「ヒツジ達の沈没」

おバカ映画を見ました。以前「パロディ放送局UHF」という、アル・ヤンコビック主演のコメディをご紹介しましたが、これは舞台となるテレビ局でパロディ番組を放送するだけであって、本筋の内容についてはあくまでオリジナルでありました。今回ご紹介するこちらの映画は正真正銘、某有名サイコ・サスペンスのパロディであります。
見習い捜査官、ジョー“ディー”フォスターは男性です。彼の恋人ジェーンが40万ドルもの大金を所持したまま失踪。金に目がくらんだジョーは、事件に巻き込まれた彼女を捜索するため、収監中の殺人鬼ドクター・アニマルに謁見、犯人像の割り出しに助言を求めます。そしてジェーンが最後に目撃されたという安宿、「霊園モーテル」へとやって来ます。モーテルの脇には、まるでヒッチコックを冒涜するかのように見事なサイコハウスがそびえ立っています。どうやら途中から話が入れ替わり、「サイコ」の再現の中、出演者たちのシュールでスラップスティックなギャグが炸裂。どんでん返しだらけのエンディングへと突入するのでした。
言ってみればそれはもう、ドリフ大爆笑的なお約束アメリカンギャグのオンパレード。ダメ映画の典型と言える馬鹿っぷり。「羊達の沈黙」とヒッチコックに対し、オマージュが捧げられているようです。
もし点数をつけるとしたらもちろん0点なのですが、個人的にはこのコテコテギャグは嫌いではなく、途中M・ジャクソンの「スリラー」のパクリ以外はゲラゲラと笑って見過ごすことが出来ました。(見過ごしちゃダメか)
この作品のいい加減さにはたまらないものがありますね。モンティパイソンのような知性のかけらもないギャグの応酬に、見ているこちらはお腹いっぱい。徹頭徹尾、終始一貫してお馬鹿を押し通すこういった作風は、個人的に非常に好感度が高いです。
やっぱ少しくらいヒューマンな部分がなければダメだ。同じテンションでずっとやられちゃ、途中で飽きるよ。などなど、外野の声が聞こえてきそうですが、「何も足さない。何も引かない!」といったことを人生のテーマの信条として抱いている私にとって、この作品と進むべきベクトルの一致を感じるわけですね。そういうわけで、私的には「○」なのでありました。

@ちぇっそ@