検証トリビア

さて、昨日からの出来事。
いつものように商品発送の為に伝票セットを行っていた俺。そこでふと気付いた。果して、伝票をセットする為に使用している新品クリップの数は、袋詰めの表記の通りに封入されているのか?
クリップの数は卸したての1袋の中に100本入っている。少なくとも、その袋の表記にはそのように記されている。セットする伝票は600枚強。ページ数が印刷されており、100ページごとに区切ってセットしてゆけば、おのずとクリップの数が算出できるという寸法。
最初はそれと意識せずに始めてしまったので、手元には200枚の伝票を持ってきてしまった。作業の途中で気付き、クリップを数えてみようと思った次第。クリップも既に2袋開けてしまっているので、とりあえず第1回目は200枚分で数えてみる。
25分後くらいだろうか。全てのセットが完了し、余ったクリップがあるか確認。なんと、まだ6本も手元にある。ということは、2袋分で2分したとしても、1袋につき3本余計に混入されていたことになる。もちろん、少ないよりは多いほうが良いに決まっている。セットの途中、「100本入り」と書かれたクリップが途中で底を尽いたのでは幸がない。というか、メーカーは何をやっているんだ、となってしまう。
個人的な予測で、「もしかしたら予め多めに入れているのかも知れない」との疑念が生じる。クリップを製造し袋に詰める段階で、恐らく人の目による製品チェックが入るはずである。綺麗に曲線を描いて曲がっていないものや、クリップ同士が絡んでしまったものなど、そういったものは途中段階で避けているのではないかと思われるからだ。
なので先の検証の反省点を踏まえ、今度は伝票100枚、クリップ100本という、正にガチンコの状態で確かめてみることにする。
そして10数分後にセットは完了し、果して俺の説は正しいかその結果を確認する。すると今度は4本も余ったではないか!これは「もしや、一袋につき予備分を3本入れているのではないか」との俺の予想に反した結果であった。
在りし日の消費税3%時代を懐かしむ俺にとって、これは衝撃的な結末であり、メーカーが資産運用の一連の流れの中で、税金対策と称して100本に対する3%分の3本を余計に混入し、資本を無駄なく活用、社の収益の売上げに対する脱税をかくさく。。。(長くなるので以下略)
次の100枚、100本に挑戦する。すると今度はまた3本余った。次の100枚は4本。これは一体どういうことだろう。予備分として封入する分量には、特に決まりはないのだろうか。とりあえず「100本より弱冠多く封入する」とした規定があるだけで、その日その週の原料となる金属の輸入相場の変動などによって、多く入ったり少なくなったりするのか。もしかしたらそのような事態も推測され得る。
しかしここであるひとつの危惧が生じてきた。もし次に、また4本余るとしたら、3本余るものと4本あまるものが半々。となるとまだこの検証を始めたばかりの俺にとって、確立と統計という物理学の作用が働く事が予測される。
これは、例えば天体観測や、また逆にナノ(微小)と称されるウィルスなどの観察の段階で、実は人類が次々に発見する事象とは、「既にそこにあって発見されるのを待っている」ものではなく、「人類が観察や観測を行っている事が原因で、そこに生み出されるもの」なのではないかという研究報告である。観念的過ぎて分かりずらいかもしれないが、世界の真理は「発見する」のではなく、「そこにあって欲しい」と”希望する”人間の思惑がそこに「実物を作り出す」というもので、なんとも荒唐無稽な論理である。
というわけで、もしここで余り4本という事態になれば、それは俺自身が「次は4本余りの袋に出くわしたらおもしろいな」という願望に誘導され、正確な判定にネックとなりかねない。実は5本余りだったものが、俺の妄想により1本減ってしまってたのでは、検証としての正確さに難を期する状況に陥るのだ。しかしここで検証を中止するわけにはいかないので、俺は次に待ち構えるネクスト100枚、100本に突入することにした!
俺は数えて行く。セットされてゆく伝票とクリップの山。等間隔に減ってゆく、2つの物体の質量。果して、俺の思惑は?世界の摂理の実体は?この世の終わりに見るであろうか、人類誕生の意味についての真理とは?!
なんと、9本余った!そんな馬鹿な!今までの仮説をも全て台無しにする散々な結果。ある意味残念でもあり、また一方では、「運命なんて信じない!自分の歩く道は自分で選択する!」といった、非運命論者諸氏にとって朗報となる結末であったとも言える。
そんなわけで俺の思惑とは相反し、封入余剰分は結構ランダムになっている事が分かった。ということは、「クリップの袋詰めは、100本に対し3、4本の余分が封入されている」としたかった、新たなトリビアにも成り得ない結果となってしまったわけである!
正直落胆の色は隠せないが、こんなヒマ潰しも、単純作業をこなす上で必要な処世術のひとつである。

@ちぇっそ@