりか)あらゆるスラッシュバンドの形容が入り、一体どこのバンドだ!といぶからないで下さい。個人的にはかなり好きでした、レッツ・スラッシュ!
さてさて遂に登場、関西メロディック・スラッシュの雄、MANIPULATED SLAVES見参!関西からわざわざドラムキットまで持込むという気合の入れよう、期待感が高まります。彼らのキャリアについてはあまり詳しくないのですが、最近メンバーチェンジがあったようで、本日ここに立っているバンドは女性ベーシストを含む5人編成。SEの後、始まった演奏は正にプロフェッショナル!有無を言わせぬ存在感で圧倒します。やはり名の知れたバンドであるだけに、彼らをお目当てにやって来たお客さんも多く、ここへ来てこの日最高潮の盛り上がりを見せたのではないでしょうか。
私も思わずメロイックサイン!っていうかですね、そんなことしてるヒマじゃありません。ワタクシ達、この後に演るんですか!?ちょっと信じられません。
後日、マニピュのセクシーベーシストの方から頂いた最新アルバムを拝聴。(しかし直に手渡しされたのはROBIN姉さんだった、ザンネン!)前半はメランコリックで重厚なナンバーが並び、後半はスピードチューンが目白押し。サウンドプロダクションも素晴らしい!野太いリードヴォーカルの合間に響く、ベース女史のヴォーカルライン。そのフェミニンな美声に何かこう、背筋をツツッと撫でられる感じ。(表現がいやらしいって?いつものことじゃないですか!@開き直り)いいですねぇ、っていうか、こういうの反則です(笑)そしてこのリリシズム溢れるラス曲は何なんでしょう!TESTAMENTの「ALONE IN THE DARK」以来、久々に琴線に触れるクサクサメロディに思わずグッ!と来たりして、ちょっと恥ずかしい。
といったところで、いよいよ我々REEXの出番がやってまいりました。いやぁ実を言うと、結構演奏ヤバかったんですけど、なんとかかんとか取り繕いまして、冷や汗タラタラのステージでした。デスカヤ氏の酔っ払いMCでの野次罵声、ありがとうございました!お陰さまでなんだか知りませんが盛り上がったようです(!?)ライヴ後、クレッシェンドのスタッフの方に感想をお聞きし、当初やはり出順に不安があったようですが、以前のまったり感がなくなり比較的テンションの高いライヴで、マニピュの後でもそれほど違和感は感じなかったとのお言葉を頂きました。いやぁ、なんとか“次”に繋げることができて何よりでした!
さあ、本日ラストはディアボリックな音空間が炸裂!そうです、「ウィー・アー・アポロガイスト!」の降臨です!相変わらずのアグレッシヴな演奏に、無条件降伏で体が反応してしまいます、最前列まで行ってしまいます。これは条件反射か?どうやら私の体内にも、ディアボリカルなDNA遺伝子が組み込まれているようです!いつもは強面で通している(!?)ヴォーカル、REEZI総帥。しかし今回、ここクレッシェンドにおける“人のやさしさ”に触れ、思わず涙を流すほどの感動を受けたとのご報告。(実際泣いてはいないが)大変“心温まるお話”をお聞きすることが出来ました!その後、DUKE提督によるマン喫での出来事(行為?)など(危な過ぎて書けない)、正にネタの宝庫。長年に渡り、伊達にアングラ世界で暗躍しているわけではない、その話題の振幅の広さに、感嘆致しました次第でございます!
始めから終盤まで終始、“アゲアゲ”で企画が進行。外は寒いが、ライヴハウスの中はとても熱気が溢れておりました。メタルスラッシンマッドな熱い夜、とても楽しい一晩でありました!

@ちぇっそ@