2本立て

えー自分へのプレゼントにと、DVDなんかを買って来たりしました。たまたま名作映画が20%オフとかやってたので、思わず奮発しちゃいました。全部で3本、内訳はと言いますと、「ロマノフ王朝の最期」「惑星ソラリス(リマスター版)」「ドゥエル教授の首」はい、そうです。ご察しの通り全てロシア映画になります。
この内2本は既に見たことあるのですが、お気に入り映画のコレクションとして、手元に置いておきたかったわけです。これで一応タルコフスキーの作品は全て揃ったことになります。しかし作品が順じリマスターされています。特典映像などあまりに興味深いものが収録されているようなので、また全て買い替えなければならないのかと、散財の日々に戦々恐々としております。
「ドゥエル〜」は初になりますが、ロシア古典SFの1作として、アレクサンドル・べリャーエフの原作は読んだことがあります。なかなかキッチュそうで、まだ見てませんが楽しそうな作品ですね。
さて、今回見たのは「ドラムライン」そしてこちらはソダーバーグ監督作の「ソラリス」。先のタルコのリメイクになります。
ドラムライン」やはり気になるじゃないですか。マーチングドラムに主眼を置いた、アメリカ版スポ魂映画です。
全編に渡りスネアドラムの小気味良い連打が鳴り響きます。ストーリーはまごうことなき正統派青春映画で、ほとんど文部省指定、もしくは全米図書委員推薦!とでもいったとても爽やかなものになっています。ちょっと問題児の凄腕ドラマーが、栄光、挫折、そして恋愛を繰り広げて、万年2位のマーチングチームの危機を救う、といったところです。
メチャクチャありがちなのですが、それはともかく、やはり洗練されたスティックワークに目を奪われます。しかもそれが一人ではなく、大勢が一矢乱れぬ呼吸で一丸となり、轟音のようなスネアを轟かせるところが圧巻です。
単に演奏するのではなく様々な演出もなされます。ひらひら舞うシンバルがまるで蝶の羽のよう、くるくる回るスティックは蜂の行軍を思わせます。正に「蝶のように舞い、蜂のように刺す」そんなハツラツとした演奏が繰り広げられます。
実際ドラムのテクニックで「バズロール」などの名称があり、もちろん「バズ」とは「Buzz」から来ており、ドラムの音色は時に蜂の羽音に例えられます。
予定調和な映画ですが、来るべきところで来るべき人物に配役が回ってくる。素晴らしい音楽とともに、すっきりと気分を解消できる気持ちの良い映画でした。
そして「ソラリス」オリジナルを知るものにとって、これほど見るのをためらわせる映画もあったでしょうか。いや実際、劇場公開時に見にいけなかったのは、忙しいことが理由ではなく、見るのが怖かったという一面もあったのかも知れません。
当初から言われていましたが、オリジナルの不可解さとは一変し、ラヴストーリーという分かりやすいシナリオを立てております。しかしロシア版の持つ宇宙の、惑星ソラリスで巻き起こるの不条理な事態が引き起こす不気味さは、今作でも踏襲していたのではないでしょうか。
どうしてもオリジナルと比べてしまいますが、今回主演を張ったジョージ・クルーニーは、ロシアのドナータス・バニオニスとかなり似た雰囲気を持っており、それがまた作品に重厚さをもたらした感じもします。まあ、実際のクルーニーは単なるジゴロなようですが、それは作品とはなんら関係ありませんね。
ソラリスの海が作り出す過去の幻影に対し、過去の過ちを清算するかのようにそれに愛情を示す主人公クリスの、これは一種のタイムマシンのようなものだったのかも知れません。「もう一度、あの時をやり直せたら」といった、「リプレイ」を期待するアレですね。
オリジナルは2時間半あり、かなり雰囲気重視の部分があります。ソダーバーグ版は1時間半にまとめらており、個人的には少し性急に過ぎる感はありましたが、概ねまったりとした雰囲気はオリジナルに近いものがあって悪くはないです。
ちょっと見、冷静には判断できない作品ですが、オリジナルを見たことのない方なら、アートっぽい雰囲気も多分に感じられますので、深夜に一人で鑑賞するのもオツではないかと思います。

@ちぇっそ@