こいつぁ、どちらもスゴイ世界だ

スマトラ島津波、大変なことになってますね。死傷者の数が天文学的数値に達しています。ちょっと想像を絶する大災害となりました。季節がら海外旅行にいらしてる邦人の方も当然多数いるわけですが、ハリウッドスターのジェット・リーまで津波に巻き込まれたそうで、まあ、彼は間一髪脱出に成功したようですが、現地は正に凄惨な状況となっているようですね。
そう言えば知人で、あるバンドマンなのですが(笑)、いや笑い事じゃないんですが、先月ですかね、モルジブへ旅行してきたそうなんですよ!ということはですよ、当然今回の津波モルジブまで被害に遭ってるわけです。何せ私が最初にニュース見たとき、モルジブが真っ先に報道されてましたから。ホント危なかったかったですね、もしちょうどこの時期に出発する予定だったらと考えると。。しかしまあ、自分が旅行した土地が間もなく災害に見舞われるってのも、いやはや、心が痛みますねえ。
というわけで、年末映画特集はまだまだ続きます!って、単に早くDVDを返さなきゃいけなくて、ムチャな鑑賞計画となってしまっただけなんですが。
さて今日は、「シティ・オブ・ゴッド」を見ました。一時話題となったブラジル映画。麻薬と暴力はびこるリオのスラム街で繰り広げられる、少年強盗たちの勢力争いを描いた作品です。
観光地として一見華やかに見えるブラジルの表の顔。しかし一歩路地裏に踏み込めば、そこは幼い子供達までもが殺人に手を染める無法地帯。貧困のため、彼らは生きるために暴力団の一員となるわけです。
テレビの特集で見たことがあるのですが、南米諸国の行政の常として、もともと赤字体質であることが懸念されます。国民性にもよるのかも知れませんが、どうもお金のやりくりがあまり上手でない節が見られるのです。それで赤字が発生すると今度は諸外国に借金をし、それでまた負債が積もってしまう。それでもお金が欲しいので、対外的な方面にばかり目が向いてしまい、国内の行政がおろそかになると。
もっとも海外資本の中途半端な介入なども原因があるのでしょうが、何かやはり南米の経済はこうした悪循環によって、政府自体が貧困であると言えるでしょうか。ちょっと記憶も定かでないので、間違っている部分もあるかも知れませんが、これが私が抱いている南米のイメージです。
実話を元に製作されたのでしょうか。それまで普通だったスラムの住人や子供達が、いともたやすく冷酷な兵士に変貌してゆく様がリアルに映し出されます。凄惨な事件が日常の風景として絶えることがない。
こうしたスラムの現状には居たたまれなくなる思いですが、映画としては非常に素晴らしい出来になっています。殺伐とした画面ですが、全般に漂う南米気質により、どこかあっけらかんとした印象も感じます。現実のスラムを思うと賞賛してよいものか躊躇してしまいますが、それはともかく、もうひとつのブラジルの姿をとらえた傑作であると言えるでしょう。
で、もうひとつ。ブリジット・オベールの「ジャクソンビルの闇」を読みました。おフランスの女流ミステリ作家で、何作か読んだことがあります。技工派で、奇抜なアイデアとエンターテイメントに優れた作風で知られています。それもそのはず、実は彼女スティーヴン・キングを筆頭にホラーが大好き。ハリウッド的大仕掛けで迫る本作は、そんなオベールが自分趣味爆発で書いた(?)お馬鹿ホラー大作なのです。
なんと言いましょうか。まともにコメントするのもはばかられるバカ振りで、とにかく全編グチャドロ。悪魔の毒毒モンスターといった様子で、悪趣味全開のB級ホラーです。一様に80s的スプラッタパンクで、とにかく内容がない!いやもちろん、ヴゥードゥーやオカルトといったオードブルも満載なのですが、舞台となるジャクソンビルという街で、とにかくバケモノが暴れまわるだけです。
出て来る悪霊の言動も、お下劣極まる下品なものばかり。ホントこれ以上何も言えません、アホ過ぎて。このくだらなさがおもしろいと言えば面白いですが、中学生が書いたのか?!ってくらい小説としては破綻していますので、そうとうダメなのがお好きな方のみ限定でお勧め致します。
いやぁ、こんな現実のスラムや、架空のジャクソンビルにも、どらにも決して住みたくはありませんねぇ。

@ちぇっそ@