ロボトミー企画

本日我がMORQUIDOは、西荻窪ワッツでZILLIONの企画へ参加いたしました。日頃の練習不足になんとかつじつまを合わせるため、先ずは新宿のスタジオで2時間ばかり練習をしてから、会場である西荻窪へと向かいます。
早速ワッツへと赴きドアに手をかけたところ、鍵が掛かっており開きません。午後3時過ぎ、どうやらまだスタッフの方が誰一人出勤して来てないようです。仕方がないので、まだ昼食を食べていなかった我々は近くのラーメン屋へ行くことにしました。
道を引き返そうとすると、DEATHCOUNTのメンバーがこちらへ向かってきます。軽く挨拶を交わし、昼飯を食べに行きます。食したのは、魚ダシのこってりしょう油ラーメン。少し臭みがあり、個人的にはあまり趣味ではありませんでしたが、終盤には慣れてきてそれほど気になりませんでした。
さて、再びワッツ前へやって来ると、店前に出演表が貼られた看板が出ていました。今日の出順を確認しようかと覗きこむと、なんとそこにはMORQUIDOの名前がない。それどころか、話に聞いていた出演バンドのどれひとつも載っていないではありませんか!これはもしや会場を間違えたのでは、と焦った我々。しかし連絡を取ろうにも、メンバーの内誰一人企画者のZILLIONはおろか、共演のウッチーくんの連絡先すら知らない。
ネットで調べようかという段にまで話は進みましたが、とりあえず中の様子を見てこよう、とヴォーカルのSex氏が地下へ向かう階段を下りて行きます。そしたらなんのことはない、場所はここで間違いなく、本日の出演者も既に何バンドかが揃い、ちょうどリハが始まるところでありました。
そもそも、先ほどDEATHCOUNTのメンバーとすれ違った時点で間違いはなかったのですが、それにしてもややこしいばかり。前日のライヴの貼り紙を残したままにしておくなんて、いかにもワッツらしい不意打ちを食らった時点で、この日の負け組決定が我々になされていたのです。
リハを終えた私は、しばし古本屋巡り。ボビー・Z・ブライト「絢爛たる屍」を購入。原題は「〜Corpse」。やはりね、コープスですから。相変わらず鬼畜好きな私であります。といったところで、ライヴがスタートいたします。
1番手は、何かこう、いつも1番目に出演している印象が強い、「永遠の1番手」GLIDROCK!今日はいつも以上に気合が入っているのか、極真空手のジャージを身にまとったヴォーカル氏。叫びすぎたためか、単に呑み過ぎただけかは判別しかねますが既に赤ら顔。全身を使って絶叫します。ちょっ速ブラストで身体を宙に浮かせるように叩くドラム氏。破綻寸前の演奏に力がこもります。彼らのハツラツとした演奏は、見ていていつも気持ちが良いです!
続きましては早くも登場、ウッチーくん率いるCUNTSです。ドラムとヴォーカルのみという最小編成(?)今日のCUNTSは良かった、抜群でした!リー・ドリアンなのか、落下してきたドリアンを脳天に喰らい、もんどりうっているだけかは分かりませんが、ところ狭しと転げ回り、ファニーなポーズでアクション!勢い余った彼は、脳天で倒立しそうなほど転がったところで、天井に向かってピン!と両足V字開脚。この角度ならば欽チャンに合格点をもらえそう、間違いないです!留年の危機を乗り越え、これからも頑張ってください!(それを言っちゃあ、ダメ?)
そして3番手は、私は初見でありました打ち込みグラインド、BAKANS!異常に短いリハで、事前にその素性が分からなかった彼ら。しかし、本番でその恐るべき正体が明らかとなったのです!とあるドイツ人いわく、「K-1スタイル・グラインド?」と言わしめた、正に肉弾戦コア!ねじりハチマキのおやっさんと、グラサンをかけて新宿辺りで馬券の予想屋をしていそうなチンピラな二人が、ステージ上で「ムチャ・リブレ」な空中戦を繰り広げます。ドロップキックに背負い投げ、ルール無用の場外乱闘が炸裂!どこで買ったか分からない、背中に「777」と刺繍された悪趣味派手派手ニット・セーターを掴まれ振り回される。ヒドイ、これはヒドイ!
曲調はアゴラフォビックノースブリードばりのバックに、かなりいんちき臭いダブルヴォーカルのライムが乗ります。それはまるでグラインド界の「ジブラ」と呼んで差し支えないでしょう。ギャングスタ・ムチャリブレ・グラインド、新たなジャンルの誕生を垣間見た、本日のビックリ隠れキャラでありました。
そして、このバカバンドの後という非常に困難な状況の中、同じく打ち込みグラインドのDEATHCOUNTが奮闘します!基本的にはグチャグチャなバンドでありますが、先ほどのBAKANSの後だけにどこか整合性を持った正統派メタル・グラインドに聴こえます。カッコイイ!まさかこのバンドにそのような形容をつけるとは思いもよりませんでしたが、実は曲そのものが良く出来たものであったと初めて知りました。例によって最後は天井ぶら下がり、文字通り天井座敷の人々となって、その奇人変人ぶりを発揮してくれましたが、とんでもない、今日は「ちゃんと」カッコ良かったですよ!
そして5番手、いよいよ我々MORQUIDOの出番となりました。我々にとって鬼門と呼ばれるこの西荻窪ワッツ。しかしながら、機材がボロ過ぎて難しいドラムのセッティングが今日は成功。イントロのドラムソロから気持ち良くスタートできました。だがしかし!次の展開で早速訪れた敗北の瞬間、なんとギターの音が小さかったのです。どうやらアンプのセッティングを失敗した模様。これでは5年前のMORQUIDOデヴューライヴで、某泥酔スウェーデン人に「ファ○キン・スモール・ギター!」と罵声を浴びせられた記憶の再現であります。その後演奏そのものは比較的順調に進みましたが、途中私が曲順を間違えてしまい、というか予定にない曲を始めてしまったりと、やはりここ西荻窪という土地での難しさを噛みしめることになった本日でありました。
続いて本日企画を勤めました、ZILLIONの登場です!噂には聞いていましたが、初めて体験するこの純正グラインドバンドを、何気に一番の楽しみにと待っておりました。実際凄まじかったです。超激速ブラストであっても音量は全く衰えず、ギターのコンビネーションとも完璧。曲中のブレイクなど、精密機械の如く正確に決めておりました。そして何よりヴォーカル氏のバキューム系ゴアヴォイスが圧巻!ノーエフェクトなのに、エフェクトバリバリだったMORBID ANGEL「DOMINATION」アルバムのようなゲロゲリ声。フロアからは「ヴォーカル吸いすぎ!」との歓声が上がり、「アレ、真似したいな。どうやるんだろう」「ゲヴォッ!ゲゲェーッ!グヴォッ!」と、周囲では軒並み吸い込み練習が始まりました。アレ、ここハノイの村?のどかな農村で、田んぼのあぜを歩きながら、私は盛りのついたヒキガエルの群れに囲まれているのでしょうか?といった常軌を逸した幻想にさいなまれました、ZILLION万歳!
そしてトリ前、GRAVERUITの登場です。女性ベーシストを擁すトリオ・デ・グラインド!私はリハの時から気になっていました。アレ、ブラストが?は、速い?のですが、いわゆる痙攣系ブラスト。ということは、まるでリッチ・ホークのような“魔術的ブラスト”ということ。きっと、叩いている本人は凄く気持ち良いのでしょう。ラリったシャーマンの如く“キマっちゃってる”ような表情がエグイです。そしてベース女史がツインヴォーカルの片割れを取りますが、その声は普通に女の子の地声。そのエグさ故か、その場面では特に盛り上がります。若そうなギター氏は、暴れすぎてギター弾いてません。何か、エグイです。そういったわけで、これからの活動に期待の、何かがエグイ感じのバンドでした!
そして本日ラスト、変態プログレッシヴ・グラインド、FINAL EXITがトリを勤めます!やばいです!このバンド、ただもんじゃないです!とにかくカオティックで、恐らくまともに演奏したらかなりの実力者と思しき、ギター&ドラムのデュオ。しかしそこは変態の性がゆるさないのでしょう、昨今流行のカオティックハードコアなんて、チャックベリー並のシンプルさだぜ!と言わんばかり。「グラインドなんて、滅茶苦茶でいいんだよ!」しかし私はこの2人の鉄壁のコンビネーションを見逃しませんでした。「ドカンと始まり、中グチャグチャ。最後に帳尻り、合わせてポンジャラ!!!」いわゆる“キメ”の部分で与えるカタルシスが抜群。このメリハリがあるからこそ、演奏はバラバラでもバンドとしてのまとまりを感じさせてくれるのでしょう!演奏された曲目は、KISSのカヴァー、誰々のカヴァー、そして〜のカヴァー。。。あれ?オリジナルって演ったんですか?私、知りませんよ。何せ、初めて見た者ですから!
というわけで、もうお腹いっぱい。全バンド、本当に凄い演奏ばかりでした。いやホント、冗談抜きで。
追伸:
出演者の皆様、大変お疲れ様でした。私は西荻で打ちあがると朝帰りが大変な為おいとまさせて頂きました。帰宅後ラジオを聴いており、寝たのが4時頃。アパート下のポストまで封書を出しに降りますると、しんとしづまり帰った極寒の早朝、冷え切った大気に雪がちらついておりました。
朝までコースでいらっしゃった方々、お加減いかがでしょうか。朝までいなくてよかったと思う、早春ちぇっその徒然節でありました。

@ちぇっそ@