エンケンに謁見!

まあ、よく降ったこと

いやもう、今日は凄い雪でしたね。週間予報の時点で、週末には「降る降る」と言われておりましたが、まさかこれほどとは思いませんでした。今年はホントにもう、全国的に記録的な豪雪となりましたね。
と言ったところで、こんな大雪の中、会社へ出勤したワタクシ。週明けにもの凄い仕事量が控えているため、少しでもその被害を抑えようと、ちょっとだけデータの処理に出向いたわけです。
それにしても、何もそんなときに限って、このような天変地異が見舞うこともなかろうに。とりあえず1時間半だけ仕事をし、なんとか“安パイ”になるところまで漕ぎ着けた私は、本日の次の目的地である、新宿へと電車を乗り継いで行きます。
そうです、今日は久しぶり(!)のモルキド練習。カートに括り付けた機材を、えっちらおっちらと引き摺り、雪の降り積もった道を歩いて行きます。非常に歩き辛い、いっそのことカートのタイヤ部分が“ソリ”にでもなってたら良いのに!と、エスキモーの叡智にあやかりたいと思ったワタクシでありました。
で、練習を終え、アパートへ帰ろうと一旦都営新宿線の改札までやって来ました。ところが、ここで何かひとつ忘れた気がして少しの間考え込みます、そうだ、タワーレコードに行ってない。まあ、別に大した用事もないのですが、本日控える次の予定までにも随分と時間がある。せっかく都会に出向いたのだから、大きなCDショップで心行くまで試聴を楽しもうじゃないか。これが、モルキド練習後の私の行動パターンのひとつとなっています。
もと来た道を引き返し、エレベーターでどんどん上階に昇って行きます。目指すは洋楽フロアだったのですが、その手前、日本人アーチストのフロアでビラを配っている青年が一人。
「本日3時より、遠藤賢司のインストアイベントを演ります!」
何?これは聞き捨てならぬことを!
こんな絶好のタイミングで、日本が誇るフォーク/ロック御大の演奏が拝めるなんて!しかもタダ!
実は未だ見たことのなかったエンケンライヴ。いやぁ、これは楽しみだ!ビラを受け取った私は、まだ少し時間があるので、一先ず洋楽フロアでぶらぶらすることに。
そして程なくして、エンケンインストアライヴの時間と相成りました。やはりエンケンと聞いて集まったと思われる集団が、ステージのある店内の一角へと群がっております。
その中でひときわ目を引いたのが、刺青風のプリントがなされたTシャツを着、耳にはクロームのピアスを連ね、スキンヘッドで、更には身長が2メートルほどはあろうかという大男が仁王立ちしていました。
いやぁ、いかにもエンケン好き!って感じを醸しておりますが、その見た目はいかにもおっかないですねぇ。インストアイベントなのに、何故か漂うこの危険な雰囲気。なんだか楽しくなって来ちゃいました、うれしいねぇ!
そしてエンケンこと、遠藤賢司その人がいよいよ登場!アコギを片手に、首にはホルダーを掛け、ギターとハーモニカの2ウェイ奏法に対応した姿で現れました。
正に「掻き鳴らす!」と言った表現が正しいと思われる、それはそれは激しいピッキング。なんと一曲目の最後は、ギターに張られた6本のスチール弦を全てぶっちぎって終了。のっけから凄まじいテンションで始まった、エンケンライヴであります!
さて新たなギターに持ち替え始まったのは、「地球防衛軍がなんちゃら〜」と言った曲でした。それこそ、アニソンに通じるキャッチーさを持った楽曲でありますが、氏によれば、「SFとSMを融合させた、“SFM”の世界を表現してみました」と言う、実に壮大なるテーマを内包する傑作であったわけですね!
個人的にはどこか、プログレバンド、ゴングが持つスペーシーさとサイケ感を感じ取ることができました。いやぁ、好きですね。この世界観!
アコギでのラストは「不滅の男」。エンケン自身が監督したと言う、同名映画での撮影エピソードなどがMCの間に披露されました。エネルギッシュ!正に抱腹絶倒と言った感があります。
そして次に、今度はエレキへと持ち替えた御大は、椅子から立ち上がりおもむろに我々に語りかけます。
「これから演奏するのは、“ビートルズをぶっとばせ”と言う曲で・・・。これは別にビートルズが嫌いと言うわけではなく、なんでもかんでも輸入したものが良いとする、そんな“翻訳文化”に対する批判の歌なわけです」
独特の”間”を持って引き継がれる言葉。その内容は、現代人への叱責の想いを暗に示すものでもあり、子供から逃げる大人、教育の問題に真っ向から警鐘を鳴らす、エンケンの信念の表明のようでもあります。いまどき、こんなに親身になって叱ってくれる大人がいますでしょうか!
「英語なんて、喋れたらそれはそれで良いと思いますけど、ボクは喋ろうと思わないし、もっとも喋れないんですけど。でも歌と言うものは、自分の心に響く言葉で歌わないと意味がないと思うんです。だからボクは、日本語で歌うんです」
エレキが咆哮する。今までより更に激しく、エンケンの叫びが響きます!
途中、後ろを振り返った氏は、シールドで直結しているアンプのヴォリュームを上げます。そうだ、これだよ!このノイズ感!ギターのカッティングはいよいよ変幻自在さを増し、何者にも束縛されない、エンケン独自の世界を形作って行きます。
時にパンクに、時にはアヴァンギャルドに。“表現”と言う、本来芸術が持ち得ている自由性をそこに見ることが出来るでしょう。自由とは自分の責任。自分の言葉で喋るのだから、そこには明確な所在が存在するのです。
借り物の翻訳文化ではそれは適わない。全てが曖昧となってしまった約束の中では、決して真実なんて見えてこない!つまりエンケンは、この事を指して翻訳文化の批判を示したわけです。
「今日のボクの目標と言うのは、タワーレコードにある“世界の音楽”と全面的に対決することです!」
これはおごりでもなんでもなく、男・遠藤賢司がそれこそ裸一貫となり、等身大となった自らの真実を世界に向かって問う!つまりはそういうこと。発言のひとつひとつが、遠藤賢司と言う人間そのものを表しているような、確固たる信念に満ちた説得力溢れるものでした。
カッコイイっすねぇ、ロックっすねぇ!やっぱこういうのが好きですね。「うわぁ、来たぁ!」みたいな。心が揺さぶられる感じが一番グッと来るわけです。なんだか例えが幼稚で申し訳ないところですが(笑)、こんな感じで、私のエンケン初体験ライヴの模様をお届けした次第です!
イベント終了後、店内をうろうろしていた私は、とある女性から声を掛けられました。どうやら、先日の浅草エクストリームで我々REEXを初めて見てくだすった方だそうで、なんとその時CDまで買って頂いたとのこと。
エンケンデスメタルにも、どこか通じるものがあるもんですねぇ!」とかなんとか(笑)うれしハズカシ、しばし談笑などをいたしておりました。なんとも、ありがたいことです!
そして一旦帰宅した私は、また夜間に開催される、今度はブラックフラワーの練習へと大塚まで出かけていったのです。もうね、ホントにこの雪にうんざりしかけていたので、本気でエスケープしようかと思いましたよ。
いやぁね、さすがにすっぽかしはしませんでしたが、本日最後の練習時には、もはやスティックだけの持参となりました。凄い軽装。ホントは、毎回これくらいの装備なら楽なのになぁ。なんて思ったり。
最後に、タワーで衝動買いしたセール品の数々を並べ連ねておきましょう。

  • DEPRESSIVE AGE「LYING IN WAIT」&「SYMBOLS FOR THE BLUE TIMES」

言わずと知れた(?)ジャーマン・スラッシュの2ndと3rdです。2ndは単に気持ち悪いダメスラッシュなのですが、脱スラッシュした3rdはかなりかっこいい仕上がりになってますね。

  • USURPER「VISIONS FROM THE GODS」

イヤーエイクに所属するデスメタルの、94年頃のデモ音源等を集めた編集盤。これが大当たり!実にオールドスクールデスメタルらしいデスメタル。最後、ライブ録音のMC「ウラァ、ウラァ、ウッ!ウッ!」の掛け声が意味不明(爆笑!

2003年。カオティックグラインドと言おうか、とにかく変態的にテクニカルなバンド。人を喰ったようなアレンジが時々混入しますが、オーガニックなハードコアっぽさもあり、お洒落嫌いな私でもかなり聴ける好盤でした!(ウチのFUKUDA君に聴かせたいアルバム:笑)

SOLACEとのスプリットで知られる(誰も知らねぇか)ストーナーバンドの99年発表の1stフル。骨太なリズム、ファズの効いたギターサウンド。悪いですけど、このバンドは相当かっこいいです。オレゴブ(ORANGE GOBLIN)など好きな人は是非聴いて下さい。
久しぶりにCD買いました。(笑)だってセールで、一枚305円で売ってたんですもの!って、安いからCD買うって、どこか間違った買い方ですよね?せっかくエンケン先生に説教されたってのに、これじゃ意味なし!

@ちぇっそ@