萌の朱雀

萌の朱雀 [DVD]

萌の朱雀 [DVD]

河瀬直美監督の長編デヴュー作ですね。前にテレビで放映されたのを見て、こりゃ素晴らしい!と思ったのですが、その後劇場で見た「沙羅双樹」はイマイチ、と言うか全然ダメだったので、レンタルされてるのを発見したのを機に、今一度確認してみようと思った次第。
結果だけ言うと、やはりこの作品はなかなか良いですね。「沙羅双樹」みたいにハンディカメラばかりの映像じゃなく、ちゃんと定点カメラで捉えたショットが多いし、演出の方も「沙羅双樹」よりまとまりがあったと言うか、端折らないできちんと仕事したって感じでしょうか(笑)
それでもやはり、時折挟まれるドキュメント的映像が、きちんと演出された場面と乖離してしまい、見ていて鼻に付く箇所が見受けられるのは確かですが、それでもまあマシなほうかと。
外国人が見たら、きっとそんな違和感を覚えないかも知れないので、だからこの作品がカンヌで新人賞を取ったと言うこともうなずけるかなぁ。
個人的にはどうしてソクーロフっぽさを感じてしまうのですが、それだとちょっと持ち上げすぎか(笑)。もちろんソクーロフほどシュールではありませんが、静止画が長かったりするのが個人的には大好き(笑)
「映画」として見た場合物足りなさがあるのは事実ですが、切なさがこみ上げて泣ける場面も多いし、やはり良いものを持った作品だと言えます。俺ならここはこうする!みたいなのはあるけど(私がどうこう言うなって?:笑)
この女子高生の子、演技上手いですね。それとこのおばあちゃん、確か現地調達の素人さんだと記憶しているのですが、この人も上手い!
歳行っちゃって、もうカメラとか意識してない感じの演技が、もはや「神」ですねぇ。
静かな映画ですが、決して癒されるだけの甘っちょろい作品ではありません。きっと何か「業」の深さと言ったものが、この映画からは感じ取られるのではないでしょうか。
やっぱ私が最初に観たときの印象は、間違ってなかったのだなぁ!よかった。

@ちぇっそ@